どこからやってくるのか、気づけば茎や葉にたくさんついているアブラムシ。
小さく繁殖力も強いため退治したつもりでもまたすぐに戻ってきたなんて経験ありませんか?
アブラムシは植物に寄生しては生育を遅らせたり、植物の病気の原因になったりと見過ごすことのできない虫です。
退治も難しいという厄介な虫です。
確実に駆除したい場合は農薬が有効ですが、植物への影響も気になるところ。
そこで今回はアブラムシの生態から、駆除と予防対策として農薬を使用する方法から自然なもので駆除する方法まで詳しく紹介します。
アブラムシとは?
アブラムシが発生しやすい状況や、植物へ及ぼす影響を説明します。
アブラムシが増える理由とは
アブラムシを見つけた時は、一匹だけでなくすでに数十匹発生しているという状況が多いのではないでしょうか?
アブラムシはどこにでも発生する可能性がありますが、その中でも繁殖しやすい環境というものがあります。
窒素分を多く含んだ用土である
植物の成長を促す窒素ですが、植物に吸収される過程でアミノ酸が生成されます。
アブラムシはこのアミノ酸に引き寄せられる性質があります。
窒素分が多い用土はアミノ酸を多く含みアブラムシが寄ってきやすくなるので、肥料のあげ過ぎには注意しましょう。
風通しが悪い
植物の株間が込んでいたり、葉が密になっていると風通しが悪く日当たりも悪くなります。
アブラムシは風通しや日当たりの悪い環境を好むためアブラムシが寄ってききます。
植物の中でも野菜を好む
小松菜や大根などのアブラナ科、ナスやピーマンなどのナス科やその他にソラマメなどのソラマメ科など特に野菜に好んで寄ってくる性質があります。
そのため、家庭菜園をする際は注意が必要です。
アブラムシによる被害
アブラムシは植物に寄生しては、主に新芽やつぼみにむらがり植物の汁を吸い、植物の生育が遅れます。
また怖いのはアブラムシによるウイルス感染です。
アブラムシはキュウリモザイクウイルスやカブモザイクウイルス、ジャガイモYウイルスなど特有のウイルスを保有しています。
ウイルスをもったアブラムシに汁を吸われるとその植物も感染してしまいます。
またウイルスはに感染すると「モザイク病」にかかり、茎や葉などに黄色い病斑が現れます。
一度かかると治療することができず、その株ごと除去が必要です。
アブラムシの生態
アブラムシの生態として繁殖方法や種類、その他の虫との関係について説明します。
アブラムシはメスだけでも増える
アブラムシはアブラムシ上科に属する昆虫の総称で、日本国内で約700種類以上生息しています。
複数の植物に寄生するものから、特定の植物にしか寄生しない種類もあります。
アブラムシの特徴として注目なのは、その繁殖力です。
アブラムシは単為生殖も可能であり、春から秋にかけてはメスだけで卵を産むことができます。
秋にはオスも発生し交尾の上更に卵を産みます。春や秋の繁殖期になると毎日産卵します。
約10日で卵から孵り成虫となりまた新たな卵を産み、毎日一匹のアブラムシから5匹の幼虫が生まれます。
そんな繁殖力の強いアブラムシですが、実はアブラムシの天敵も存在します。
テントウムシやヒラタアブやクサカゲロウといった虫はアブラムシを好んで食べます。
アブラムシの集団を食べつくすほどすごい食欲で食べるため、アブラムシとしては怖い天敵なのです。
アリとアブラムシは共存関係
アブラムシの天敵がいる一方でアリは、アブラムシが発生すると一緒に発生し共存します。
アブラムシはお尻から「甘露(ハニーデュー)」という甘い液体を出し、その液体にアリが寄ってくるのです。
アブラムシの天敵であるテントウムシはアリを苦手としています。
アリがいるとアブラムシを食べずに逃げていくことから、アリとアブラムシはお互いに共存しています。
またこの甘い液体が植物につくことにより、そこからカビが発生し「すす病」という病気にかかる可能性もあります。
農薬でアブラムシを駆除する方法
農薬を使用することで、一度にたくさんのアブラムシを除去することができ、手軽で確実に効果を得ることができます。
ただし、収穫直前の野菜などにも使用できる農薬もありますが、やはり無農薬で育てた野菜よりも安全性が劣ります。
また長期間使用していると、その農薬に対してアブラムシが耐性がつきだんだん効きにくくなるといったことも。
そこで使用する際は、農薬の種類をよく確認し2~3種類の農薬を順番に使うことをおすすめします。
以下にアブラムシに有効な農薬を3つ紹介します。
オルトラン液剤
オルトラン液剤はアブラムシだけでなく害虫全般に効果があり即効性があることが特徴です。
アブラムシだけでなく他の害虫も一緒に駆除したい場合におすすめです。
使用する際は規定量に薄めて植物に散布するか、粒剤の場合は植物の株元において使用します。
ベニカマイルドスプレー
ベニカマイルドスプレーは食品からできた殺虫殺菌剤であり、野菜の収穫直前まで使えるという安全性が高いことが特徴です。
アブラムシやハダニ、うどんこ病などに有効です。
使用する際は野菜や果樹など植物に直接ふきかけて使用します。
ベニカベジフルスプレー
ベニカベジフルスプレーは野菜などに使うことがでる安全性の高い農薬です。
また即効性と持続性にも優れており、アブラムシの駆除や予防効果が一か月ほどもつと言われています。
またアブラムシだけでなく他の害虫にも効果があり、使用方法としては植物に直接ふきかけて使用することができます。
牛乳などを使用してアブラムシを退治する方法
農薬よりは効果は劣りますが、安全性が高くアブラムシに効果のある退治方法をご紹介します。
薄めた牛乳をふきかける
牛乳か水で倍量に薄めた牛乳をスプレーボトルに入れて植物にふきかけます。
牛乳は乾燥すると膜をはるため、ふきかけた牛乳が乾燥することによってアブラムシが窒息死します。
ただし、発生したばかりのあまり数が多くない場合は有効ですが、大量発生するとあまり効果が無いと言われています。
牛乳をふきかけてそのままにしておくのは、悪臭の原因になったり植物にもあまりよくないので、1~2日後に流水でしっかり洗い流しましょう。
木酢液をふきかける
木酢液は、木炭を作る際にでる水蒸気を冷やして液体にしたものであり天然成分で安全なものです。
ホームセンターや花屋などで購入することができます。弱酸性の液体であり殺菌成分と虫よけの効果が期待できます。
また土壌の有効微生物を増やしたり、植物の根や芽の発育も促す効果もあるという優れものです。
規定量に薄めた木酢液を植物に直接ふきかけて使用し、余った場合は薄めたものを土にそのままかけてもいいでしょう。
ただし、濃すぎると逆に植物によって害になるため必ず薄めてから使用してください。
油石鹸水をふきかける
簡単ですが効果が高く植物にも安全な駆除方法です。
こちらも牛乳と同様にアブラムシにふきかけると窒息し10分ほどで駆除することができます。
準備するもの(2L作ることができます)
- 食器用洗剤…ペットボトルキャップ1杯
- サラダ油…ペットボトルキャップ2杯
- 水…2L
- 2Lの大きさのペットボトル
- スプレーボトル
作り方
空のペットボトルに食器用洗剤とサラダ油と水を1Lいれて良く振って混ぜてください。
泡がなくなるまでしばらく待ち、泡がなくなったら残りの水1Lをそっといれます。白濁してきたら完成です。
使用方法
油石鹸水をスプレーボトルに移して、植物に直接ふきかけましょう。
ただし毎日使うと植物に害がでますので、1週間に1度のペースで使うことをおすすめします。
手で直接取り除く
もしアブラムシがまだ発生初期で数が少ない場合は、直接取り除く方がいい場合もあります。
テープを使用する
粘着力が弱めのテープを少し切って、アブラムシに直接貼り付けてとりのぞきましょう。
粘着力が強いと、葉や茎が破れたり折れたりする場合があるので注意しながらやさしく作業してください。
歯ブラシを使用する
植物の下に紙や袋を置いておき、歯ブラシで直接アブラムシをこすって落としましょう。
この時にテープ同様植物を傷つけないようにやさしく作業してください。
また新芽やつぼみなどは歯ブラシでは刺激が強いためあまりおすすめしません。
紙や袋におちたアブラムシは落とすことがないよう確実に捨ててください。
普段からしておきたいアブラムシ対策
アブラムシは駆除するだけでなく、普段から予防対策をとっておくことが大切です。
テントウムシを使う
テントウムシはアブラムシの大敵です。テントウムシは一匹でアブラムシを10匹以上も食べてくれます。
そのため得に発生初期であれば、アブラムシの仲間であるアリも少なくアブラムシ駆除にテントウムシが有効です。
コンパニオンプランツを植える
コンパニオンプランツとは近くに植えることで成長を促したりお互いに害となる虫を寄せ付けないなどよい効果が得られる植物同士のことです。
アブラムシ対策の場合は、ハーブ類など匂いの強い植物を一緒に植えるとアブラムシが寄りにくくなるため一緒に植えるといいでしょう。
黄色い色で寄せ付ける
アブラムシは黄色い色に寄ってくるという性質があります。
そのため、植物の近くに黄色いテープを吊り下げたり、市販の虫取りシートを一緒に置いておきましょう。
そこにアブラムシが集まり植物の被害を防ぐことができます。
虫取りシートについたアブラムシはシートごと捨てることで、簡単であり安全に駆除することができます。
まとめ
アブラムシはどの植物でも発生する可能性があり、また環境が整えば大繁殖する可能性があります。
アブラムシが寄生することで、植物に生育が衰えたり病気になったりと被害は大きいです。
繁殖することで駆除することも難しくなるため早めに駆除が大切です。
農薬を使用する方法が簡単で効果的ではありますが、特に野菜など収穫する植物に使用する際は注意が必要。
メリットデメリットを良く考えた上で駆除方法を選択しましょう。
また普段より予防策をとることでアブラムシの被害は確実に押さえられるためぜひ参考にしてみてください。