
春の暖かい陽射しを浴びて窓際に置いたムシトリスミレがすくすくと育ってきました。
よく見ると中心につぼみがつき始めているようです。
屋内でも育てやすく、場所を取らない観葉植物としてもおすすめのムシトリスミレ。
こちらではその植え替えや株分けの手順をご紹介します。
ムシトリスミレとは?ムシトリスミレの魅力
ムシトリスミレは食虫植物の一種ですが、スミレのような可愛らしい花を咲かせるのが特徴です。
肉厚な葉の表面は細かい毛に覆われていて、毛の先端に付いている粘液で小バエなどを捕らえます。
主に寒地性、暖地性、熱帯高山性の3タイプに分けられ、中には日本国内で自生しているものもありますが、一般的には熱帯高山性の種類が育てやすく人気です。
ムシトリスミレの基本情報
学名 | ヒメアシナガムシトリスミレ |
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英名 | Pinguicula esseriana |
科名 | タヌキモ科 |
属名 | ムシトリスミレ属 |
原産地 | メキシコ |
ムシトリスミレの植え替えが必要な理由は?

写真のムシトリスミレはメキシコ産なので、アメリカ産と比べると乾燥気味、やや湿り気がある程度が丁度良い環境です。
購入したムシトリスミレは保水性の高い用土に植えられていることが多いので、植え替え時は保水調整に優れた水苔に交換することをおすすめします。
なお水苔は使用していると痛んでくるので、最低でも1年に1回は植え替えるのがポイントです。
今回の植え替えでは、元気な葉がお互いに重なり合ってちょっと窮屈そうだし、水苔も古くなってきたので株分けをしてスッキリさせようと思います。
ムシトリスミレの植え替えに適した季節
ムシトリスミレの植え替えは株が生育期に入る前、休眠している冬から春頃が適しています。
夏場など株の活動が活発な時期に植え替えるとストレスが更にかかりやすいので、この時期にムシトリスミレを購入した場合は、あわてて植え替えしなくても大丈夫です。
ムシトリスミレの植え替えで今回用意したグッズを紹介
- 植え替え前のムシトリスミレ
- 作業に使用する大きめの深皿×2
- 株分け用の鉢
- 鉢底石
- 乾燥水苔
- ビニールシート
作業に使用する大きめの深皿は100均でも購入できます。
プラスチック製で扱いやすく、水を張って作業するのに丁度良いです。
また作業以外に腰水用の受け皿として、小さなポッドをいくつか乗せることができるのでとても重宝しています。
植え替え用の鉢は植物の大きさを考えてある程度余裕のあるものを選びましょう。
今回は株分けをするので現在植えているのと同じ大きさの3号プラスチックポッドをもう1個用意しました。
余分な水を排出するために鉢の底に敷く鉢底石は、大粒ほど水はけが良いと言われますが、植え替える鉢の大きさや植物の性質に合わせて選ぶと良いでしょう。
繰り返し使える網入りの鉢底石も使いやすくておすすめです。
乾燥水苔は水を良く吸収し、保水調整しやすいのでムシトリスミレに限らず、さまざまな食虫植物の植え替えにおすすめです。
こちらの植え替えに利用するのは、ホームセンターで購入した天然乾燥の水苔になります。
以前100均でも乾燥水苔を購入したことがあるのですが、水苔以外の不純物でかさ増しされていたので、それ以降気をつけるようになりました。
なお、植え替え作業の際には、下にビニールシートを敷いて行うと周りを汚さず、後片付けもスムーズですよ。
ムシトリスミレの植え替えと増やし方(株分け)
①準備をする
まず深皿1枚に植え替え用の水苔を乗せ、水を十分に含ませて30分以上置いておきます。
そして、もう1枚の深皿に水を張り、その上で古くなった水苔に植えられているムシトリスミレをポッドから取り出します。
ムシトリスミレは根を深く張らず、葉が取れやすいのでなるべく株に力を入れないよう優しく持ち上げましょう。
水苔ごとポッドから取り出せたら、根っこにまとわりついている古い水苔を水につけながら丁寧に剥がして洗います。
②株分けをする
古い水苔をある程度取り除いたら株分けします。
自然と分けられそうなところを見つけて分割するのですが、無理に割いたり、あまり細かくしすぎてしまうとそれぞれの株が弱ってしまう可能性があるので気をつけましょう。
根っこを持って、葉の縁に指を添えながらそっと剥がしてあげるとポロッと離れますよ。
分割した株は乾燥しないよう一旦水に浸しておきます。
こちらのムシトリスミレは1年ぶりの植え替えで、ちょうど株分けしやすい大きさに育ってくれたので一石二鳥です。
③ポッドに水苔を詰める

用意したポッドに鉢底石を敷きます。
鉢底石は腰水の深さに合わせると水はけが良いです。
今回は2cmくらいの腰水を想定しました。
次に先ほど準備しておいた水苔を詰めていきます。
この時にムシトリスミレを植えやすいよう中心に少し凹みを付けておくのがポイントです。
ムシトリスミレは根が長くないのでそんなに凹みを深くする必要はありません。
水苔はあまりギュウギュウに詰めてしまうと水はけに影響するので程々の固さにしました。
目安としては水が4~5秒くらいで流れ落ちるのが理想です。
④植え替えをする

ムシトリスミレの根っこに水苔を巻き付けていきます。
根元までしっかりと隠れるくらいに覆ったら、軽く握って固めると崩れにくいです。
この時に枯れている葉など取り除いて剪定します。
因みに枯れていない葉を取って水苔に葉ざしにすると、株分けと同様に増やすことも可能です。
株がスッキリしたら、先ほどポッドに詰めた水苔の凹みにはめるように乗せ、隙間を埋めて整えます。
最後にたっぷり水をかけてあげれば植え替えの完了です。
ムシトリスミレの植え替え完了!管理について

植え替え後は常に水苔が湿っている状態にして管理することが大切です。
本当は日光で存分に光合成させたいところですが、ストレスがかかっている状態なので1週間くらいは反日陰で様子を見ます。
ちょうどつぼみが顔を出し始めているので、その変化も調子を図るバロメーターになるでしょう。
この間にもし株が弱っていないようなら通常の管理に戻していきます。
今回の植え替え・株分けで感じたのはムシトリスミレの葉の脆さです。
そっと触っているつもりでも僅かな力の加減でポロッと落ちるくらいとても繊細でした。
また見た目以上に葉の表面に粘液が付いていて、気をつけていても終始指がベトベトしていたのが印象的です。
次回は葉ざしにもチャレンジしてみようと思います。