キンギョソウ(金魚草)の育て方・切り戻し方法と特徴【四季咲きの品種もあり】

花びらがヒラヒラと広がり、まるで優雅に泳ぐ金魚のように見えるキンギョソウ。

花色が豊富で、寄せ植えや花壇を春めいた、にぎやかな雰囲気にしてくれます。
今回は、春に咲く人気の花、キンギョソウについて紹介します。

キンギョソウの基本情報

学名Antirrhinum majus
英名Common snapdragon
その他別名スナップドラゴン
科名オオバコ科
属名キンギョソウ属(アンティリナム属)
原産地地中海沿岸地方

キンギョソウの特徴

キンギョソウは、地中海沿岸が原産の多年草です。
日本では夏の蒸し暑さに耐えられず枯れてしまうことが多いため、一年草として扱われます。

春になると次々に色鮮やかな花を咲かせ、甘い香りと華やかな雰囲気を作り出すので、とても人気があります。
日本では名前の由来が花の形が金魚に似ているということで「キンギョソウ」とついていますが、英語圏では、「スナップドラコン(Snapdragon)」と呼ばれています。

直訳すると「かみつきドラゴン」、花の形を龍に見立てた由来の名前になっています。

キンギョソウは近年、種を包んでいるさやの形が「ドクロ」に似ていて面白いと話題になりました。

花が咲枯れ、種ができたら、乾燥の進んださやをよく観察してみましょう。
可愛らしかったキンギョソウから、ホラーなドクロが沢山できているのを発見するはずです。
ちょっと不気味ですが、変わった楽しみ方ができますね。

キンギョソウの種類

キンギョソウはヨーロッパで品種改良が進み、様々な種類があります。

定番の一重咲きだけではなく、ペンステモン咲きや八重咲きの品種もあり、花の印象が大きく違います。
草丈が高い中・高性種は切り花にしたり、花壇の後方に配置するのに向いています。
草丈が低い矮性種は寄せ植えや花壇の手前に配置するといいでしょう。花色も豊富です。

草丈が低い品種(矮性種、草丈20~30㎝程度)

パレット系やフローラルシャワーシリーズ・モンティコシリーズなどがあります。

草丈が中くらいの品種(中性種、草丈50㎝程度)

ソネットシリーズやプリンセス系があります。

草丈の高い品種(高性種、草丈100㎝程度)

メリーランドシリーズがあります。

キンギョソウの栽培・育て方

キンギョソウは、日当たりが良く、水はけの良い場所で育てます。

土をあまり選ばず、乾燥気味を好みます。
暖かくなると次々に花を咲かせますので、花がら摘みをまめに行いましょう。

キンギョソウの育て方情報

分類・形態草花・多年草(一年草扱い)
草丈・樹高20~120㎝
開花の時期主に4月~6月(四季咲きの品種もあります)
花色白・赤・ピンク・オレンジ・黄・複色
耐寒性強い
耐暑性普通
特性・用途花壇・鉢植え
栽培難易度普通

栽培スケジュール

植え付け3月~5月・9月~11月
植え替え3月~5月・9月~11月
肥料3月~5月・9月~11月
開花4月~6月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

日当たりの良い場所で育てます。
日陰ではうまく育たず、花が咲かないことがあります。

水やり

種まきから苗を育てている間は、乾かさないように水を与えます。
その後は、乾燥気味に育てます。
土の表面が乾いたら水やりするようにし、過湿にならないよう注意します。

肥料

キンギョソウは少なめの肥料でも育ちます。
庭植えにした場合は、ほとんど必要ありません。
窒素分が多い肥料を施すと葉ばかり茂るので、注意しましょう。

鉢植えの場合、春と秋に少量施します。
生育の様子を見ながら、薄い液体肥料を与えます。

用土

庭植えの場合、堆肥や腐葉土を混ぜて土をふかふかにしておきます。

鉢植えの場合は、一般の草花用培養土で大丈夫です。

温度

高温に比較的耐えますが、多湿を嫌うので、日本では梅雨~夏に枯れてしまうことが多いです。
-5℃程度まで耐えられるので、耐寒性は比較的ある方ですが、霜に当たると枯れてしまうことがあります。

暖かい地方は冬越しできますが、寒冷地は鉢を軒下に置くなど、霜よけの対策が必要です。

キンギョソウを育てるときのポイント

選び方

株元がしっかりした、元気な苗を選びます。
下葉が黄ばんでいるような苗は避けましょう。
花が咲いていれば、花色を確かめて選ぶことができます。

冬に苗の販売が始まることがありますが、本来春に咲く花なので、寒い時期はあまり咲きません。
耐寒性は比較的強いので、適切に手入れしておけば春になって開花します。

種まき

キンギョソウの種はとても小さいです。
赤玉土小粒に3割ピートモスを混ぜた土を用意し、まきます。

好光性種子なので、土はかぶせません。
本葉が4~6枚になってから鉢上げします。

植え付け

春か秋に、苗を植え付けます。

草丈の低い品種は、花付きのポット苗が多く園芸店で販売されています。
高く伸びて育つ品種はポット苗の流通が少ないので、種から育てて植えつけます。

剪定・切り戻し

開花期間が長く、花が次々と咲くので、花がらをまめに摘み取りましょう。
見栄えが良くなるだけでなく、病気の予防につながります。
株があまり混み合ってきたら、思い切って切り戻し、仕立て直します。

増やし方

種で増やすことができます。
種を自分で採種することもできますが、同じ花が咲きにくいこともあるので、毎年購入するのが確実です。
種まきは春か秋に行います。

さし芽でも簡単に増やせます。
わき芽がたくさん出るので、これを利用します。

気を付けるべき病気・害虫

病気

灰色かび病、立ち枯れ病などに気を付けましょう。

灰色かび病は、株が混み合っていたり、多湿が原因でカビが生える病気です。
花がらや枯葉などにカビが生え、周辺に広がり枯れることが多いので、花がらをこまめに摘み取ることが大事です。
切り戻しを行い、風通しをよくして予防します。

立ち枯れ病は、苗が小さいうちに全体がしおれて枯れてしまう病気です。
土壌病害になります。

害虫

アブラムシに気を付けましょう。

オルトランの粒剤を株元に施して防除します。

殺虫剤・殺菌剤

アブラムシ対策としてオルトラン粒剤などが有効です。