
冬景色や春先の華やかな道端を飾る水仙の花。
凛と咲く水仙の花を見ると、だんだん暖かくなって春が来るという嬉しい気持ちになります。
その甘い香りも大きな特徴で、香水にも利用されています。
寒さに強い多年草で、初心者でも育てやすい植物の一つです。
今回は、そんな水仙の特徴、種類、栽培方法などをご紹介します。
水仙の基本情報
学名 | Narcissus |
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英名 | narcissus・daffodil(ラッパスイセン) |
その他別名 | 雪中花(せっちゅうか)・ナルシサス |
科名 | ヒガンバナ科 |
属名 | スイセン属 |
原産地 | スペイン・ポルトガル~北アフリカまでの地中海沿岸地域 |
水仙の特徴
水仙は、ヒガンバナ科スイセン属の球根植物で、スペインやポルトガルを中心にヨーロッパから北アフリカの地域で原種30種類ほどが自生します。
イギリスを中心に園芸用に品種改良が重ねられ、日本でも古くから親しまれているお花の一つです。
園芸ビギナーの方も挑戦しやすい植物なのですが、一点注意すべきポイントがあります。
それは水仙が「有毒植物」である点です。
その清楚な見た目とは相反して、全草(花、葉、茎、球根のすべて)に有毒性があります。
水仙の葉がニラやノビルに似ているため、間違えて食べてしまって中毒症状を起こすという事例が時折報道されています。
球根も玉ねぎと似ているため、間違えて食べないよう、水仙は食用の野菜等とは一緒に植えないよう注意が必要です。
水仙の種類
よく見られる花の色は白または黄色ですが、オレンジ色やピンク、または複色の水仙なども流通しています。
花期は種類ごと異なり、早春から春に咲く種類や、秋冬に咲くものがあります。
また八重咲きの品種も市場に出てきており、色や形状の種類が豊富になってきています。
次のような代表的な種類があります。
ニホンズイセン(日本水仙)
お正月の頃に開花するので、正月用の花としても昔から親しまれてきました。
房咲きです。
ラッパスイセン
ラッパ咲きのスイセンで一茎一花です。
キングアルフレッドやラインベルト・アーリー・センセーションといった品種があります。
八重咲きスイセン
副花冠または花被片の一方、もしくは両方が八重咲きのスイセンです。
ウインストンチャーチルなどの品種があります。
水仙の栽培・育て方
スイセンは、初心者でも育てやすい植物で、鉢植えでも地植えでも栽培できます。
環境づくりのポイントは、日当たりがよく風通しのよい場所を選ぶことと、水はけのよい土壌作りです。
地植えの場合は数年間は植えっぱなしでも良く、水やりも降雨任せで大丈夫。
手があまりかからないのがうれしいポイントです。
水仙の育て方情報
分類・形態 | 球根・多年草 |
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草丈・樹高 | 10~50cm |
開花の時期 | 12~4月 |
花色 | 白・黄・オレンジ・ピンク・複色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 暑い時期は休眠中 |
特性・用途 | 香りがある・初心者向き |
栽培難易度 | やさしい |
栽培スケジュール
植え付け | 9月下旬~11月中旬 |
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植え替え | 9月下旬~11月中旬 |
肥料 | 2月~4月・9月下旬~11月 |
開花 | 11月下旬~4月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
スイセンは日光を好みますが、開花した後、球根に直射日光が当たりすぎるとよくないので、あらかじめ植え場所、鉢の置き場所を考慮する必要があります。
冬の間は日が差し、夏の間は直射日光を避けられる落葉樹の下などが最適です。
水やり
地植えの場合は、定植時にたっぷりと水やりをし、それ以降は降雨でほとんど十分です。
ただ、土がひどく乾燥している場合は適宜水やりを行ってください。
鉢植えの場合は、土の表面が白っぽく乾いたら、鉢底から水が流れるくらい、たっぷりと水やりをします。
用土
スイセンは、水はけがよく、粘土質の土よりも砂質の土壌を好みます。
用土を購入する場合は、市販の草花用培養土で問題ありません。元肥として、長く効くタイプの緩効性肥料を施しておきましょう。
水仙を育てるときのポイント
スイセンの選び方
スイセンは、苗の株を買って育てるか、球根を購入して植え付けるかの2パターンが一般的です。
苗は1月過ぎくらいから、ホームセンターや園芸店に並びます。
カビが生えていないか、虫がついていないかをチェックしましょう。
球根の場合は、ずっしり重く、傷やデコボコが少ないものを選び、柔らかすぎるものは避けましょう。
植え付け・植え替え
鉢植え、地植えともに、夏の暑さが引いた9月下旬~11月中旬くらいが植えつけの適期です。
ただし、ニホンズイセンの場合いは12月~1月頃花をつけるので、早めの時期(9月中から10月初め)に植え付けることをおすすめします。
地植えの場合、2~3年は植えっぱなしで管理可能です。
それ以上たったら、一度球根を掘り起こして、秋にまた植え付けます。
剪定・切り戻し・収穫
花がら摘みといって、花後に、花がついていた茎のつけ根から切り取る作業を行います。
ただし、葉は完全に枯れるまでは切らないようにしましょう。
ふやし方
球根植物なので分球でふやすことができます。
夏に球根を掘り上げて、球根が何個もくっついていたら、手でそれを分割します。
気を付けるべき病気・害虫
基本的に植えっぱなしで大丈夫な育てやすいスイセンですが、球根部分が軟腐病やモザイク病といった病気にかかることがあります。
殺虫剤・殺菌剤
病気を予防するには定期的に状態を観察し、発見し次第、病気にかかった球根を取り除きます。