ススキは、秋の七草のひとつで、日本の秋を代表する草花です。秋に銀色から黄金色に変わって、見ごろを迎えます。
日本人は昔から、十五夜のお月見にはススキやハギを飾って、豊作や無病息災を祈願してきました。
野山や草原で太陽に照らされて輝く姿をよく見かけますね。
ススキはとても丈夫で家庭でも育てやすく、お庭に独特な存在感をプラスする人気の植物です。
そんな日本文化に深く根差したススキの植物としての特徴や家庭での栽培方法についてご紹介します。
ススキの基本情報
学名 | Miscanthus sinensis |
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英名 | Miscanthus |
その他別名 | ススキ (薄、芒) ・カヤ (茅、萱) ・オバナ (尾花) |
科名 | イネ科 |
属名 | ススキ属 |
原産地 | 中国・朝鮮半島・日本・台湾 |
ススキの特徴
ススキは、オバナ(尾花)やカヤ(萱・茅)とも呼ばれる、イネ科の落葉多年草です。
葉は細長く、30cmから1mくらいの長さになり、ときに2mほどにも生長することもあります。
春は緑色をしている葉が、秋になると15cmほどの白銀色の花穂をつけます。冬に上の部分が枯れますが、全体が枯れるわけではなく、春にまた葉が伸びてきます。
地下茎で増殖し、大きな株となります。
葉のふちはザラザラしており、手を切ることがありますので、触るときは手袋や軍手をするなど注意が必要です。
ススキの名所
日本国内には、いたるところにススキの名所があります。
例をあげると、長野県の車山高原は、秋になるともみじやススキの紅葉がとてもきれいで、有名な観光地となっています。
また、山梨県の富士山を眺めるスポットである山中湖村平野のパノラマ台は、山中湖、富士山、南アルプスを望むことができ、秋にはススキ野原も見ごたえがあります。
紅葉の時期に、美しく揺れる黄金色のススキもぜひ観賞してみてください。
ススキの種類
ススキは、耐寒性・耐暑性もともに優れており非常に丈夫です。そのため、日本全国の日当たりのよい場所であればどこにでも自生しています。
平地、高原、野山、道端、空き地などいたるところで目にします。ススキの分布域は広く、さまざまな自然種や園芸品種が見られます。
また、種類は違いますがパンパスグラスとも間違えやすいので、以下にススキの代表的な品種とパンパスグラスを紹介します。
タカノハススキ
古くから栽培される品種で、緑色の葉に、白っぽい色の横縞の斑が入ります。英名zebra grassとも呼ばれ、おしゃれな印象を与えます。
草丈は2mほどに生長するため、スペースが必要です。
イトススキ
葉が5mmほどの、特に細い品種。標準的なススキより小柄で、1m以上育たないので、ご家庭のお庭に最適です。
斑入りの種類もあります。
シマススキ
葉に縦に白い斑が入ります。非常に丈夫で育てやすく、夏の日差しにも縞斑は焼けず、きれいに保たれます。
パンパスグラス
イネ科シロガネヨシ属の南米原産の多年草です。草丈がススキに比べて高く、3mほどにもなります。
ススキよりも穂の部分が大きく太めで、オーナメンタルグラスとして人気です。
ススキの栽培・育て方
日当たりがよく水はけがよい場所であれば、そこまで土壌を選ばず、どこにでも育ちます。
どんどん増殖するため、ふえてもよい場所を確保して、植えるようにしましょう。
病害虫にも強く、暑さや寒さにも強く、放置していても問題なく育ちます。ガーデニング初心者向きの植物といえるでしょう。
ススキの育て方情報
分類・形態 | 山野草・多年草 |
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草丈・樹高 | 100~200cm |
開花の時期 | 9月~10月(斑入り品種の観賞期は5月~11月) |
花色 | 白 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 落葉性・初心者向き・盆栽・鉢植・花壇・切花・公園・オーナメンタルグラス |
栽培難易度 | やさしい |
栽培スケジュール
植え付け | 2月~3月 |
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植え替え | 2月~3月 |
剪定 | 5月~6月 |
肥料 | 4月~8月 |
開花 | 9月~10月 |
ススキの栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日光を好むため、日がよく当たる屋外に植えましょう。
水やり
鉢植えは、表土が乾いたらたっぷり水をあげましょう。夏場は午前中と夕方に1回ずつ与えます。
地植えの場合は基本的に水やりをする必要はありません。
ただ、夏の暑さや晴天が続き、地面が乾燥しているようなときは適宜水やりをしてください。
用土
強靭な植物で、土壌も選びません。市販の草花用の土などで問題ありません。
ただ、水がたまるような日陰の場所は嫌うため避けましょう。
ススキを育てるときのポイント
ススキの選び方
年中、インターネットの通販で購入することができ、休眠中の苗も販売されています。
強靭な植物ですので、しっかりした苗であれば、見た目で気に入ったものを選ぶと良いでしょう。
植え付け・植え替え
ススキは、地植えでも鉢植えでも栽培可能です。植え付けおよび植え替えは、休眠中である2月~3月に行います。
庭植えの場合は、3、4年に1度くらい掘り上げて、株分けをすると大きくなりすぎるのを防ぐことができます。
鉢植えの場合は、生長に合わせて、できれば毎年、大き目の鉢に植え替えます。同時に株分けも行うと良いでしょう。
剪定・切り戻し・収穫
必ずしも必要ではありません。
大きくなりすぎるのを防ぐには、5月から6月くらいに、根元を残して葉の部分を刈り込みます。
ふやし方
ススキは株で大きくなっていくので、株分けでふやすことができます。
休眠期の2~3月に植え替えのときに、株分けも行うと良いでしょう。ススキの株を掘り起こして、分割します。
病気・害虫
特にありません。
殺虫剤・殺菌剤
特にありません。