
初夏から秋にかけて、長い期間咲き続けるジニア(ヒャクニチソウ)。花色や咲き方が豊富で、とても丈夫な性質を持もっています。
今回は初心者でも育てやすく、暑い時期の鉢植えや花壇に最適なジニアについてご紹介します。
ジニア(ヒャクニチソウ)の基本情報
学名 | Zinnia |
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英名 | Zinnia |
その他別名 | ヒャクニチソウ(百日草) |
科名 | キク科 |
属名 | ヒャクニチソウ属(ジニア属) |
原産地 | メキシコ中心に南北アメリカ |
ジニア(ヒャクニチソウ)の特徴
ジニアの名前の由来と開花期間
ジニアの別名は「ヒャクニチソウ」。これは、ジニアの開花期間がとても長いことに由来しています。
実際、うまく育てると、ジニアは初夏の5月頃から霜が降りる前の11月上旬まで咲き続けます。
100日間どころか、それ以上の長期間咲き続けることができる植物なのです。
ジニア(ヒャクニチソウ)は日本でも古くから親しまれてきた
ジニアの中でも、「ジニア・エレガンス」は日本では昔から仏花として、親しまれてきました。
しかし、最近では品種改良によって新しい品種が次々と生まれ、扱われ方も多様になってきています。
洋風の庭にあうナチュラルな印象の「ジニア・リネアス」、エレガンスの色の豊富さとリネアスの病気に強い性質をいいとこどりした「ジニア・プロフュージョン」などが花壇、鉢植えに人気です。
ジニアは白、赤、ピンク、黄、オレンジ、緑、と花色がとても豊富です。
ビビッドなカラーが多く、色もあせにくいので配色にコントラストを出したいときに役立ちます。
また咲き方も以下のように様々な種類があります。
- シンプルな一重咲き
- 半八重咲き
- 細長い花びらが外側に反り返ってつくカクタス咲き
- 花びらが小さな球状にまとまるポンポン咲き
草丈や花の大きさも品種によってバラエティに富んでいるので、選ぶ楽しみが広がります。
ジニア(ヒャクニチソウ)の種類
ジニア・エレガンス
一般に「ジニア」「ヒャクヒチソウ」と呼ばれ流通している品種です。仏花として親しまれています。
草丈は矮性と高性があり、高いものは80~100㎝にまでなります。花色が豊富で、大輪です。
ジニア・リネアリス(ホソバヒャクニチソウ)
草丈は40~50㎝ほど。葉は細く、小ぶりの花を咲かせます。よく枝分かれし、一重咲きの花を咲かせます。
乾燥と過湿に強く、病気にも強いです。野性味のある印象で、群植すると見ごたえが出ます。
花色はオレンジ、黄、白が基本です。
ジニア・プロフュージョン
エレガンスとリネアリスを掛け合わせた品種です。エレガンスの花色の豊富さとリネアリスの丈夫さを併せ持っています。
暑さと乾燥に強く、霜が降りるまでの長い間咲き続けます。うどんこ病など、ジニアがかかりやすかった病気に強い性質をもっています。
よく枝分かれし、自然にこんもりした姿にまとまってくれます。花径は6cmほどと、大きめの花をつけます。
ハーゲアナ(メキシコヒャクニチソウ)
花びらの中央が濃い赤色、先端は濃い黄色で縁取られています(覆輪花)。
フラワーアレンジメントでよく利用されます。
ジニア(ヒャクニチソウ)の栽培・育て方
日当たりと風通しのよい場所で育てます。暑さによく耐え初夏~霜が降りるまで、長い期間花が咲き続ける丈夫な植物です。
開花中に何度か切り戻しをすると、より沢山の花を咲かせられますよ。
ジニア(ヒャクニチソウ)の育て方情報
分類・形態 | 草花・一年草 |
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草丈・樹高 | 15~100㎝ |
開花の時期 | 5月~11月上旬 |
花色 | 白・赤・ピンク・オレンジ・黄・緑・複色 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 開花期が長い・鉢植え・花壇 |
栽培難易度 | やさしい |
栽培スケジュール
植え付け | 4月~7月中旬 |
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植え替え | 4月~7月中旬 |
剪定 | 5月~8月 |
肥料 | 4月~10月 |
開花 | 5月~11月上旬 |
ジニア(ヒャクニチソウ)の栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日当たりが良く、風通しのよい場所が適しています。長雨にあたると病気になりやすいので、ご注意ください。
鉢植えの場合、梅雨時期は軒下など雨がかかり続けない場所に移動させましょう。
水やり
暑さに強いですが、乾燥させすぎると弱ります。朝夕の涼しい時間帯に水やりしましょう。
鉢植えの場合、表面の土が乾いたら、鉢底からあふれるほどたっぷり水やりします。
庭植えの場合、乾燥が続いて葉がしおれているような場合は、たっぷりと与えましょう。
水やりの際、葉や花ではなく、株元に水を与えるように意識しましょう。病気の予防になります。
肥料
植えつけの際、緩効性肥料を元肥として与えます。開花中は定期的に追肥して、しっかり花を咲かせます。
追肥の目安は、液体肥料の場合は2週間に1回、固形肥料の場合は1ヵ月半~2カ月に1回です。
用土
水はけが良く、保湿性のある有機物に富んだ土が適しています。
鉢植えの場合、市販の培養土でも問題なく育ちます。培養土7:腐葉土2:牛ふん堆肥1の割合で土を配合してもいいでしょう。
庭植えの場合、土をよく耕し堆肥や腐葉土をすき込んでおきましょう。連作障害が出やすいので、前年植えた場所は避けます。
温度
暑さには強く、夏越しに特別な対策は必要ありません。寒さには弱く、霜が降りる頃には枯れてしまいます。
ジニア(ヒャクニチソウ)を育てるときのポイント
選び方
4月~7月頃にポット苗が流通します。葉にツヤがあり、下葉が枯れていないものや全体的に元気のいい苗を選びます。
病害虫の跡がないかも確認しましょう。
種まき
ジニア(ヒャクニチソウ)は種まきで簡単に育てることができます。
種まきの適期は、暖地で4月上旬~寒冷地で5月上旬~になります。
発芽温度は20℃前後です。低温時や高温時は育ちにくいので、避けましょう。
種は直まきせず、床まきして苗まで育てます。種まき用土を用意し、種を筋まきしたら、5mm程度の土で覆います。
乾かさないようにしっかり水やりして管理すると、7日ほどで発芽します。発芽後は日に当て、水やりを少し控えめにします。
本葉が2~3枚になったころ、根が切れないように注意しながらポットに移して育てます。
ポットに根が回り、本葉が5~6枚に育ったら、鉢や花壇に植え替えます。
植え付け
4月~7月中旬が適しています。ポット苗は購入直後、植えつけます。
種から育てた場合は、本葉が5~6枚出るまで苗が育ってから植えつけましょう。
ジニア(ヒャクニチソウ)は直根性で、太い根がまっすぐ下に伸びていきます。この根を痛めると、うまく育ちません。
植え付けの際は、根を切らないよう、注意します。また同じ理由から、あまり植え替えには向きません。
鉢植えの場合、5号鉢に1株が目安です。大きなプランターを使う場合は、株間を15~20㎝取りましょう。
庭植えの場合も、同様に株間をとって植えつけます。鉢植え、庭植えどちらも植え付け作業の後はたっぷりと水を与えます。
剪定・切り戻し
咲き終わった花の花がらはこまめに摘み取りましょう。あわせて、開花中に3回程度切り戻しを行います。
1回目
本葉が10枚前後のころ行いましょう。枝分かれを促すため、茎の先端を脇芽の上で切ります(摘心)。
摘心を行うと脇芽が増え、花が沢山つきます。
2回目
梅雨時期に行いましょう。脇芽が出ている少し上で茎を切ります。
風通しを良くして、蒸れを防ぐのが目的です。
3回目
8月上旬~中旬に行います。2回目と同じように、脇芽の上で茎を切ってください。
ジニア・リネアリスとジニア・プロフュージョンは、草丈全体の2分の1~3分の1の位置まで切り戻します。
必ず葉を残して剪定しましょう。一度花が少ない姿になりますが、こうすることで秋に再び花が沢山咲きます。
増やし方
さし芽で増やすことができます。さし芽の方法は以下の通りです。
- 新芽がついた茎の先端を6cmほど切ります。
- 切り口を斜めにカットしなおし、下葉を取ります。
- 赤玉土(小粒)など、あまり栄養分のない用土をポットに用意し、切り取った茎を挿します。
- 乾燥させないように水やりし、明るい日陰に置いて管理しておく
- 根がしっかり出て本葉が育ったら、鉢や花壇に植え替えます。
さし芽は春から秋に行ってください。
枯れたジニアから種を採取してまくこともできます。
しかし、「交配種」「F1」と書かれた種から育てたものは、翌年同じ花が咲くとは限りません。
気を付けるべき病気・害虫
病気
うどんこ病、斑点細菌病に注意しましょう。
うどんこ病は、葉にうどん粉のような白いカビが生え、広がっていく病気です。
斑点細菌病は、雨による泥はねなどで土の中の細菌が葉につき感染します。葉や花びらに褐色の斑点ができ、広がります。
害虫
アブラムシ、ハダニ、ヨトウムシに注意しましょう。
殺虫剤・殺菌剤
うどんこ病には、市販のスプレータイプの殺菌剤を散布します。
斑点細菌病は、見つけ次第取り除きます。雨がかからない場所に移動させたり、株元をマルチングするなど対策します。
害虫は見つけ次第、捕殺します。アブラムシには市販のスプレータイプの殺虫剤などをまきます。