
初夏に青や白、ピンクなどさまざまな色の花を咲かせるデルフィニウム。
たくさんの花をつけ華やかな印象で、ブーケやアレンジメント、ドライフラワーの素材としても人気です。
日本ではイングリッシュガーデンの人気とともに多く栽培されるようになりました。
ここではデルフィニウムの育て方や、ガーデニングへの取り入れ方についてご紹介します。
デルフィニウムの基本情報
学名 | Delphinium |
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英名 | Delphinium |
その他別名 | デルフィニューム・オオヒエンソウ |
科名 | キンポウゲ科 |
属名 | オオヒエンソウ属(デルフィニウム属) |
原産地 | ヨーロッパの高地・シベリア・中央アジアから中国西南部の山岳地帯(エラータム種)。シベリアからモンゴル・中国(シネンセ種) |
デルフィニウムの特徴
デルフィニウムには白やピンク、紫などさまざまな色がありますが代表的な色は青色です。
欧米には花嫁が身につけると幸せになれるというサムシング・フォーという言い伝えがあることはご存じでしょうか。
そのうちのひとつ、サムシング・ブルーには青いデルフィニウムを用いたブーケがよく使われます。
花言葉の「幸せを振りまく」は、祝福された花嫁の姿そのものですね。
デルフィニウムの語源はギリシア語のDelphisで、イルカという意味です。
つぼみの形がイルカに似ていることに由来しています。
また、別名のオオヒエンソウは漢字で大飛燕草と書きます。花の形がツバメが羽を大きく広げ飛んでいる姿に似ていることが由来です。
全身にデルフィニンという有毒成分を含んでいるため、ペットや子供の誤食には注意が必要です。
デルフィニウムの種類
デルフィニウムにはおもに3つの系統があり、それぞれ違った姿をしています。
系統ごとの特徴や代表的な品種をご紹介します。
エラータム系
エラータム系は、花茎は1本のみで長い花穂にたくさんの花を付け、デルフィニウムの中でも特に華やかな印象です。
草丈が高く、花にボリュームがあるので花壇の中ではとても存在感を放ちます。
ボーダーガーデンで後方に配置したり、フェンスや塀に沿って配置したりするのにおすすめです。
アクセントを付けたい部分に周囲の色と違う花色のものを数本まとめて植えると、とても目を引きます。
代表的な品種はオーロラです。
草丈が1mほどあり、花は八重咲きで豪華な雰囲気を感じます。
成長が旺盛でエラータム系の中では育てやすく初心者におすすめの品種です。
シネンセ(シネンシス)系
シネンセ(シネンシス)系は、スプレーデルフィニウムとも呼ばれ、複数の茎に花をつけるのが特徴です。
草丈は比較的低く、分岐した複数の茎の先にまばらに一重咲きの花を付けます。
ふわっとした優しい雰囲気なので、ナチュラル感のある庭にぴったりです。
カラフルな小花と一緒に植えるとかわいらしい花壇ができあがります。
代表的な品種は濃い青が印象的なマリンブルーや、やさしい青のパールブルーです。
ブーケによく使用されます。
ベラドンナ系
ベラドンナ系は、エラータム系とシネンセ系の中間です。
花茎は分岐していますが、花穂の先に密に花を付ける姿がエラータム系と似ています。
エラータム系ほどの豪華さはありませんが、エレガントな雰囲気が好まれます。
草丈が高いので、エラータム系のようにボーダーガーデンの奥に配置するのがおすすめです。
代表的な品種はベラドンナインプ、カサブランカなどです。
デルフィニウムの栽培・育て方
種から育てることもできますが、苗から育てたほうが難易度が低いのでおすすめです。
寒冷地が原産のため暑さに弱く、日本では夏越しはほとんど不可能です。
乾燥を好むため乾かし気味に保ち、風通しを良くしてあげましょう。
デルフィニウムの育て方情報
分類・形態 | 草花・多年草(暖地では1年草) |
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草丈・樹高 | 20~150cm |
開花の時期 | 5月~6月 |
花色 | 青・白・紫・ピンク・複色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
特性・用途 | 多年草(暖地では一年草)・花壇・切り花・毒がある |
栽培難易度 | 普通 |
栽培スケジュール
植え付け | 3月~4月・10月~11月 |
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植え替え | 3月~4月・10月~11月 |
肥料 | 3月・10月 |
開花 | 5月~6月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日当たりがよく、風通しのよい場所に置きましょう。
特に冬は成長期のためしっかり日に当てる必要があります。
あまり日が当たらないところに置くと日光を求めて茎ばかりが伸び、見た目のバランスが悪くなってしまいます。
本来は多年草ですが、日本の夏の暑さに耐えられず1年草として扱われています。
鉢植えの場合は夏以外は日当たりのよい場所、夏は風通しがよく涼しい日陰に置くと夏を越せることもあります。
原産地は乾燥した地域なので、過湿が苦手です。
水やり
地植えの場合はほとんど必要ありません。
鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷり水やりをするようにしましょう。
冬は葉に直接を水をかけたり夕方以降に水やりをしたりすると凍って株を傷めてしまうことがあります。
午前中、根元の土に水やりするようにしましょう。
肥料
肥沃な土を好むので、植え付けの時に緩効性肥料や腐葉土を入れましょう。
腐葉土は水はけをよくするのにも役立ちます。
春になり葉が展開しだしたら、液肥などで追肥をしましょう。
用土
水はけのよい土を好みます。
培養土に2~3割の腐葉土を混ぜ込みましょう。
温度
寒冷地原産のため寒さには強いです。暑さには弱く、25℃を超えると枯れてしまします。
デルフィニウムを育てるときのポイント
種まき
発芽温度は15℃~20℃なので、秋の涼しくなってきたころに蒔きましょう。
平鉢などに重ならないように蒔き、種が隠れるように土をかぶせます。
暗発芽種子なので、光が当たっていると発芽しません。
発芽までは水を切らさないようにします。
10日から14日で発芽します。
植え付け
深めに植え付けましょう。
めやすは葉が生えている部分が地表に触れる程度です。
過湿を嫌うので、風通しを良くするため可能であれば高く畝を作ってそこに植えるようにしてください。
大きく育つので株間はしっかりあけましょう。
切り戻し
花が終わりかけになったら花茎を根元から切り落とすと、次の花茎が育ち花を付けます。
ふやし方
夏越しができる環境であれば株分けで増やせます。
しかし日本では夏越しはほとんどできないので、種で増やすのが一般的です。
花が枯れたあとできたさやが茶色くなったら種を取っておきます。
種は冷蔵庫で保管し、その年の秋に蒔きます。
気を付けるべき病気・害虫
かかりやすい病気は立枯病やうどんこ病です。
どちらも土中のウイルスが原因なので、植え付けるときは古土ではなく新しい土を使用しましょう。
毒性のある植物のため害虫はほとんど付きませんが、ナメクジやヨウトウムシに食害されることがあります。
殺虫剤・殺菌剤
立枯病・うどんこ病は見つけしだい殺菌剤を使用しましょう。
アブラムシやヨトウムシには、アセフェート含有の殺虫剤が有効です。