
クロッカスは春のまだ寒い時期に、小さな球根から可愛らしい花を咲かせる植物です。
耐寒性が強いので、初心者にも育てやすく庭植えや寄せ植えにもぴったりなクロッカス。
細い葉が伸びたあと、芽が出て花が咲く様子は見ていて可愛らしく水だけで育てる水栽培にも適しています。
そんなクロッカスの品種や育て方についてご紹介します。
クロッカスの基本情報
学名 | Crocus |
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英名 | Crocus |
その他別名 | ハナサフラン |
科名 | アヤメ科 |
属名 | クロッカス属 |
原産地 | 地中海沿岸 |
クロッカスの特徴
クロッカスの名前の由来は、ギリシア語で糸という意味をもつKrokosという言葉が語源となっています。
クロッカスの花びらの間から、糸のようにまっすぐ伸びる印象的なめしべから連想されました。
クロッカスの花はギリシア神話と深く関係があります。美しい青年のクロッカスが羊飼いの少女と恋に落ちますが、結婚を許されなかったため自ら死を選んでしまいます。
それを哀れんだ花の女神が青年をクロッカスの花に変えたというのです。「愛の後悔」という紫色のクロッカスについた悲しい花言葉はこの神話を連想させられますね。
また、別名の花サフランは香辛料として使われる秋咲きのサフランに対して、春咲きのクロッカスは観賞用だったため花サフランという別名がつけられました。
クロッカスの花言葉である「青春の喜び」や「切望」は、寒い冬を越えて春を待ち望むクロッカスの姿からつけられたものです。
クロッカスの種類
クロッカスには秋咲きの品種と春咲きの品種があります。
地中海沿岸が原産のクロッカスの原種を品種改良したものが、園芸品種として流通していて主に「クリサントゥス」という黄色系の品種と「ヴェルヌス」という白や紫の色系統の品種があります。
ジャンヌダルク
ヴェルヌス系の品種で、薄い紫の花弁が人気の品種です。
花弁は大輪で、濃い紫の線が入っているのが特徴です。
スぺキオサス
葉と花が同時に見ることができる通常のクロッカスの品種と異なり、花が咲いた後に葉が出てくる特徴的な品種です。
秋咲きの珍しいクロッカスです。
ピックウイック
薄い紫の花弁と絞りのように濃いピンク色の線の入った模様が特徴的な、大輪の品種のクロッカスです。
イエローマンモス
鮮やかな黄色い花を咲かせるクロッカスの品種で、2月から3月に開花する早咲きが魅力です。
サフラン
ピンク色の花弁と深紅のおしべが印象的な植物で、秋から冬にかけて花を咲かせます。
クロッカスの栽培・育て方
クロッカスの栽培のポイントは、球根を深く植え付けることと水を与えるときに花にかからないように気を付けることです。
クロッカスは耐寒性が高く、植えっぱなしでも毎年花を咲かせてくれるので初心者にも向いている植物です。
クロッカスの育て方情報
分類・形態 | 球根・草花 |
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草丈・樹高 | 10cm~30cm |
開花の時期 | 2月~4月・10月~11月 |
花色 | 黄色・白・紫・薄紫 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
特性・用途 | 球根性・庭植え・寄せ植え |
栽培難易度 | やさしい |
栽培スケジュール
植え付け | 春咲き:9月~11月・冬咲き:8月~9月 |
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植え替え | 春咲き:9月~11月・冬咲き:8月~9月 |
肥料 | 2月~4月・10月~11月 |
開花 | 2月~4月・10月~11月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日当たりと水はけの良い場所を好みます。
場所が合えば、植えっぱなしでも数年は花を咲かせてくれます。
水やり
土の表面が乾いたら与えましょう。
クロッカスの花に水がかかると弱ってしまうので、細い口の水差しなどを使ってそっと水を与えます。
芽や花が終わったあとは、水を与える必要はありません。
庭植えの場合は、植え付けてから1ヶ月は水を与え、それ以外の時期は乾かし気味に管理しましょう。
肥料
植え付け時に、元肥として緩効性の化成肥料を与えましょう。
鉢植えの場合は、2月~4月にカリ成分の入った追肥も与えます。
6月に球根を掘り上げて分球をする場合は、庭植えでも追肥を与えておきましょう。
用土
クロッカスは草花の培養土か球根専用の培養土で育てることができます。
配合する場合は、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混合したものを使いましょう。
庭植えにする場合は、腐葉土を混ぜて水はけを良くしておきましょう。
温度
クロッカスの球根は一定の寒さに当てたほうがしっかりとした根を張るので、屋内で育てる場合でもしっかりと根付くまでは外に出して管理しましょう。
クロッカスを育てるときのポイント
植え付け・植え替え
クロッカスの球根を植えるときは3cmほどの深さに植えましょう。
球根の上部にも新しい球根が育つ特性をもつクロッカス。
浅く植えすぎると、霜などで持ち上がって新しく成長した球根が出て来てしまうので注意しましょう。
ふやし方
クロッカスは分球で増やすことができます。
6月に球根を掘り上げると、古い球根の上に新しい球根が出来ているので、カッターなどで切り分けて風通しの良い日かげで切り口を乾かします。
秋に球根を植えるまで、ネットなどに入れて冷暗所で保存しておきましょう。
分球を大きく作るコツは、最初に植える球根を深めに植えることと、花が終わった後の葉が枯れてもそのままにして球根に栄養を貯めさせることです。
クロッカスの水栽培
クロッカスは球根を土に埋めずに、専用の容器と水だけを使う水栽培で育てることもできます。
クロッカスの球根は寒さがないと芽を出さないので、外の寒さに当てて芽を出させてから使いましょう。
水耕栽培用の、上部に球根を入れて下部に水を入れる専用容器に球根を設置して育てます。
クロッカスの根がしっかり出るまでは、アルミ箔などて根の部分の容器を囲って日よけにしておくと根が傷みません。
根がしっかり張るまでは日かげや冷暗所で管理します。
芽と根が出たら、日当たりの良い場所に移し定期的に水を新しく取り換えるだけで、花を咲かせることが可能なのでぜひ試してみてください。
根が容器の底まで届いたら、水を3割ほど減らして管理します。
気を付けるべき病気・害虫
病気
灰色かび病、軟腐病、モザイク病は過湿によって発生しやすいので枯れた花を摘んで風通しを良くして、防ぎましょう。
害虫
アブラムシは春になって気温が上がると発生しやすくなります。
殺虫剤・殺菌剤
アブラムシにはスミチオン乳剤かベニカ系のスプレー剤を使用しましょう。