
ハーブの大定番と言えば「ミント」ですが、その品種は交配が容易なことも手伝って多岐に渡り豊富です。
日本薄荷(ニホンハッカ)をはじめ、アップルミント、スペアミント、ペパーミントなど種類は違えど、皆同じ手法で栽培できるものです。
今回はミントの挿し苗を植え替えし、春以降に効き目が表れるぼかし肥料の作り方などをまとめてみました。
ミントを剪定し挿し苗を作る適した季節とは

挿し苗の採摘は、新芽や新葉が芽吹く4月から晩夏頃に行えば安定して成功しやすいのですが、ミントは丈夫なのでほぼ通年の植え替えが可能です。
冬場でも日当たりのいい室内でならば問題なく育ちます。
(画像は8月下旬に採取のスペアミントです)
ミントの挿し苗の採取

比較的丈夫な茎を選び、剪定ばさみやナイフで2~4節くらいを適当に剪定します。
コップなどにさしておき、1〜2週間で発根し上図のように葉の付け根の下にたくさん生えてきます。
その際徒長(とちょう)を防ぐため日当たりのよいところにおいて発根させます。
抜き苗はすぐに土植え出来る

これを引き出して採取すれば挿し苗より活着しやすい抜き苗になります。
直接ポットや小さな鉢に移植してもよく育ちます。
(後述する「ランナーで小株をつくる方法」で詳しく解説)
野外で採取するミントは茎がちょっとした枝のようになっているので、たくさん採取するときは握りやすい枝切りハサミがおすすめです。
発根~ポット栽培までひとつで2役兼ねるのが、この根腐れ知らずのペットボトルでつくる培養ポットです。
水耕ポットをペットボトルでつくる
水耕ポットをペットボトルでつくる流れを説明します。
- 水差し用として500mlペットボトルを切りコップにする
- 発根してきたら水を捨て底にスリッドを4〜6本入れる。
もう一本のペットボトルの底だけを切り、受け皿として装着する - 下のスリッドに水が溜まるので、根がたくさん出てきたら受け皿に液肥をいれた水耕栽培が可能
まず水差し用として500mlペットボトルを切りコップにします。
発根してきたら水を捨て底にスリッドを4〜6本入れていきます。
もう一本のペットボトルの底だけを切り、受け皿として装着します。

下のスリッドに水が溜まっているので、根がたくさん出てきたら受け皿に液肥をいれた水耕栽培可能です。
地植えにしても根の状態一目でわかるので植え替え時期がすぐにわかるのもよい点です。

そのまま水耕栽培する「ハイドロカルチャー仕立て」

いわゆる水耕栽培で土は使わない栽培方法ですが、切り苗は発根するまでは2~3日おきにこまめに水を替えます。
用土はゼオライトという細かい石で熱帯魚の水草などによく使われています。

ミントの葉が黄緑に色落ちしたり、葉が小さくなって成長しなくなってきたら、花の活力剤などの液体肥料を与えます。
球根ものと違い日照時間は地植えよりも必要です。

液体肥料は薄めずに使えるストレートタイプもおすすめです。


培養土に植える「ミントに適した植え替え土、元肥とは」

ミントの葉を育てる時に使われる置き肥料やぼかし肥料は、ゆっくりと効果を期待するものです。
実をいうとミントのようなハーブ類は雑草のため、元肥もあまりあげなくてもよいくらいです。
速攻型の有機肥料や鶏糞はかえって枯れる原因にもなってしまうこともありますので、植えてみて足りなそうな時にあげればそれで充分です。
用土の配合例
下記を目安に水捌けのよい用土を作ります。
他、椰子繊維、ゼオライト、川砂なども培土として適しています。
腐葉土 | 7 | 植物万能用土 |
---|---|---|
軽石 | 鉢に移植時に5/1程度 | 2〜3 |
パーミキュライト、赤玉 | 水捌け、巻き防止 | 発根促進、Ca補給 |
ゼオライト(*水耕栽培時) | 1(ハイドロは10) | ハイドロ向け、見た目重視 |
挿し苗をポット土に植え替える目安とは
このような状態なら一回り大きな鉢に植え替えてあげましょう。
- 9cmポットの下の穴から根が溢れている
- 葉が生えない、茎が細い、ランナーが巻いて空中で発根している
- 水がすぐに乾くので枯れやすい(葉が冬でもないのに硬くてカサカサしている)
ぼかし肥料をつくる

画像のような生ぬかを使って落ち葉や堆積土、雑草などと共に混ぜて日当たりのよいところに適当に放っておきます。
この時、牛糞や鶏糞を入れると速効性のある有機肥料になりますが、ゆっくり効いてくるぼかし肥料はそれらを使わず、米ぬかと落ち葉の堆積土、魚骨粉(おから、酒粕などもよい)を混ぜて発酵させるだけでいいです。
堆積腐葉土や籾殻、炭を加えるのは有機肥料をつくるときにアンモニアを抑えるのと、水分量を保つために使います。
米ぬか | 10 | リン、油分 |
---|---|---|
おから(なくともよい) | 1〜2 | カリウム、たんぱく、油 |
籾殻(または使用済みの炭でも可) | 1〜2 | 換気、緩衝、炭素 |
魚骨粉 | 1 | リン、カルシウム |
1年以上の株、野外植生から苗をつくる「ランナーで小株をつくる方法」

上に伸びる性質を持つミントですが、剪定せずに比較的自由に伸ばすと鉢植えでも地植えの時のようなランナーが地を這うように延びていきます。
成長期から開花時にかけて発根が活発になることもあり、葉の下の根元から新しい根が盛んに生えてきます。
それを切らずに等間隔で9cmポットに受けていき、針金で用土に固定すると簡単に根が付き新葉が成長します。
水挿しよりも確実で徒長しにくく、抜き苗よりも株立が美しいのでおすすめです。

*参考画像は大晦日近く冬、越しで地表に活着しているミントです。
ランナーの遊走は自然のなかで通常に見られる性質です。
(冬場で長いのがなかったのでこの画像をもとに想像でお願いします)
「植え替えを終えて」約3か月経過の挿し苗のミント(冬植え)

卓上に置けば冬にでも成長し、フレッシュなミントでお茶やカクテルを楽しむこともできます。
ミントを地植えで植えるのは本来春になってからです。
丈夫な雑草のミントは大晦日の雪の日でも葉が青いくらい耐寒性も優れていますので、室内ならばほどほどに収穫できます。
また、ミントにとって日照時間は大きな成長要素なので、必要な陽当たりを確保して栽培することが大切だと改めて思いました。