春の訪れを知らせるフリージアの育て方のポイント

早春に真っ先に咲くフリージア。
黄色や白のかわいらしい花を見つけると春が来た、とうれしくなります。
その花言葉も、「あどけなさ」、「天真爛漫」、「無邪気」と、可憐で少女のようなイメージです。
切り花にして生けてもよし、またお庭の彩りにもおすすめです。
栽培は難しくないので、ガーデニング初心者にも比較的育てやすいフリージア。
今回は、フリージアの魅力や、育て方や増やし方のコツをご紹介していきます。

フリージアの基本情報

学名Freesia hybrida
英名Freesia
その他別名香雪蘭(コウセツラン)・菖蒲水仙(ショウブスイセン)・浅黄水仙(アサギスイセン)
科名アヤメ科
属名フリージア属
原産地南アフリカ(ケープ地方)

フリージアの特徴

フリージアは、アヤメ科フリージア属の植物で、水仙や菖蒲に形や花色が似ていることから、別名「浅黄水仙(アサギスイセン)」や「菖蒲水仙(ショウブスイセン、アヤメスイセン)」と呼ばれることがあります。
また、その甘い香りから「香雪蘭(コウセツラン)」という美しい名前もついています。
また、フリージアは南アフリカ原産の多年草です。
多年草とは、一度植えれば、毎年同じ時期に花を咲かせてくれる、というもの。
環境に合ってさえいれば、植えっぱなしで大丈夫、ということです。
ただ、フリージアは植えっぱなしには向いていないため、一度掘り起こしが必要です。
その点も詳しく説明します。

フリージアの種類

フリージアは、イギリスやオランダで品種改良が進み、現在は150種類を超える園芸品種があります。
店頭でよく見られるのは白と黄色の花ですが、赤、ピンク、紫などさまざまなカラーがあります。
また、キンモクセイやフルーツのような甘い香りがすることも特徴で、特に香りが強いのは白色のフリージアです。
また、一重咲きと八重咲きがあります。以下に、代表的な園芸品種をご紹介します。

フリージアムイリー

10種類ほどある原種のうちの一つ。
一重咲き。草丈は5~15㎝ほどの小さ目な品種で、白い花弁で、内側に黄色い部分があります。

アラジン

一重咲きで、黄色のフリージアといえばこれです。

ハネムーン

八重咲きで華やかな品種です。
淡いピンクの花をつけます。
多花性です。

スカーレットインパクト

真っ赤な花をつける多花性のフリージアです。

フリージアの栽培・育て方

フリージアは、チューリップと同様に球根植物なので、一般に球根から育てます。
地植えでも鉢植えでも、比較的簡単に育てることができます。
暖かい場所を好み寒さに少し弱いので、冬の間、寒風や霜に当たらないようにだけ気を付ければ、育てやすい植物です。
また、寒い時期に十分日光に当てるようにすれば、球根に栄養を貯めているため、特に肥料をあげなくても大丈夫です。

フリージアの育て方情報

分類・形態多年草
草丈・樹高20~50cm
開花の時期2月~6月
花色白・黄色・ピンク・赤・オレンジ・紫・ミックスカラー
耐寒性やや弱い
耐暑性普通
特性・用途花壇・鉢植え・落葉性・切り花・香りあり・球根植物
栽培難易度普通

栽培スケジュール

植え付け9月中旬~11月中旬
植え替え9月中旬~11月中旬
剪定花後
肥料3月、9月~11月
開花3月中旬~5月上旬
収穫なし

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

フリージアは、暖かい場所と日光を好むので、日当たりが良く、風通しの良い場所に植えましょう。
鉢植えの場合は、冬場は軒下もしくは屋内に移動します。
地植えする場合、寒い地域で霜があたったり凍ったりする場合は、腐葉土等でマルチングを行います。

水やり

午前中にたっぷりと水を与えましょう。
他の球根植物と同様に、発芽するまでは、土の表面が乾いたら水やりをたっぷりと行います。
冬になり、発芽した後は、乾燥気味に育てます。
水を与えすぎると茎が軟弱になったり、徒長したりしやすくなります。

用土

水はけが良く、適度に保水性のある土壌が適しています。
市販の草花用培養土、または腐葉土や赤玉土を混合した土を用いると良いでしょう。
球根を植え付ける際に、元肥として、緩効性肥料を施します。

フリージアを育てるときのポイント

フリージアの選び方

球根は、ホームセンターや園芸ショップなどで入手できます。
球根を選ぶときのポイントは、ずっしりとした重みがあるもの、先が太いものを選ぶことです。
傷があったり柔らかかったりカビが生えていたりするものは避けましょう。

植え付け・植え替え

球根を植え付ける適期は、9月中旬〜11月中旬です。
地植えの場合は、できるだけ遅めのほうが良いので、11月に入ってからがおすすめです。
それは、冬に茎や葉っぱが長く伸びている場合、寒害を受けやすいことが理由です。
植え付けのポイントは、地植えの場合も鉢植えの場合も、浅めに植えることです。
植え付け後は、たっぷりと水をあげてください。

鉢植えの場合、フリージアが大きくなって鉢が小さく感じられたら、植え替えが必要です。
季節は植え付けと同じ季節で、9月下旬~11月中旬頃が良いでしょう。

地植えの場合、休眠前に球根を掘り上げる必要があります。
少なくとも2~3年に一回は行うと良いでしょう。
連作障害が出ると、病気になりやすく成長も止まってしまうためです。
掘り上げを行う時期は、葉が黄色く枯れてきたころ、つまり6月頃が適しています。
掘り上げた球根はきれいにしてから日陰で乾かし、風通しの良い場所で秋まで管理します。

剪定・切り戻し・収穫

摘心や切り戻しの必要はありませんが、花が終わったら、咲き終わった花がらをその都度取り除きます。
これを「花がら摘み」と言います。
茎に近い方から咲き始めますが、その際に順次しおれた花を摘み取っていきます。
球根の栄養をそれ以上茎に送らないようにするためです。
これをしておくと、翌年も元気な花を咲かせてくれます。
注意する点は、葉はそのまま残しておくことです。
葉で光合成をたっぷりさせて球根に養分を蓄えさせます。

ふやし方

球根植物のフリージアは、通常、分球で数をふやします。
葉が黄色く枯れてきたら、親球のまわりに付いた子球を外し、通気性のよい日陰で保管します。
それを秋に植え付けます。

気を付けるべき病気・害虫

害虫

特に心配ありません。

病気

球根腐敗病、菌核病、菌核病などに気を付けましょう。

殺虫剤・殺菌剤

発病後の薬剤スプレーなどは効果がないので、極力発病しないよう、排水をよくしたり、堀り上げを定期的に行うなどして、病気を予防することが大事です。

また、発生したらその茎を抜き取りをするなどして、広がらないよう気を付けます。