ぷっくりした色鮮やかな葉がロゼット状に重なり、秋冬には美しい紅葉を見せてくれる多肉植物。中でも絶大な人気を誇るエケベリア属は薔薇の花のようなフォルムで一年を通して様々な顔をみせてくれます。
適切な植え替えや葉挿しや挿し木、株分け等で増やして、何年も楽しむことができるのもエケベリア属の魅力です。今回は多肉植物のエケベリア属を長く楽しむために、重要になってくる植え替え方法のコツを紹介いたします。
多肉植物のエケベリア属とは?エケベリアの魅力
多肉植物とは葉や茎に水分を蓄えている植物のことで、ぷっくりした可愛らしい見た目が特徴です。
多肉植物は数えきれないほどの種類があり、それぞれの特性によって属性に分けられています。その中でも最も人気があるのはエケベリア属。
エケベリア属は薔薇のような美しい姿で色とりどりのカラーが楽しめることから、多肉植物の中でも最も人気がある種類です。
多肉植物エケベリア属の基本情報
学名 | Echeveria |
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英名 | Echeveria |
科名 | ベンケイソウ科 |
属名 | エケベリア属 |
原産地 | メキシコ |
多肉植物エケベリア属の植え替えが必要な理由は?
植え替えは多肉植物に限らず、どの植物にも健康に育てるためには定期的に必要な作業です。
植え替えをしないと土が固くなってしまい、水を通しにくくなります。また古くなった根っこは水分や養分を吸収できません。
古い根を整理し、ふかふかの新しい土に植え替えることによって、新しい根っこがのびのびと育ち、水分をバランスよく吸収し元気よく育つことができます。
今回植え替えする苗は、木立ちして上に伸びきってしまったエケベリア属のキュービックフロスト。苗と鉢のバランスが悪く、支えがないと倒れそうです。強風の日は倒れてしまいます。
また根元には子株が沢山いますが、親株がいるため、栄養が届かず生長が止まっています。木立してしまった親株をカットし、親株も子株も同居できる大きな鉢に植え替えてみたいと思います。
多肉植物エケベリア属の植え替えに適した季節
多肉植物エケベリア属の植え替えに適した季節は3月~5月、9月~11月です。エケベリア属は春と秋が生長期なので、この時期に植え替えをすると、苗への負担が最小限に抑えられます。
夏や冬の休眠期に植え替えをすると、植え替え後根が伸びずに株が弱って死んでしまうことがあります。
多肉植物エケベリア属の植え替えで今回用意したグッズを紹介
植え替えをするにあたり、以下の物を準備しましょう。
- 植え替えが必要で土が乾いた状態のエケベリア
- 現状の苗より一回り大きい鉢
- 底穴ネットまたは鉢底石
- 水捌けのよい土
- 清潔なハサミ
- スコップ
- ピンセットまたは割りばし
- 肥料、粒状殺虫剤オルトラン
植え替えが必要で土が乾いた状態のエケベリア
植え替えを必要としている、エケベリアからのサインを見つけたら、植え替えのタイミングです。
- 多肉植物が鉢いっぱいに生長し、苗より鉢が小さい
- 底穴から根っこがはみ出している
- 2年以上植え替えをしていない
- 水やりすると水捌けが悪い
- 下葉が変色し、枯れ落ちるスピードが速い
現状の苗より一回り大きい鉢
用意する鉢は現状の苗と鉢の間に指1本分くらいの隙間があると理想的です。大きすぎると、水が乾きにくく蒸れやすくなり、小さすぎると、水を適切に吸収できません。
底穴ネットまたは鉢底石
底穴から虫の侵入を防ぎ、土がこぼれ落ちるのを防ぎます。
水捌けのよい土
エケベリア属は葉っぱや茎に水分をたくさん蓄えているため、水捌けの良い土を好みます。
ホームセンター等に売られている多肉植物用の土は水捌けがよく配合されているので、自分で配合する手間も省けます。
清潔なハサミ
植え替えをするときに、挿し木用のカットや古い根っこをカットする際に使用します。カットした場所から細菌が入らないよう、清潔なハサミを使用しましょう。
スコップ
土を植木鉢に入れていく際に使用します。
ピンセットまたは割りばし
土と根っこの間に、隙間ができないよう手直しする際に使用します。
肥料、粒状殺虫剤オルトラン
こちらはなくてもいいが、状況によってはあったほうがいい物です。
カイガラムシ等の害虫からエケベリアを守りたい時はオルトラン、肥料は土に混ぜ込むタイプの物を使用すると約一年間ゆっくりと生育を促してくれます。
多肉植物エケベリア属の植え替え手順
- 鉢から土が乾いた状態の多肉植物を優しく土ごと取りだす
- 根っこの絡まりを優しくほぐしながら、丁寧に土を落とす
- 伸びすぎて、傷んだり黒ずんだりしている根っこをカットする
- 木立している部分をカット
- 鉢の底穴に底穴ネットまたは底石を敷く
- 新しい土を鉢の3分の2ほど入れてから、先ほど根っこをカットした多肉植物を置く
(このタイミングで、肥料や薬剤を追加。大きく育てたい場合は肥料を追加し、害虫予防する場合はオルトランを土にまぜる) - 片手で多肉植物を支えながら、周りに土を足していく
- ピンセットや割りばしで土を軽く差しながら、土と根っこの間に隙間がなくなるようなじませる
①鉢から土ごと苗を取り出す
鉢から苗を土ごと出す時に、以前植え替えてから何年もたっている場合はとりだせないことがあります。
その場合は底穴からピンセット等でつつきながら、根っこが鉢にくっついている部分を優しく剥がしてあげましょう。
無理やり引っ張りだすと、茎が折れたり葉が取れたりしてしまうので、ゆっくりと優しく土をほぐしながら取り出してください。
②丁寧に土を落とす
古い土と根っこが絡まりあっているので、優しくほぐしながら根っこから土を落としてあげましょう。
その際、根元にカイガラムシ等の害虫が潜んでいないか観察しながら行うと、早期発見につながり、害虫被害から苗を守ることができます。
③根っこをカット
根っこは下に行くにつれ黒ずんで変色しています。変色している根っこからは水を吸収できず、根腐れの原因になるため、植え替えの際にカットします。
カットしてあげることにより新しい根っこが生えてきます。
④木立してバランスが悪くなった部分をカットする
木立して伸びすぎてしまった部分は、支えがないとすぐに倒れてしまい、折れてしまう危険があります。また根元にたくさんいる子株たちが育たなくなってしまうため、カットします。
長い茎から気根が出ているので、茎だけになってしまった部分もこれから子株が出てくる可能性があります。土の上に置き、子株が出てくるのを楽しみましょう。
⑤鉢の底穴に底穴ネットまたは底石を敷く
底穴から害虫が入ってくるのを防ぐためにネットまたは底石を入れます。今回はダイソーで購入した底穴ネットと陶器の植木鉢を使用しました。
ダイソーは、定期的に可愛い鉢が入荷するのでとてもおすすめです。
⑥土を入れ混ぜ込みタイプの肥料と薬剤を混ぜ、苗を置く
土を鉢の3分の2ほどいれ、その際に必要に応じて肥料と薬剤を投入し、軽く混ぜ込みます。その上に先ほど根っこと挿し木部分をカットしたエケベリアを配置します。
⑦周りに土を足していく
エケベリアを配置したらしっかりと土と茎と根っこが安定するように土を追加していきます。
土を追加したら、ピンセットで根っこと土に隙間ができないように、優しくつつきながら土を隙間なく入れなじませます。
⑧完成
これで不安定だった苗も倒れる心配もありません。根元の子株もしっかり栄養が行き渡るようになります。
多肉植物エケベリア属の植え替え完了!管理について
植え替え後の苗はとても弱っています。植え替え直後は下記の点に注意しましょう。
- カットした部分から細菌が入る可能性があるため、水やりは1週間たってからたっぷりと
- 日差しが強い場所に置くと苗に負担がかかります。半日陰でしばらくは管理し、徐々に定位置に戻していきましょう。
- 植え替え直後は根付いていないため、グラグラしやすく不安定になります。なるべく安定した場所で管理しましょう。
木立した多肉植物も盆栽のように風情が出て素敵なのですが、今回は子株も生長させて増やしたかった為、思い切ってカットして一緒に植え替えました。これで強風が吹いても倒れる心配もありません。
同じ鉢に親子でスッキリ収まり、更なる生長を楽しみたいと思います。