クリスマスの花「ポインセチア」の育て方・お手入れ方法【赤くする”短日処理”とは?】

クリスマスシーズンになると街のあちらこちらで見かけるポインセチア。
赤と緑のコントラストが目を引き、華やかです。
寒さに弱いので、冬の間は室内管理が必要ですが、コツを押さえれば長く育てて楽しむことができます。
今回は、ポインセチアの植え替えや水やりなど、日頃のお手入れについて紹介します。

ポインセチアの基本情報

学名Euphorbia pulcherrima
英名Poinsettia
その他別名ショウジョウボク(猩々木)
科名トウダイグサ科
属名トウダイグサ属(ユーフォルビア属)
原産地メキシコ山地

ポインセチアの特徴

今や冬の風物詩ともいえるポインセチア。
クリスマスシーズンになるとよく目にします。
キリスト教文化においては赤はキリストの血、緑は永遠の命を表すとされ、両方の色を併せ持つポインセチアはクリスマスを象徴する植物として飾られます。
また、赤いパーツの形がベツレヘムの星を連想させたり、花言葉に「聖夜」が含まれるなど、ポインセチアはまさにクリスマスにぴったりの植物と言えます。

しかしこのポインセチア、実は原産地はメキシコで、本来暖かい地域に育つ植物です。
そのため寒さに弱く、観賞シーズンである冬の間は室内で育てるのが基本です。

ポインセチアの名前は、メキシコに駐在したアメリカ大使のポインセットという人物名に由来しています。
1825年にポインセット氏がメキシコ駐在中に自生種を発見、アメリカに持ち帰ったことからつけられました。

ポインセチアの最大の特徴である赤色のパーツは、花ではなく「苞(ほう)」と呼ばれる部分です。
花は中央の小さな黄色い部分になります。
品種改良によって、定番の赤以外にもピンクや白、複色など苞(ほう)の色には豊富なバリエーションがあり、中には着色されて売られているものもあります。

ポインセチアの種類

定番の赤いポインセチア以外にも、ピンク、白、斑入りなど様々な品種があります。
代表的なものをご紹介しましょう。

エッケスポイント

プリメーロジングルベル、プリメーロレッドなどがあります。
赤い苞の中央にピンクの斑が入る「アイスパンチ」は人気があります。

グートピア

分枝性がよく、落葉しにくいV‐10シリーズ、V‐14シリーズ、V‐17シリーズがあります。

ウインターローズ

葉や苞が丸く巻いて、バラのように見える品種です。
赤以外にも白、ピンク、斑入りがあり、人気です。

プリンセチア

葉や苞が小さめの品種です。
可愛らしく、人気があります。クリスタルスノー、ピンクシャンデリア、ルージュなどがあります。

ポインセチアの栽培・育て方

日本においては基本的にポインセチアは鉢植えで育てます。
気温に合わせて、冬の間は日当たりの良い室内、夏の間は雨に当たらない半日陰の屋外で管理します。
枯れさせないためには温度管理が重要です。

ポインセチアの育て方情報

分類・形態草花・常緑低木
草丈・樹高10~60㎝
開花の時期12月~2月
花色赤・白・紫・複色・ピンク(苞の色)
耐寒性弱い
耐暑性強い
特性・用途鉢植え
栽培難易度やや難しい

栽培スケジュール

植え付け3月~5月
植え替え3月~5月
剪定3月~5月
肥料5月~10月
開花12月~2月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

冬の間、開花鉢は日当たりの良い室内に置きます。
エアコンやストーブの温風が直接当たらない場所を選びます。
室内でも玄関や窓辺は暖房が切れた夜間になるとぐっと室温が低くなるので注意しましょう。

5月~9月の暖かい時期は屋外で育てます。
日当たりの良い場所に置きましょう。
ただし、雨に当たると過湿になるので、軒下など雨のかからない場所を選びます。
夏の直射日光が強く当たり過ぎると葉がやけます。
真夏は風通しの良い、明るい半日陰が適しています。
夏も室内で管理する場合は、エアコンの冷風が直接当たらない場所を選びます。

季節によって室内と屋外を移動させて管理しますが、急激な温度変化は葉が落ちる原因になります。
場所替えする際は徐々に気温に慣らすように工夫しましょう。

水やり

過湿を嫌うので、水のやり過ぎに注意して、乾かし気味に育てます。

土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと与えるのが基本ですが、冬の観賞期は本来休眠期なので、水やりは控えめにします。
冬場は天気が良い日の午前中に水やりを行いましょう。

春から夏の期間は生育期にあたります。葉から蒸発する水分量が増えるので、朝の1回で足りないときは夕方にも水やりします。
乾燥させ過ぎないように注意して水やりしましょう。

肥料

元肥として、植え付け・植え替えの際に緩効性化成肥料を施します。

その後、追肥として7月に液体肥料、8月~10月に緩効性化成肥料を与えます。
冬の間は休眠期なので肥料は与えません。
肥料やけを防ぐため、ラベルや説明書をよく読み、適量を守りましょう。

用土

水はけが良く、保水性のある有機質に富んだ肥沃な土が適しています。
市販の観葉植物用培養土で問題なく育ちます。

配合する場合は、赤玉土中粒5:腐葉土3:酸度調整済みピートモス2の割合で混ぜ合わせ、リン酸分の多い緩効性化成肥料を施します。

温度

耐寒性が弱いです。
冬の間は日当たりの良い室内に取り込んで、最低温度は10℃以上を保つようにしましょう。
夜になると室内でも気温が下がるので、窓から離して置いたり、囲いを設けたりして冷気から守ります。

ポインセチアを育てるときのポイント

選び方

クリスマスシーズンを控えた11月~12月頃、園芸店などで苗が出回ります。
葉や苞の色が鮮やかで、葉先までピンと張った元気な苗を選びましょう。
葉と葉の間が間延びして徒長しているもの、株元がグラグラしているものは避けます。
病害虫の跡がないかどうかよく確認しましょう。

植えつけ・植え替え

5月~6月がポインセチアの植えつけ・植え替えの適期です。
気温が上がり、生育が旺盛になる期間です。鉢植えでポインセチアを育てていると、根詰まりしてくるので、1~2年に1回のペースで植え替えを行います。

植え替えの際は、最初に剪定を行い、株をコンパクトにしておきます。
古い鉢から根鉢をそっと取り出したら、新しい土を入れられるように根鉢の古い土を少し落とします。
あらかじめ用意しておいたひと回り大きな鉢に植え替えます。
隙間ができないように土を入れ、最後にたっぷりと水やりします。

プリンセチアの育て方と植え替え方法

剪定・切り戻し

5月頃に樹形を整えるための切り戻しを行います。
生育期の夏に枝が伸びすぎたらもう一度切り戻してもよいでしょう。
葉が茂り、混み合ったところを切って、風通しを良くします。

ポインセチアは枝を切ると白い樹液が出ます。この樹液が肌に触れるとかぶれることがあるので、注意しましょう。
間違って直接触れてしまった場合は、流水でよく洗い流します。
剪定の際はあらかじめ手袋をするなどして行うと安心です。

苞を色づかせる「短日処理」

ポインセチアの最大の特徴である赤い苞を美しく色づかせるためには、ちょっとしたコツがあります。
ポインセチアは「短日植物」といって、日照時間が一定の時間より短くなることによって開花が促される性質をもった植物です。
日が短くなると花芽ができて、苞が赤く色づくのです。
原産地のような暖かい気候の自然においては、自然環境下でも気温が高いまま日が短くなる状態がおきるのですが、日本ではそうはいきません。
10月下旬頃には気温が下がるので室内に取り込むことになります。
短日植物は人工の光にも反応するので、夜間に照明がついた明るい室内では、ポインセチアの苞はなかなか色づくことができません。

そこで、遮光を行い、短日の状態を作り出す「短日処理」を行う必要があるのです。
クリスマスシーズンに合わせる場合は9月下旬~10月上旬に行います。
日没から翌朝8時頃まで、光の当たらない場所に置いて管理するか、ダンボールなどの箱で鉢をすっぽり覆ってあげましょう。
毎晩続けていくと、次第に苞が色づいてきます。

ふやし方

ポインセチアは挿し木(挿し芽)で増やすことができます。
気温が20℃前後になる5月~6月が適期です。

本葉3~4枚がついた若く元気な茎を、挿し穂として切り取ります。
剪定の際に切り取った枝を利用してもかまいません。水を張った容器に枝を浸し、切り口の樹液を洗い流します。
そのままにしておくと樹液が固まって根が出にくくなってしまうからです。
樹液が出るのが止まったら、水を替えて1時間くらい吸水させた後、挿し木の用土に挿します。
用土は事前にしっかり湿らせておきます。
直射日光が当たらない、明るい日陰で、乾燥させないように気を付けて管理します。

水に挿して、発根させることも可能です。
水を入れ替えながら明るい日陰で管理し、発根したら用土に植え付けます。

気を付けるべき病気・害虫

病気

すす病、灰色かび病など

すす病はすす病菌というカビが原因の病気です。
葉が黒いすすで覆われたように黒っぽくなり弱ります。

灰色かび病は、葉が淡褐色に変色し、進行すると腐敗、灰色のカビが生えます。

害虫

アブラムシ、カイガラムシ、オンシツコナジラミ、ルイスアケハダニなどに注意しましょう。

殺虫剤・殺菌剤

葉がこみ合あっていると病気になりやすくなります。
切り戻しをして風通しを良くしましょう。

害虫は見つけ次第駆除します。
アブラムシやカイガラムシがついていたら、すぐに古歯ブラシなどでこそげ落とします。
ハダニを防ぐには、葉に直接水をかけて流す「葉水」が有効です。
高温で乾燥する時期に発生しやすいので注意します。