夏の家庭菜園の定番野菜「オクラ」の育て方・栽培方法【初心者におすすめ】

刻むと出るネバネバが特徴のおいしい夏野菜、オクラ。

食物繊維やビタミン、βカロチンを含んだ、栄養満点の緑黄色野菜です。
そんなオクラは家庭菜園で比較的簡単に育てることができます。

プランターでの栽培も可能ですので、初心者の方もぜひ挑戦してみましょう。

オクラの基本情報

学名Abelmoschus esculentus Moench
英名Okra・Gombo
その他別名アメリカネリ
科名アオイ科
属名アオイ属
原産地東北アフリカ

オクラの特徴

オクラの栄養素

サラダや和え物、煮物に天ぷら、と幅広い料理に利用される食材、オクラ。

とても栄養価が高い食材として、知られています。
栄養素には、ガラクタン、アラバン、ペクチンといった食物繊維や、ビタミン、カリウム、カルシウムそしてβカロテンなどが含まれています。

刻むと独特のぬめりが出て食べやすく、食欲が落ちる暑い夏の時期にぴったりの野菜です。

オクラの花

食材としての実に注目が行きがちですが、オクラはとても美しい花を咲かせます。
花びらは淡いクリーム色、花の中央は濃い紫色をしています。

ハイビスカスや芙蓉の花のような、しっとりとした魅力があります。
花の命は短く、たった1日でしぼんでしまいますがほんの一時しか見られないこの美しい花に出会えると、家庭菜園の喜びもひとしおです。

花が落ちると、すぐに実が成長してきます。
オクラは開花まで苗が育つのに少し時間がかかりますが、花が咲きだすと次々に実が成ります。

長い期間に渡って収穫できるのは嬉しい特徴ですね。

オクラの種類

オクラには、様々な品種があります。主なものを特徴とともにご紹介します。

五角形のオクラ

一般にスーパーなどで多く出回っているオクラです。

カットした時の断面が五角形になります。
表面は細かい産毛に覆われています。

品種例は以下の通りです。

  • アーリーファイブ
  • ベターファイブ
  • 平城グリーン
  • グルースカイ

丸オクラ

さやに角がなく、丸い形をしています。
大きくなっても硬くなりにくく、柔らかさが特徴です。

代表的なものに、沖縄県で古くから作られている伝統野菜「島オクラ」があります。

品種例は以下の通りです。

  • エメラルド
  • 島の唄
  • 八丈オクラ
  • みどり丸ノ助

赤オクラ(紅オクラ)

さやが赤いオクラです。加熱すると濃緑色に変わります。
彩りを楽しむ場合は、生でサラダなどにすると良いでしょう。

品種例は以下の通りです。

  • レッドサン
  • 島の恋
  • ベニー
  • ジュエル

白オクラ

白っぽい、淡緑色のオクラです。
実は柔らかく、肉厚で食べ応えがあります。

大きくなっても柔らかく、緑色のオクラよりネバネバが強いです。

楊貴妃などの品種が代表的です。

オクラの栽培・育て方

日当たりと水はけの良い場所で育てます。
収穫までの作業の流れは、おおまかに以下の通りです。

  1. 土を用意する
  2. 苗を準備する
  3. 植えつける
  4. 支柱を立てる
  5. 追肥する
  6. 収穫する
  7. 葉を整理する

育てるときのポイントでそれぞれ詳しく説明していきます。

オクラの育て方情報

分類・形態野菜・一年草扱い
草丈・樹高1~1.5m
開花の時期7月~9月
花色淡黄色
耐寒性弱い
耐暑性やや強い
特性・用途家庭菜園
栽培難易度普通

栽培スケジュール

植え付け5月~6月
肥料適宜
開花7月~9月
収穫7月~10月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

日当たりと風通し、水はけの良い場所が適しています。

オクラは成長すると1m程と背が高くなります。
他の植物への影響や邪魔になるものがないかどうか確認しましょう。

ベランダで栽培する場合は、エアコンの室外機の風が当たらない場所を選びましょう。

水やり

プランター栽培の場合、土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るほど、たっぷりと与えます。
夏場は乾きやすく、晴天が続く場合は朝・夕の2回与えてもいいです。

地植えの場合、土の様子を見ながら、乾いていたら水やりします。
夏場は乾燥しやすいので、水切れしないよう注意します。

肥料

植え付けの際に緩効性肥料を元肥として施します。

花が咲きだしたら、化成肥料を追肥として与えます。

オクラはどんどん肥料を吸収します。
元肥が多すぎると茎と葉ばかりが育ち、実のつきが悪くなります。

元肥はほどほどにして、追肥でしっかり育てます。

用土

水はけが良く、有機質に富んだ肥沃な土が適しています。

プランター栽培の場合

プランター栽培の場合、市販の野菜用培養土で問題なく育ちます。
あらかじめ肥料が入れてあるので、元肥を入れる必要もありません。

根が真下に伸びていくので、プランターの深さは30㎝以上必要です。

地植えの場合

地植えの場合、まず土をよく耕します。

オクラは酸性土壌を嫌いますので、植え付けの2週間前には苦土石灰を1㎡あたり約150gまいて土壌の酸性度を調整します。

その後、植え付けの1週間前に堆肥(1㎡あたり3㎏)と元肥として化成肥料(1㎡あたり100g)を施し、土をよく混ぜたら、畝(うね)を作ります。
保温と雑草防止のためにマルチングをするとより良いでしょう。

オクラは連作障害が起きます。
以前にオクラを植えた場所には、2~3年は間隔をあけて植えつけましょう。

温度

オクラは寒さに弱いです。
種まきや苗の植え付けは気温がしっかり上がってから行いましょう。

生育の適温は20~30℃です。

オクラを育てるときのポイント

土を準備する

「用土」の欄を参照して、プランターまたは畑を準備します。

苗を準備する

選び方

5月頃にポット苗が出回ります。

葉にツヤがあり、緑が濃く、茎が太いもの、全体的に元気な苗を選びます。

株元がしっかりしているか、病害虫の跡がないかどうか確認しましょう。

種まき

オクラは種まきからでも育てることができます。

気温がしっかり上がった4月中旬~5月が適期です。
種をまいてから、植え付けできる苗に育つまで、約30日かかります。

9㎝のポットを用意して培養土を入れ、直径4~5㎝、深さ1㎝の穴を作ります。
そこにあらかじめ一晩水につけておいたオクラの種を4~5粒まき、1㎝ほど土で覆い軽く押さえたらしっかり水やりをします。4~5日で発芽します。

発芽したら、元気の良い芽を1本選んで残し、他の芽は間引きます。
本葉が3~4枚になったら、用土に植えつけます。

植え付ける

苗の根を傷つけないように気を付けて植え付けを行います。
オクラは直根性で、移植を嫌います。

背が高く育ちますので、他の植物との兼ね合いを最初からよく考えて植えつけましょう。
株と株の間は、25~40㎝は取るようにします。

苗を植え付けたら、たっぷりと水やりします。

支柱を立てる

オクラは成長すると背が高くなります。
支柱を立てて、倒れるのを防ぎましょう。
支柱を立てたら、茎を麻ひもなどでゆるく結んでおきます。

追肥する

花が咲き始めた頃から、10日~2週間に1回の追肥を行います。

化成肥料を株元から少し離れた場所にまきます。
地植えの場合は畝の肩、株間にまきます。

まいたら、倒れないように土寄せします。
よく観察し、株に勢いがなければ肥料を若干多めにするなど調整します。

収穫

花が咲いた後、4~5日でオクラの実が収穫できます。

収穫が遅れるとサヤが大きく、かたくなって食べられなくなるので注意しましょう。
収穫のタイミングは品種によって多少異なります。

一般的な五角のオクラは5~8㎝で収穫します。
丸オクラは10~15cmと少し長めでも柔らかく、食べごろになります。

いずれにせよ、サヤが柔らかいうち、早いうちに収穫します。
葉の付け根に実がついているので、ハサミで切り取って収穫します。

葉を整理する

収穫が始まったら、風通しを良くし、養分を若い葉に送るため古い葉を整理します。
収穫した節と、そのすぐ下の葉を2~3枚残し、下の葉を取り除きます。

気を付けるべき病気・害虫

病気

苗立枯病(なえたちがれびょう)

苗立枯病になると、地際の茎や根が腐り、やがて枯れてしまいます。

モザイク病

モザイク病はウイルスが原因です。
葉に濃淡のあるまだら模様が現れたり、葉が縮れます。

害虫

アブラムシ、ハスモンヨトウ、マメハモグリバエ、ハマキムシ、フタトリコヤガに注意が必要です。

殺虫剤・殺菌剤

苗立枯病を予防するために、種の早まきを避けます。
モザイク病のウイルスはアブラムシから伝染することが多いので、アブラムシの駆除につとめます。

害虫は見つけ次第、捕殺します。
フタトリコヤガは葉を丸めて巣を作ります。

発生した葉をすぐに取り除きましょう。
アブラムシには、シルバーストライプ入りのマルチを利用すると防虫効果があります。