
水芭蕉は、水辺に咲く美しい白い花というイメージで、清楚でさわやかな印象があります。
「夏の思い出」に代表される歌が有名で、場所は歌詞にある尾瀬が思い出されますが、実際は本州の中部以北から北海道にかけての寒冷地に、多数の群生地があります。
今回は、不思議な魅力を持つ水芭蕉の特徴や名所、育て方までご紹介します。
水芭蕉の基本情報
学名 | Lysichiton camtschatcensis |
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英名 | skunk cabbage・Asian skunk cabbage |
その他別名 | 芭蕉・ベコノシタ・ウシノクチヤ |
科名 | サトイモ科 |
属名 | ミズバショウ属 |
原産地 | 日本本州北部・東アジア |
水芭蕉の特徴
水芭蕉の開花時期は、夏のイメージがありますが、実際は低地では4月から5月にかけて、高地では5月から7月に見ごろを迎えます。
サトイモ科の草花で、同じサトイモ科に属するカラーという花に似た形状の花をつけます。
ただ、花と言ってしまうと語弊があり、花のように見える白い部分は、実は仏焔包(ブツエンホウ)といって葉が変化したもので、中央にある黄色いツクシのような形状のものが花の集合体です。
湿地や沼地などの湿原に生息する植物で、涼しい場所を好みます。
国内の代表的な水芭蕉の名所には、尾瀬(福島県・新潟県・群馬県にまたがる高地)の尾瀬国立公園の湿原や、長野県の奥裾花自然園、北海道のマクンベツ湿原、メグマ原生花園、湧別町水芭蕉群生地などほかにも多くの群生地があり、美しい水芭蕉を観賞することができます。
特に水芭蕉は北海道を代表する花の一つとなっており広く親しまれています。
また、信州の奥裾花自然園は、冬の寒さが和らぎ雪が解けるころに、7ヘクタールもの広い湿原になんと81万本の水芭蕉が咲き、規模は日本一とも言われています。
水芭蕉の種類
水芭蕉の種としては一種類しかないのですが、地域によっては、個性的な水芭蕉が見つかっています。
斑入り水芭蕉
葉に濃い緑色の横筋の斑が見られる水芭蕉です。
石川県、福井県、岐阜県にまたがる白山の水芭蕉、岐阜県の蛭ヶ野高原などでよく見られます。
オバケ水芭蕉
尾瀬などの地域で見られる、通常より丈が大きな水芭蕉です。
通常の水芭蕉の草丈は15cmから30cmほどですが、ときどき1mほどの葉を持つ個体があり、オバケ水芭蕉と呼ばれています。
仏炎苞が2枚ある水芭蕉
通常は花のような部分である仏炎苞は1枚ですが、岩手県の小岩井農場で仏炎苞が2枚(大・小)の個体が多く見つかっています。
水芭蕉の栽培・育て方
水芭蕉を家庭で育てるのはハードルが高そうに感じますが、常に水を枯らさないようにしていれば、それほど難しい植物ではありません。
水芭蕉は、耐寒性はあるのですが、夏の暑さが苦手です。
そのため、夏に気温が30度を超える地域では軒下や日陰の風通しの良い場所に移動するなどして工夫しましょう。
ただし、ある程度日光も必要なので、一日中日陰にならないよう注意してください。
水芭蕉の育て方情報
分類・形態 | 草花・多年草 |
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草丈・樹高 | 30~60cm |
開花の時期 | 4月~5月・5月~7月 |
花色 | 白(仏炎苞)黄色や緑色(花序) |
耐寒性 | やや強い |
耐暑性 | やや弱い |
特性・用途 | 湿原地を好む・耐陰性・耐寒性 |
栽培難易度 | 普通 |
栽培スケジュール
植え付け | 3月~4月 |
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植え替え | 3月~4月 |
肥料 | 3月~4月 |
開花 | 3月~4月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
暑さに弱いため、半日陰の場所を選んで植えます。
水やり
水芭蕉は湿地を好み水に浸っている状態が理想の状態なので、家庭でも一年中、土が湿っている状態にしておく必要があります。
水芭蕉は早春から初夏に咲き、秋冬は休眠期に入りますが、根は生きているので、秋冬にも土壌が乾燥しないよう頻繁に水を与えて管理しましょう。
水鉢で育てるのも良い方法です。
その際夏場は水温が上がりすぎないよう、移動する必要があります。
冬場は高冷地だと水鉢の水が凍る可能性があるため、凍らせないよう移動するなどして管理します。
用土
水芭蕉の場合、あまり用土は神経質にならなくても大丈夫です。
湿地を好むため、保水性があり肥沃な土壌であれば問題ありません。
水芭蕉を育てるときのポイント
水芭蕉の選び方
水芭蕉の苗を選ぶ際は、葉が多く、黄色く変色していないきれいなものを選びます。
植え付け・植え替え
植え付けと植え替えは3月、4月が適期です。
十分湿らせた土に、根鉢を崩さないよう気をつけて植えましょう。
きれいに咲かせ続けるためには、2~3年に一度は植え替えを行うと良いでしょう。
剪定・切り戻し・収穫
花が終わったあと、秋冬には葉も枯れます。
葉や花がらを摘んで片づけます。
ふやし方
水芭蕉は種や株分けでふやすことができます。
種は6、7月に熟すのでそれを取って、水を張った入れ物に種を入れ、発芽を待ちます。
発芽したら、湿った土を入れた鉢か水鉢に入れて植え付けます。
もし、数年育てた水芭蕉があれば、株分けしてふやすことができます。
株分けは春に行います。
気を付けるべき病気・害虫
特に病害虫の心配はありませんが、葉の汁にシュウ酸カルシウムが含まれており、それが肌に付くとかゆみなどが生じるので取り扱いに注意が必要です。
殺虫剤・殺菌剤
特にありません。