柊(ヒイラギ)の育て方と類似種の見分け方

濃緑のつやのある葉の縁に、鋭いトゲがあるのが印象的な柊。

その葉の形状から、邪鬼が入るのを防ぐと信じられ、古くから庭木として使われてきました。
また、日本の柊とは似て非なる、名前に「ヒイラギ」と付く類似種もあります。
そこで、その見分け方と、栽培の方法・コツをご紹介します。

柊の基本情報

学名Osmanthus heterophyllus
英名False holly・Holly olive・Chinese Holly
その他別名鬼の目突き(オニノメツキ)
科名モクセイ科
属名モクセイ属
原産地日本(本州:関東地方以西・四国・九州・沖縄)の主に太平洋側・台湾

柊の特徴

柊は、本州の関東地方より西、四国、九州、沖縄の、主に太平洋側の山地で見られる、高さ4~8mの常緑の樹木です。
柊という名前は、葉のトゲに触れると痛いことから、ズキズキ・ヒリヒリする、という意味の「ひいらぐ(疼)」という古語に由来します。
また、柊には「鬼の目突き」という別名があるように、古くから、鬼除け、魔除けとして庭木の生垣などに使用されてきました。

秋頃に甘い香りのあるかわいらしい白い花が咲き、翌年の初夏に、黒紫色の実が熟します。若木では、葉がトゲトゲしていて2〜5対の歯牙が見られます。老木になるとそれがなくなり、楕円形の葉となります。
また、マルバヒイラギといった、もともと葉がトゲトゲしていない品種や、斑入りの品種もあります。

柊の種類

【クリスマスに飾るのが柊ではないの?類似種のご紹介】
柊というと、クリスマスの赤い実のイメージがありませんか?
リースやクリスマスの飾りによく見かけますね。
じつは、それは類似種の「西洋ヒイラギ」です。
このように、名前にヒイラギとつく、類似の植物がありますのでご紹介します。

西洋ヒイラギ(モチノキ科)

西洋ヒイラギはモチノキ科の樹木で、柊はモクセイ科ですので、異なるグループの植物になります。
ちなみに西洋ヒイラギは、英名クリスマスホーリーといい、赤い実がイエスキリストの血を象徴し、トゲトゲした葉がイエスに被せられた茨の冠を象徴することから、その名が付いたといわれています。
西洋ヒイラギも、春に小さな白い花が咲きます。

ヒイラギナンテン(メギ科)

こちらも、柊とは異なる仲間ですが、葉の形状が柊と似ており、トゲのある常緑低木です。
高さは1~2mほどの株立ちで、春先に黄色い花をつけます。
その翌年の初夏頃、黒紫色の実をつけます。

柊の栽培・育て方

柊は、寒さや暑さに比較的強く、害虫にも強く、比較的日陰でも育つので、初心者にも栽培しやすい樹木といえます。
ただ、本来は太陽を好むので、できれば日当たりの良い場所で、肥沃で水はけの良い場所に植えてあげましょう。
また、冬の冷たい風を嫌うので、風が強く当たる場所を避けるなど、植える場所に注意が必要です。

柊の育て方情報

分類・形態庭木・常緑小高木
草丈・樹高4~8m
開花の時期10月~11月
花色
耐寒性強い
耐暑性強い
特性・用途常緑性・丈夫・耐陰性・庭木・生垣・公園・鉢植
栽培難易度やさしい

栽培スケジュール

植え付け4月~5月
植え替え3月~4月
剪定3月~4月
肥料2月・8月下旬~9月上旬
開花10月~11月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

柊は日当たりが良い場所を好みます。
できるだけ日当たりの良い場所に植えつけましょう。
強い西日が当たり、土を乾燥させてしまう場所は避けてください。
鉢植えの場合も、日当たりの良い屋外の場所に置きましょう。風が強く当たる場所は避けてください。

水やり

植えつけ後は、たっぷり水をあげます。
その後は、土を触って表面が乾いていたら水をたっぷりあげましょう。
地植えの場合は、最初の水やりだけ気を遣えば、その後は雨に任せても大丈夫です。

肥料

生育状況を見ながら、2月と8月下旬~9月上旬に、油かすと骨粉を混ぜたものを木の根元に2握りほど与えます。
丈夫なので、肥料を与えなくても、やせ地でなければ問題なく育つでしょう。

用土

やせ地や乾燥した土地を避け、水はけがよく、湿り気も少しあり、肥沃な土壌が好ましいです。

温度

比較的、暑さ寒さに強い柊ですが、本来は温暖な気候を好みます。
もし、鉢植で栽培する場合は、雪が降る日は念のため軒下に移動すると良いでしょう。

柊を育てるときのポイント

選び方

葉がいきいきした状態で、つやがあり、濃い緑色のものを選びます。
また、枝に葉が多くついているものが良いでしょう。
害虫が4ついていたり病気になっていないかも確認しましょう。
柊は、一般的に地植えをしますが、鉢植でも育ちます。
鉢植の場合、鉢は、苗のサイズよりも二回りくらい大きなものを用意しましょう。

植えつけ

時期

苗木は寒さに弱いので、暖かくなってくる4月~5月が植えつけに適しています。
また、温度が高めな時期ということで、夏の終わり~10月頃までも植えつけが可能です。

植えつけには、まず腐葉土や赤玉土などを混ぜた元肥を用意します。

地植え

地植えの場合は、庭に穴を掘り、元肥をそこによく混ぜれば植えつけの準備完了です。
そこに苗木を植えたら、たっぷり水やりをします。

鉢植

鉢植の場合は、植えつける鉢に鉢底ネットを敷き、そのあと鉢底石を入れます。
用意しておいた用土と元肥を合わせて鉢に入れます。
その中に苗木を植え、たっぷりと水をあげます。

剪定・切り戻し

剪定をしなくても、ある程度美しく育ちますが、一般的に、一次成長の終わりごろである春に剪定を行います。
長く伸び過ぎた新梢をお好みの長さでカットしてください。
もし気になる場合は、二次成長の終わった秋口に、もう一度剪定をして形を整えます。

植え替え・鉢替え

鉢植の場合は、柊が成長し、鉢が小さくなったと感じる時に植え替えをします。
時期としては、3月~4月が適しています。

ふやし方

挿し木

育った柊の枝を10~15cmくらいに切りとって、切り口を斜めにカットします。
それを1時間くらい水に浸しておきます。
それを水から取り出し、切り口に近い葉を取ります。
鉢を用意し、その中に赤玉土などを入れ、そこに枝を挿します。
ポイントは、それが育つまで、日陰に置き、土が乾燥しないよう、たっぷり水をあげ続けることです。

種をまく

柊は、6月~7月頃、実をつけます。
それが熟すと、種を収穫できます。
種を採ったら、鉢に用土を入れ、種を植えつけます。
2〜3年そのまま育てて、苗木を成長させます。
育った苗木は、そのあと地植えをするか大きめな鉢に植え替えます。

気を付けるべき病気・害虫

柊は、比較的害虫に強い樹木ですが、日陰に植えたり、剪定を怠り続けたりすると、カイガラムシなどの害虫がつくことがあります。
予防としては、ちゃんと葉に日が当たるような場所に植えることと、定期的に剪定をして日当たりや風通しをよくしてあげることが必要です。

殺虫剤・殺菌剤

歯ブラシで害虫をこそげ落とすかカイガラムシエアゾールを使用しましょう。