プリムラの種類と育て方のコツ|見頃の季節・夏越しのポイントは?

冬から春にかけ、元気よく色鮮やかな花を咲かせるプリムラ。
パンジーやビオラなどと組み合わせた寄せ植えにぴったりの植物で、とても人気があります。

今回は、比較的丈夫で、初心者でも育てやすいプリムラについてご紹介します。

プリムラの基本情報

学名Primula Polyanthus Group,・Primula Pruhonicensis Group
英名Primula polyantha・Polyanthus primrose・Primula x juliana・Primula julian
その他別名プリムラポリアンサ・プリムラジュリアン
科名サクラソウ科
属名サクラソウ属(プリムラ属)
原産地ヨーロッパ

プリムラの特徴

プリムラは品種改良が盛んで、多くの園芸品種があります。

ここでは、代表的なプリムラ・ジュリアンとプリムラ・ポリアンサを「プリムラ」として紹介していきます。

プリムラの特徴は、何といっても花の色が豊富で、咲き方にバリエーションが沢山あることです。

白、黄、赤、ピンク、青、紫、とカラフルな花色がそろっており、花びらの縁からグラデーションのついたカラー、めりはりのある配色のバイカラーなど、色のつき方も様々。
咲き方も、従来のサクラソウのような咲き方をはじめ、八重咲き、バラ咲き、フリルのような咲き方などあり、選ぶ楽しみが広がります。

また、プリムラに比較的耐寒性があり、花が少なくなる寒い冬から春にかけて、長く咲いてくれることも人気の理由です。
草丈は低めですが、花の大きさは3~10㎝と大きく、見ごたえがあるので、冬の寄せ植えを彩るのに向いています。

プリムラの名前は、ラテン語の「Primus(最初)」を語源としています。
寒い冬を抜けた春先に、一番に咲く花、というイメージがよく表されているのではないでしょうか。

プリムラは丈夫な性質を持っているので、育てるのは難しくありません。
冬から春の長い期間、次々と可愛い花を咲かせてくれます。

花を沢山咲かせるポイントは、花がら摘み。
咲き終わった花びらをこまめに取り除いてあげれば、より多くの花を楽しめるでしょう。

プリムラの種類

プリムラの代表的な5種類を紹介します。

プリムラ・ポリアンサ

イギリスの野生生物から園芸植物となった唯一のもの。株元から花茎をのばし、先端に花を咲かせます。

ジュリエとの交配が進むうちに、株元でも花を咲かせるようになったため、プリムラ・ジュリアンと区別しにくくなりました。
ポリアンサの方が花、葉が一回り大きく、花びらに厚みがあります。花もちがよく、花色・花形とも豊富です。

プリムラ・ジュリアン

コーカサス原産のジュリエと、ポリアンサ系の交配種。
花色・花形が豊富で、ポリアンサに比べ株がコンパクトです。

プリムラ・シネンシス

中国原産種です。
葉の裏側が赤みを帯びた銅葉です。
冬の寒さ、夏の暑さにとても強く、育てやすいプリムラです。

プリムラ・マラコイデス(和名:ケショウザクラ)

中国原産種です。
小さな花がたくさん開花します。
耐寒性が強く、冬から春に開花します。

プリムラ・オブコニカ(和名:トキワザクラ)

他のプリムラよりもやや大きめです。
オブコニカの花や葉は触ると皮膚がかぶれることがあるので、注意しましょう。

プリムラの栽培・育て方

比較的寒さに強く丈夫なので、冬から春にかけて次々と花を咲かせます。
日当たりの良い場所で育てましょう。

開花中、花がらをこまめに取り除くと、病気にかかりにくくなり、沢山の花がつきます。

プリムラの育て方情報

分類・形態草花・多年草(一年草扱い)
草丈・樹高5~20㎝
開花の時期11月~4月
花色紫・赤・黄・オレンジ・ピンク・白・青・複色
耐寒性やや弱い
耐暑性やや弱い
特性・用途常緑性・開花期が長い・花壇・鉢植え
栽培難易度普通

栽培スケジュール

植え付け9月
植え替え9月
肥料1月~7月、9月~12月
開花1月~4月、11月~12月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

日当たりのよい場所が適しています。
寒さには比較的強いですが、霜や真冬の強い風に当てると弱ります。
鉢植えの場合は移動させるなど対策します。

室内で育てる場合は涼しい場所に置きましょう。
暖かい場所に置くと花が咲き散るのが早くなります。

庭植えも可能です。
泥はね対策としてマルチングなどします。
雨、霜、積雪にあたると弱ることがあります。

水やり

鉢植えの場合、土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るほど、たっぷりと与えます。
開花中に水切れしないように気を付けましょう。

花や下葉に水がたまらないよう、直接土に水をかけるようにします。

庭植えの場合、基本的に水やりは必要ありません。
晴天が続いて、乾燥しているようであれば、水やりします。

鉢植えと同様に、先が細い水差しなどで、株元にかかるように水をやります。

肥料

開花中は、定期的に追肥して、しっかり花を咲かせましょう。
鉢植えの場合は、液体肥料または適量の緩効性化成肥料を与えます。

庭植えの場合も、適量の緩効性化成肥料を施します。

用土

水はけが良く、保水性のある、有機物の多い用土が適しています。
土を配合する場合は、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:酸性度調整済ピートモス1の割合で混ぜ合わせます。

庭植えの場合は、土を耕し、腐葉土をすき込んでおきましょう。

温度

ある程度の耐寒性がありますが、霜には弱いです。

霜が降りる、雪が降り積もるような場合は、できるだけ地植えのままにせず、涼しい室内に取り込んで冬越しさせましょう。
夏の暑さに弱いです。本来多年草ですが、夏にほとんど枯れてしまうので、一年草扱いとなっています。
夏越しさせる場合は、日陰など涼しい場所で管理します。

プリムラを育てるときのポイント

選び方

秋から冬にかけて、苗が出回ります。

花色や形を確認しながら選びましょう。
葉の色が濃く、色が鮮やかなもの、つぼみが沢山ついているものを選びます。

根元近くの下葉が枯れているもの、葉先が枯れているものは避けましょう。
また、株元がぐらぐらしておらず、しっかりした苗を選びます。

種から育てる方法もありますが、初心者は苗を購入して植える方が確実でしょう。

植え付け

9月頃が適しています。

剪定

開花中は、こまめに花がらつみをしましょう。
病気を予防し、花を長く咲かせることができます。

草丈が短く、茎が伸びないので切り戻しは必要ありません。

増やし方

種まきや株分けで増やすことができます。

種まき

6月~7月が適期です。
覆土せずに用土にまきます。

発芽した苗はビニールポットに植え、夏場は涼しい場所で管理します。
9月中旬ごろに育った苗を鉢やプランター、庭に移します。

株分け

夏越しに成功した株を分けます。
一回り大きくなった株を引き抜き、軽く根鉢をくずして分け、植え替えます。

気を付けるべき病気・害虫

病気

軟腐病、灰色かび病に気を付けましょう。

軟腐病は、高温多湿の時期に発生します。
急にしおれたり、地面と接する茎や葉が腐ります。

予防のため、枯れた下葉をこまめに取り除き、通気性をよくしましょう。

灰色かび病は、比較的冷涼で多湿の時期に発生します。
枯れた葉や花がらをこまめに取り除き、予防しましょう。

害虫

アブラムシ、ナメクジ、ヨトウムシに注意してください。

殺虫剤・殺菌剤

アブラムシの駆除には市販のスプレー剤、またはオルトラン粒剤を株元にまきます。

ヨトウムシは幼虫が小さいうちはオルトラン水和剤を散布して駆除します。
大きな幼虫は夜間現れたところを捕殺します。