
ネリネはヒガンバナ(リコリス)に似た花姿の球根植物です。
光沢のある花弁を宝石にたとえた「ダイヤモンドリリー」の名でも知られます。
鉢花としての流通が一般的ですが、近年では花もちがよいため切り花としても人気です。
今回はネリネについて、育て方や花言葉の由来などをご紹介します。
ネリネ(ダイヤモンドリリー)の基本情報
学名 | Nerine |
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英名 | Nerine |
その他別名 | ダイヤモンドリリー/ ヒメヒガンバナ |
科名 | ヒガンバナ科 |
属名 | ネリネ属 |
原産地 | 南アフリカ |
ネリネ(ダイヤモンドリリー)の特徴
ネリネの名前の由来
ネリネの名前はギリシア神話の海の女神「ネーレーイス」に由来しているといわれます。
ネーレーイスは海神ネーレウスの50人の美しい娘たちです。
花茎の先端に集まって咲く光沢のある花が、輝くように美しい女神たちを想像させたのでしょう。
ネリネの別名はダイヤモンドリリー
別名のダイヤモンドリリーはダイヤモンドのように輝きのあるユリという意味ですが、花の形状は似ているもののネリネとユリは別種です。
また、花弁にダイヤモンドのような光沢があるのはサルニエンシス系の種だけのため、ダイヤモンドリリーは厳密にはネリネの中のサルニエンシス系のみを指す呼び名です。
ネリネの花言葉
花言葉もネーレーイスにちなんでおり「また会う日を楽しみに」は美しい姿をまた目にしたいという気持ち、「忍耐」「箱入り娘」は父に溺愛され自由を許されなかったようすが由来です。
ネリネとヒガンバナの違い
まっすぐ伸びた花茎の先にユリを小さくしたような花が10輪ほど咲きます。
ヒガンバナが代表的な種として知られるリコリスと似ていますが、リコリスは東アジア原産でネリネよりも早い夏~秋に開花します。
また、葉の生え方も違いネリネは開花期と同時に葉が展開し、リコリスは花後に葉が生えてきます。
ネリネ(ダイヤモンドリリー)の種類
ネリネは種類によって成長・休眠期が違い、夏成長型・冬成長型・常緑型の3つに分類されます。
おもな品種を紹介します。
サルニエンシス系
もっともポピュラーで交配種が多く作られており、カラーバリエーションが豊富です。
ダイヤモンドリリーと呼ばれるのはこの系統です。
代表的な品種(系統)のため品種名は省略され多くは色名で流通しています。
花が大きく、花立ちがよいのが特徴です。
晩夏~秋に花を咲かせ、夏は休眠する冬成長型です。
耐寒性が低いため日本では地植えに向きません。
ウンデュラータ系
ネリネ・クリスパとも呼ばれます。
花色はピンクが主流で、花弁が繊細なのが特徴です。
比較的耐寒性が強く関東以西は地植えでも育てられます。
夏成長型です。
ボーデニー系
草丈が高く、70cmほどにまで成長します。
花色はピンク~白です。夏成長型で夏から秋にかけ花芽がつき、花が終わると葉も落葉し休眠します。
冬季に休眠するので耐寒性が高く、地植えでの栽培が可能です。
ネリネ(ダイヤモンドリリー)の栽培・育て方
成長のタイプにより水やりや温度管理が違います。
育てているネリネが夏成長型・冬成長型・常緑型のどのタイプであるか知っておきましょう。
過湿により球根が傷みやすいため、乾燥気味に保つことが大切です。
水はけのよい用土を使用し水やりは最低限にして育てましょう。
植え替えをあまり好まず、数年植えっぱなしでも花つきはよいままです。
ネリネ(ダイヤモンドリリー)の育て方情報
分類・形態 | 球根・草花・多年草 |
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草丈・樹高 | 30cm~40cm |
開花の時期 | 10月中旬~12月中旬 |
花色 | 白・ピンク・赤・紫 |
耐寒性 | 弱い(品種による) |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 落葉性・宿根草 |
栽培難易度 | 普通 |
栽培スケジュール
植え付け | 8月~9月(サルニエンシス系) |
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植え替え | 5月~9月(サルニエンシス系) |
剪定 | 11月~12月(花がら摘み) |
肥料 | 11月~12月(サルニエンシス系) |
開花 | 10月中旬~12月中旬 |
収穫 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日当たりを好み、過湿を嫌います。
サルニエンシス系は寒さに弱いため、鉢植えにし冬場は霜の当たらない場所へ移動します。
水やり
過湿になると球根が腐りやすいため、乾かし気味に保ちます。
成長期は土が乾いたら水やりをする程度にし、休眠期はさらに頻度を減らします。
常緑の品種は休眠期がないので、乾いたら水やりします。
肥料
ネリネは肥沃な土を好まないので肥料はあまり必要ありません。
成長期に水やりのついでに薄めた液肥を施す程度で十分です。
窒素分の多い肥料は葉ばかりが増え花つきが悪くなります。
用土
球根が過湿に弱いので、水はけと通気性のよい土が向いています。
赤玉土や腐葉土、川砂が主体のものを使用しましょう。
温度
品種にもよりますが耐寒性が低く、5℃を下回る場所では霜よけなどの対策が必要です。
ネリネ(ダイヤモンドリリー)を育てるときのポイント
選び方
しっかり太って重みのある球根を選びましょう。
植え付け
水はけのよい用土を準備し、球根を1/3だけ埋めて倒れないよう土を押さえましょう。
植え付け後の水やりは必要ないので、用土をあらかじめ湿らせておきます。
元肥はいりません。
大きい鉢だと土の量が多くなり通気や水はけの確保がしづらくなるので、小さめの鉢で育てることをおすすめします。
植え替え
頻繁な植え替えは根を傷めるので避けましょう。
3~4年に1回程度、子球がたくさんついて狭くなったら分球して植え替えます。
植え替えは休眠期におこないましょう。
花がら摘み
花がらをしっかり処理してやることで球根が太り、翌年の花つきも良くなります。
ふやし方
分球でふやせます。
休眠期に増えた球根を傷つけないように分け、別の鉢に植え付けましょう。
気を付けるべき病気・害虫
丈夫なので病気や害虫は特にありません。
殺虫剤・殺菌剤
特にありません。