触れると強い痛みやかゆみなどの皮膚症状を引き起こす毛虫。暖かくなると現れるため、ガーデニングを行っている方なら出会うことも多いのではないでしょうか?
毛虫が持っている毒針に刺される被害はもちろん、植物にとっても葉を食害される害虫でもあり早めの駆除が必要です。そこで今回は毛虫を安全に駆除する方法から予防方法まで紹介します。
毛虫の生態・毒の特徴
毛虫の特徴から、毛虫がもつ毒にさされることによって引き起こす症状を説明します。
毛虫とは
毛虫とは蝶や蛾の幼虫ですが、種類が明確に分類されておらず、イモムシのような体に体毛や棘に毒を持っている虫の俗称です。
毛虫は色もさまざまであり見た目から全ての毛虫に毒があるように見えますが、実は毒を持つ毛虫はほんの一握り。
主に毒を持つ毛虫はドグガ科やカレハガ科、イラガ科、マダラガ科などの蛾の仲間になります。
その中でも「ドクガ」と呼ばれる黒い頭に銅は淡いオレンジ色をした毛虫は、一度触れると痛みは耐え難いほど強く更に2~3週間ほど痛みが持続するほど強い毒を持っています。
毛虫は主に4月〜11月に大量発生し、樹木や植物に寄生しては葉や野菜などを食べてしまいます。春咲きに毛虫が多く姿を現しますが、種類によっては発生する時期も異なるので、春以外でも注意が必要です。
毛虫の毒に触れると激しいアレルギー反応を起こす
人に近づいてきて襲ったりすることはありませんが、毛虫の毒に含まれるヒスタミンや各種酵素の働きによって毒に触れるとアレルギー反応である皮膚の炎症を起こします。
刺された毛虫の種類によって炎症の強さや症状の出現時間も異なりますが、発疹やかゆみ、痛みが起きた場合は毛虫皮膚炎を疑いましょう。
皮膚炎が起きた場合は患部を掻かずに、粘着力があるテープを患部に優しくあてて毒針毛を取り除き、流水で洗い流したうえで市販の虫刺され薬を塗りましょう。ただし、炎症が強い場合や皮膚の薄い場所を刺された場合は早めの受診が必要です。
また注意すべきなのは、死骸や抜け殻、抜けた毛も同様に毒が残っているということ。
そのため、風に舞った毛虫の毛が皮膚についたり、気づかず抜け殻を触ってしまい皮膚炎を起こすということもあります。
毛虫の被害にあいやすい植物・被害内容
毛虫が植物にもたらす被害としてどのようなものがあるのか紹介します。
葉が軟らかい木を好む
毛虫の被害にあいやすい植物として、葉が軟らかくよく茂っている木は毛虫が好む傾向にあるため被害にあいやすくなります。
特に桜や梅、カエデ、椿、さざんか、バラ科の植物などは注意が必要です。
また毛虫の中でも毒性の強いチャドクガなどはツバキ科の植物についていることが多くあります。
樹木以外にも毛虫がつくことがありますが、蝶の幼虫であり毒性のない毛虫である場合が多いです。
成長するにつれて行動範囲が広がる
毛虫は若い幼虫の段階では、基本的に集団行動であり一箇所の葉を食べつくすとまた集団で移動することを繰り返します。
ただし、成長するにつれて徐々に単独行動となるため散らばって活動し食害する範囲も広がっていきます。
そのため、毛虫が大量発生すると食害によって樹木が一本丸裸になるなんてことも。
また成長が光合成効率が下がり、成長が滞ってしまったり樹木の生育に影響を与えることもあるのです。
毛虫は早めにに駆除すべき
毛虫は天敵である鳥やスズメバチな度に見つからないように葉の裏に卵を産み付け繁殖します。
一度に大量に産み付けるのが特徴であり、早めに駆除しないと一気に大繁殖してしまうことも。
毛虫が繁殖すると人や植物への被害はもちろん、駆除も危険をともなうため毛虫を見かけたら早めの駆除が必要です。
毛虫を安全に駆除するためのポイント
毛虫を駆除する際は、とくかく毒毛針に注意することです。
毒毛針は死骸でも毒が残っているため、駆除しゴミ袋に入れる際も袋を二重にししっかり口を閉じること、また大量に処分する場合は袋に「毛虫注意」と表記し他の人の被害を防ぐことも大切です。
また駆除する際は、毛虫の毒毛を予防するためにできるだけ肌の露出を避けましょう。
服装はできるだけ長袖長ズボンで、その他帽子やメガネ、厚手のゴム手袋にマスクを装着しておくと安心です。
毛虫を熱湯で無毒化する
毒性の強いチャドクガでも50℃以上の熱湯を浴びせることで無毒化することができます。
若い幼虫など集団で群れている場合は、枝を根元から切り落とし枝ごと熱湯につけてしまいましょう。
ただし、枝を切り落とす際に毛虫が振り落され毒毛針を飛ばす可能性もあるので注意して切り落としましょう。
熱湯を準備する手間はありますが、無毒化できるので熱湯につけた後は安全に処理することができます。
大量発生した場合は殺虫剤を
毛虫に近づくことなく簡単で確実に駆除したい場合は毛虫の殺虫効果のある殺虫剤が確実です。
スプレータイプであれば直接散布できますし、液体式であれば大量発生した毛虫を確実に駆除することができます。
毛虫の種類によっては散布後も一週間程度効果が持続するため駆除しきれなかった毛虫対策にもなります。
ただし殺虫剤で駆除する場合は毛虫が毒毛針が飛散する可能性があると覚えておきましょう。
殺虫剤を散布した際に毛虫が暴れて毒毛針を飛ばした場合は、風にのって周囲に飛散する場合があります。
風に飛散した毒毛針にも毒があるので皮膚に触れると皮膚炎をおこすため、予防のために服装に注意が必要です。
また、毛虫に効果のある殺虫剤は樹木や植物にとっても大量に散布するとダメージを与えてしまうため、必要最低限の使用にとどめましょう。
殺虫剤に抵抗がある場合は天然成分由来のものを
殺虫剤はできるだけ使いたくないという場合は、毛虫の動きを固定する薬剤などもあります。
殺虫成分を含んでいませんが、毛虫の動きを防ぐことができるので、毒毛針が飛散することなく駆除することができます。
また天然成分由来の殺虫剤や、木酢液や酢を薄めて散布する方法も毛虫対策になります。
ただし、大量発生した場合はあまり効果が得られませんが、小さい子どもやペットを飼っているお家でも安心して使用することができます。
毛虫の被害を予防する方法
毛虫は被害を最小限にするためにも繁殖する前に駆除することが大切です。
普段から予防対策をとっておくことで、繁殖を防ぐことができます。
小まめな剪定と葉裏のチェック
毛虫は一度に大量に卵を産み付けるため、卵の段階で駆除できることがベストです。
毛虫の好む環境を作らないために、葉や枝が込み入っている場所は剪定し風通しをよくしておきましょう。
また毛虫は主に葉裏に卵を産み付けるため、葉裏に卵がいないか時々チェックしましょう。
また剪定も葉裏の観察も、毛虫が潜んでいる可能性もあるので、手袋や長袖を着た上でおこなってください。
予防には木酢液や酢も効果あり
毛虫が嫌う匂いとして木酢液や酢も効果があります。
木酢液は木炭を焼く時に出る水蒸気を冷やし液体化したものです。
害虫予防としてよく利用され、毛虫対策にも効果があります。
また植物にとっても成長促進を促す作用があるので安心して使用することができます。
ただし濃すぎると植物にも影響がでるため規定量に薄めて使用するようにしましょう。
予防として使用する場合は木酢液と水を1:3の割合で薄めてスプレーボトルに入れて散布しましょう。
酢も同様に薄めて使用しますが、酢は食物酢よりもできるだけ濃いものの方が効果があります。
散布する間隔としては2週間に一度の目安で使用してください。
ニームオイルもおすすめ
ニームという木から作られるニームオイルも毛虫対策におすすめです。
ニームの特徴として、ニームの成分がついた葉を食べた害虫が食欲がなくなったり、毛虫に液がかかると幼虫から成虫に羽化することが出来なくなります。
殺虫効果ではなく害虫の生態を阻害することで効果が得られるため、人体にも無害ですので安心して使用することができるのです。
ニームオイルは約500倍に希釈して使用しますが、メーカーによって希釈度が異なるため必ず確認しましょう。
スプレーボトルに入れて規定量に希釈したら後は直接散布するだけ。
定期的に散布することで毛虫の予防効果と葉にも栄養を与えることができます。
希釈液が余ったら土にそのまま与えても肥料代わりになります。
まとめ
毒をもっている毛虫は大繁殖する前に駆除することが大切です。
特に被害にあいやすい植物はこまめに剪定し風通しをよくしておくことや、葉裏をチェックして卵を処分したり天然成分を利用した予防策をとっておきましょう。
また毛虫を駆除する際は、毒毛針予防のため防護対策をしっかりとってから行ってくださいね。