- グラキリスの成長速度(スピード)について理解できる
- グラキリスの成長速度を早める方法が自分でできる
- グラキリスの成長時期がわかる
- グラキリスの成長速度を早めることができるようになる
グラキリスのような塊根植物は「成長が遅い」と言われています。
グラキリスは太ったワイルドな姿が魅力の植物。趣味家の方々がSNSに投稿しているような立派なグラキリスにするには、どうしたらよいのでしょうか?
残念ながら、確率された方法やこれといった正解がないのが現状です。
こちらの記事では、実生苗のグラキリスを中心に、成長速度と、成長時期を解説。少しでも成長を早める方法を探ります。
ぜひ参考にしてください。
グラキリスの成長速度(スピード)
グラキリスの成長スピードはとても遅く、1年間で背丈は1㎝程度、胴回りはふた回りほど大きくなると言われています。
同じ科で、庭木のキョウチクトウは年間50cm伸びると言われているので、その差は歴然です。
種まき・幼苗・成苗のグラキリス成長スピードを、成長段階別に具体的に見てみましょう。
種まきの成長
グラキリスの種子を入手したら、プラグトレーに1粒ずつまくか、黒色のプラ鉢3号(9cm)に種子を数粒ばらまきします。
種子が新鮮なら、早いものでは3日で発芽が始まり、すべての種が生えそろうまでには10日ほどかかるようです。
早く大きくしたい場合は、4~6月の適期に種まきをすることと、種をまいた後、水を切らさないようにするのが成長を早めるコツです。
本葉が二枚ほどになったら徐々に屋外の日光に慣れさせます。いきなり直射日光に当てないように注意してくださいね。
幼苗(~6か月ごろ)の成長
発芽後は、幹がつるんとして緑色をしていますが、5ヶ月ごろになると幹が白っぽく変色し木質化してくる個体も現れます。
木質化する前になるべく太らせるようにしましょう。
「水はあまりやらなくてよい」と言われるグラキリスですが、幼苗のうちは、土が乾きすぎると根の成長が遅くなるので、水切れに注意してください。
毎日水やりしても構いません。
幼苗(~2年目)の成長
鉢に数株植わっている場合は、1年目ごろまでに個別に植え付け、多肉植物の土を使用し、緩効性肥料の元肥をひとつまみ入れると成長がよいようです。
植え替えは最低でも20℃以上ある季節に行ってください。
木質化した苗はぐんぐん成長し、風格が現れます。
同時に個体差も現れ、小さいまま変わらない個体と、大きく成長する個体とがでてくるかもしれません。
1年目以降、徐々に水やり頻度を減らして、株を締めていきます。
鉢のサイズは、2.5号(7.5cm)のプラ鉢がよいでしょう。
成長を早めるよう、地温を上げやすい黒色がおすすめです。
成苗(~3年目以降)の成長
2年目までは2.5号に植わっていたグラキリスを、3年目で3号ポットに植え替えます。
黒色のスリット鉢に植え付ける人が多いようです。
マニアの間では、プラステラの3号鉢が人気のようです。
水やりは用土がしっかり乾いてから。成苗になったら、一般的に言われているように乾燥気味に育てます。
だいたい3~4年目で、開花が見られるようになり、開花後に分頭して枝が生まれ、少しだけ背丈が伸びます。
成苗以降は毎年の植え替えはせず、2~3年に一回程度、胴回りと同じくらいの直径の鉢に、清潔な用土で植え替えましょう。
グラキリスの成長速度への影響要因
グラキリスの成長速度への影響要因には、温度、水分、日照、風通しなどが挙げられ、成長速度を早める方法は次の章で述べますが、盲点なのが置き場所です。
日本の冬は屋外で栽培できないので、どうしても室内栽培することになりますが、実生幼苗の場合、ある程度大きくなるまで、なるべく場所を動かさないほうが、成長がよいのだそうです。
日照を確保するために良かれと思って、昼間はベランダ、夜はキッチンなど、ちょこちょこ動かすとストレスであまり大きくならないかもしれません。
グラキリスの成長速度を早める方法
グラキリスの成長速度を早めるには、どのような方法があるのでしょうか。成長段階別のスピードの章でも記しましたが、改めて考察してみましょう。
水分
グラキリスの実生の場合、幼苗期の水やり頻度は成長速度に大きく関わるようです。
一般的に、グラキリスは「乾燥を好むので乾かし気味に育てる」と言われているので、深く考えずに幼苗も同じ育て方をして乾燥させてしまわないように注意してください。
幼苗時は、成長期に毎日水やりするか、腰水で育てる方もいるようです。
その場合、小さめの鉢に、必ず水はけのよい用土に植えましょう。
日照・風通し
原生地のマダガスカルは、強い日差しが照り付け日照時間が長く、貿易風が吹き荒れています。
グラキリスも強い光と風通しを好みます。
室内栽培の窓辺では光と風が十分とは言えないので、植物育成LEDライトで光を当て、サーキュレーターで風を送りましょう。
風通しは病害虫防止だけではなく、成長ホルモンを刺激する効果があります。
気温
グラキリスはマダガスカルの中央の高原に生えているので、成長する適温は25℃前後で、暑すぎてもよくありません。
春から(真夏を避けた)秋までの期間が成長にとって重要です。
通年25℃の加温ハウスを用意できるならば、一年中成長は可能です。
地温
成長を促すには根の成長が大切です。
グラキリスが最も成長する土壌温度は30℃で、最低でも25℃はほしいところ。
外気温が25℃だったとしても、用土の温度はもっと低い場合があります。
鉢内の温度を調べるために一株に1本、土壌温度計があると便利です。
安いものだと千円前後で購入できますよ。
成長を早める栽培をするなら、鉢に巻くタイプのヒーターで温めるとよいでしょう。
グラキリスの成長時期はいつ?
グラキリスの成長時期は春~秋(真夏を除く)です。
グラキリスの適正温度は25℃ほどで、寒すぎても暑すぎてもよくありません。
東京で25℃というと、5〜6月頃か9月頃。その頃が成長期であり、種まきの適期でもあります。
ただし9月に種をまくとすぐ秋になり、寒くなってしまうので加温設備が必要です。
また、3月頃に種をまく場合も、5月頃まで加温しましょう。
まとめ
人気の塊根植物「グラキリス」の成長を早めたければ、栽培環境や水管理の他に、栽培LED、加温ハウスやヒーター、土壌温度計など、多少の設備投資が必要なことも分かりました。
種まきから3~4年目までは目に見えた成長がありますが、成苗になってからは、ほとんど大きくなりません。
原生地のように立派に太らせるには、数十年単位で考える必要がありそうです。気持ちは逸りますが、慌てずにのんびり楽しみましょう。