

- グラキリスの太らせ方について理解できる
- グラキリスの実生を太らせることが自分でできる
- グラキリスが太らない原因がわかる
- 太らない原因を知り、実生のグラキリスを太らせることができるようになる
人気の塊根植物「パキポディウム・グラキリス」は、太ったワイルドなルックスが特徴の、マニアに人気の植物です。
希少種のため、大きなものは大変高価。
安価な実生苗から育てたいと考えている方も多いでしょう。
しかし、若い実生苗はどれもスリムで貧弱に見えます。どうすれば、ムチムチの貫禄ボディに成長するのでしょうか。
こちらの記事では、日本とグラキリスの原生地「マダガスカル」の気候を比較しながら、グラキリスの実生を太らせる方法3つを解説。
よくある太らない原因も解明します。
グラキリスを、憧れの太った体型に近付けるよう、ぜひ読んでみてくださいね。
グラキリスの実生とは
「実生」とは、種まきをして発芽した苗のことを言います。
種まきから1~2年の株なら数千円で買えるので、初心者でも始めやすい価格帯ですよね。
ただし、まだ若いので株が小さくひょろひょろ…。
憧れの太っちょ体型には程遠いのですが、実生だと日本の気候に順応しやすいという利点もあります。
グラキリスの個体は、大きく分けて「実生株」と「現地採種株」に分かれます。
市販のグラキリス株を見てみると、
- 実生
- 現地球(ベアルート)
- 現地球(発根済み)
この3つがよく販売されています。
実生と現地球(ベアルート・発根済み)の違いを解説!
実生が農家などで種まきされたものに対し、「現地球」と呼ばれる自生地採種株は、姿かたちもワイルドそのもの!
プラントハンターがマダカスカルから掘り上げてきた地堀苗なので、立派で格好良いのですが、とても高価。安くても数万円、良いものだと10万円以上は当たり前の世界です。
輸入する際に、土がついていると病害虫を持ち込むおそれがあり、検疫で没収されるので、根っこが切られた状態で入荷します。
これを、現地球の「ベアルート」と呼びます。
根が切られて、乾燥して輸入されるので、吸水・発根作業が必須。
失敗すると腐らせてしまい、初心者にはやや難関です。
そこで、専門店で発根させてから販売されるのが「現地球(発根済み)」と書かれたもの。
初心者でも安心して育てられますが、手がかかっている分、さらに高額商品となる場合がほとんどです。
グラキリスの実生を太らせる方法3つ
まだ若くて細いグラキリスの実生株を、貫禄ある姿に太らせる方法を3つ、具体的に解説します。
グラキリスの故郷、マダガスカルは南半球なので、日本と季節は逆ですが、1月~4月までは蒸し暑い雨季、5月~10月は寒い乾季に分かれています。
それを踏まえて考察してみましょう。
【方法1】直射日光に当てる
グラキリスを大きくするには、日照の確保が重要です。屋外でしっかり日に当てましょう。
パキポディウム・グラキリスの原生地、マダガスカルは「太陽の街」と呼ばれるほど日照時間が長い土地。
日照時間は毎月300時間ほどもあり、東京はその半分ほどしかありません。
一生懸命日に当てないと、とても追いつかないのが分かりますね。室内栽培の場合は特に気を付けましょう。
【方法2】雨ざらしにする
春になり最低気温が10℃以上になったら屋外で育て、雨ざらしにしましょう。
塊根植物は「乾燥気味に育てる」と言われているのに「雨ざらし」とは、相反することのようですが、そうではありません。
しっかり雨に当たることで、欲しいだけ水分を蓄えることができ、ふっくらしてきます。
また、グラキリスに雨が当たると、成長ホルモンが刺激されてがっちり育ちます。
雨の後、よく晴れれば根は乾き、また次の降雨で湿り、湿潤と乾燥を繰り返し生長します。
ただし注意したい点は、日本の梅雨のようにいつまでも晴れず、用土が湿り続けるのは根腐れの原因になりよくありません。
しっかり雨に当たったら、カラッとするまで乾燥させましょう。
【方法3】風に当てる
よく植物を育てる際に「風通しを良くしましょう」と言われます。
風に当たると、加湿になった株元や葉を乾燥させて、清潔に保ち病害虫を防ぐことができるためですが、風に当たる効果は、実はそれだけではありません。
風が当たって植物自体が揺れると、植物ホルモンのエチレンが発生。
縦に伸びずに横に太く肥大生長する効果があるそうです。
グラキリスが太らないよくある原因3つ
前の章で、グラキリスの実生を太らせる方法を3つ解説しましたが、さらに踏み込んで、グラキリスが太らない「よくある原因」を3つあげてみましょう。
特に室内栽培をしている場合は注意が必要です。
【原因1】日照不足による徒長
グラキリスはしっかり日光に当てないと、太らず徒長してしまいます。
室内栽培の場合、どんなに明るい窓辺であっても、ガラスを通せば屋外の2割しか光が届かないと言われています。
ただでさえ東京はマダガスカルの半分しか日照がないのに、さらに8割減…。
これでは太らないどころか、枯れてしまわないか心配になりますよね。
住宅事情などでどうしても室内栽培を余儀なくされる場合は、LED植物育成ライトの購入を検討してみてはいかがでしょうか。
ライトがあれば梅雨時も安心です。
ライトを1日12時間当てるとよいそうなので、タイマーでオンオフできるものが便利ですね。

【原因2】風通しの悪さによる発育不良
風通しは病害虫を防ぐだけでなく、成長ホルモンの分泌にも重要な役割をしています。
しかし室内栽培だと、どうしても空気が滞りがちに。
日照不足も相まってひょろひょろと縦に長い「徒長株」になり、格好悪くなってしまうかもしれません。
サーキュレーターや扇風機を導入し、風通しを良くすれば、縦に伸びずに横に肥大し、病害虫も防いで清潔に保てます。

【原因3】寒暖差が足りないための発育不良
意外と盲点なのが「寒暖差」です。
グラキリスの自生地の最高気温と最低気温の差は、通年10℃前後あります。
日本でも10℃ほど寒暖差がある日もありますが、マンションや高気密住宅だと寒暖差がなく気温が一定、ということもしばしばあります。
寒暖差の刺激でがっちり体型に育つので、エアコンは点けずなるべく無加温の状態、できれば冬以外は夜間も屋外で育てるのがベストです。
まとめ
グラキリスの実生を太らせる方法と、よくある太らない原因を解説しました。
自宅の栽培環境を改善し、日照、降雨、風の流れ、寒暖差をマダガスカルの楽園に少しでも近づけてあげることが、グラキリスを太らせる近道のようです。
手をかけた分、期待に応えて、ぷっくり太ってくれるのが楽しみですね!