スノードロップの育て方と植え方

まだ寒さが残る早春にいち早く咲き、春の訪れを告げるスノードロップ。
比較的育てやすい秋植えの球根植物です。
落葉樹の下などに地植えにすれば、植えっぱなしで毎年咲いてくれるので手がかかりません。
今回はスノードロップについて、球根の選び方から植え方、育て方、増やし方までご紹介します。

スノードロップの基本情報

学名Galanthus nivalis
英名Snowdrop
その他別名マツユキソウ(待雪草)・ユキノハナ・ユキノシズク
科名ヒガンバナ科
属名マツユキソウ属(ガランサス属)
原産地ヨーロッパ・西アジア

スノードロップの特徴

スノードロップは冬の寒さが残る2月~3月頃に、白く可憐な花を咲かせます。
うつむきかげんに咲くその姿は可愛らしく、花の少ない時期に貴重な植物です。
育てるのにあまり手がかからず、イングリッシュガーデンでは欠かせない植物として人気があります。

スノードロップ、という名前は17世紀頃にヨーロッパで人気があった女性の耳飾りに由来しています。
学名のガランサスはギリシャ語の「ガラ(ミルク)」と「アンサス(花)」を合わせたもので、スノードロップの純白の花をそのままに表しています。

なお、美しいスノードロップですが、球根には毒性をもつアルカノイドが含まれます。
間違って口にすると下痢や嘔吐、めまいなどの症状が出ることがあるので、小さな子どもやペットがいる家庭は球根の管理に注意しましょう。

スノードロップの種類

スノードロップの仲間は、原産地の東ヨーロッパからコーカサス山脈にかけて約15種が分布していると言われます。
代表的なものをご紹介します。

ガランサス・エルウェシー

日本でスノードロップとして広く流通しているのは、このエルウェシーという品種です。
英名はジャイアント・スノードロップ、和名はオオマツユキソウ(大待雪草)と呼ばれます。
ガランサス・ニヴァリスと比較して球根が大きめであること、休眠期に乾燥しても劣化しにくい丈夫さが特徴です。

ガランサス・ニヴァリス

スノードロップと言えば本来この品種を指します。
英名でスノードロップ、和名で待雪草の名がついている品種です。
ヨーロッパで代表的な品種として知られますが、日本ではあまり流通していません。
ニヴァリスの園芸品種として、大輪咲きのアトキンシー、八重咲きのフロレ・プレノがあります。

スノードロップの栽培・育て方

スノードロップは丈夫な球根植物で、一度植えたら植えっぱなしでも毎年花を咲かせます。
芽が出てから開花までは日当たりの良い場所で、花が終わった休眠期は半日陰で育てましょう。

スノードロップの育て方情報

分類・形態草花・球根・多年草
草丈・樹高10~30㎝
開花の時期2月~3月
花色白・緑の斑点
耐寒性強い
耐暑性普通
特性・用途落葉性・耐寒性が強い
栽培難易度普通

栽培スケジュール

植え付け8月下旬~10月中旬
植え替え8月下旬~10月中旬
肥料4月・8月中旬~10月中旬
開花2月~3月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

晩秋から開花期にあたる早春は日当たりの良い場所で育てます。
花が咲いた後、夏の期間は半日陰が適しています。
鉢植えの場合は鉢ごと移動させます。
地植えの場合は落葉樹の下などを選ぶと良いでしょう。
土壌が乾燥しすぎると球根が枯れてしまうことがあるので、注意します。

水やり

鉢植えの場合、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るほどたっぷりと水やりします。
水やりの際は花や葉に水が直接かからないよう、株元に与えるように意識します。
花が終わった後は水やり回数を減らします。
球根が乾燥しすぎると枯れることがあるので、忘れずに時々水やりをして適度な湿度を保つようにしましょう。

地植えの場合、植え付け直後には水やりしますが、日常的な水やりは必要ありません。
自然に降る雨だけで大丈夫です。

肥料

植え付けの際に元肥として緩効性化成肥料を施します。
鉢植え、地植えともに元肥は規定量よりも少なめにしておきます。
また、花の後にカリ分の多い液体肥料か、緩効性化成肥料を与えます。
肥料の与えすぎで花付きが悪くなったり根を傷めることがあるので、気を付けましょう。

用土

水はけが良く有機質に富んだ土が適しています。

鉢植えの場合、市販の草花用培養土を利用すると便利です。
自分で配合する場合は、赤玉土小粒5:腐葉土3:軽石2の割合で混ぜ合わせます。

地植えにする場合は、植える場所を耕し、腐葉土をすき込むなどして水はけを良くしておきます。

温度

耐寒性が強く、冬の寒さによく耐えます。
夏の暑さには弱く、地上部は枯れて休眠期に入ります。
生育温度は5℃~10℃です。

スノードロップを育てるときのポイント

選び方

スノードロップは秋に園芸店で球根を購入します。
乾燥していないもの、傷やカビがついてないものを選びましょう。
害虫に食害された跡があるものは避けます。
見た目がきれいで、よく太った球根が良い球根です。

植え付け

秋が適しています。鉢植えの場合、4号鉢(直径15cm)に5球程度を目安に植えます。
鉢底にネットを敷き、その上に鉢底石を4分の1程度入れたら、培養土を入れます。
球根を並べて1~2㎝程度土で覆い、最後にたっぷりと水やりをします。

地植えの場合は5㎝ほど間隔をとって植えます。深さは球根1個分(2~3㎝)程度にします。
土で覆ったら、たっぷりと水やりしましょう。

球根を乾かさない方が良いので、夏も球根を掘り上げず、土の中に置いたままにします。

剪定・切り戻し

花が咲き終わったら花がら摘みを行います。
花茎のつけ根のところから切り取ってしまいましょう。

花後に残った葉は、あわてて切りません。
球根に養分を蓄えるため残します。自然に枯れるまでそのままにしておきましょう。

植え替え

スノードロップの球根は乾燥を嫌うので、頻繁な植え替えは必要ありませんが、鉢植えの場合は、3年に1回程度植え替えを行います。
9月中旬ごろが植え替えの適期です。

球根を傷つけないように掘り起こしたら、乾燥させないようにすぐ新しい鉢に移します。
親球についている子球が1㎝ほどの大きさに育っていたら、分球して他の鉢に植え替えて増やしても良いでしょう。

地植えの場合、特に理由がなければ植え替えの必要はありません。

ふやし方

球根を分球して増やすことができます。
花が終わった後、休眠期の夏に球根を掘り上げます。
親球のわきに付いている子球を外し、鉢植えにして育てます。
2年後には子球も花を咲かせることができます。
乾燥を嫌うので、子球を取り分けたらすぐに土に植えつけましょう。

スノードロップの芽が出ない理由

スノードロップの芽が出ない理由
芽が出ない理由は、球根が十分な寒さ感じていないためだと考えられます。
芽を出す条件は冬にきちんと寒さを感じることです。
そのため、温暖な地方だとなかなか芽が出ないということが起こります。
気温が下がってもそのまま屋外で育て、十分な寒さに当てるようにしましょう。

基本的には球根を植えたら数年間は何もしなくて大丈夫です。
特別なお手入れをしなくても冬になると芽を出して花を咲かせ、夏になると休眠します。
冬になって気温が下がるまでは自然に芽が出てくるのを待ちましょう。

気を付けるべき病気・害虫

病気や害虫の心配はあまりありませんが、まれに灰色かび病になることがあります。

灰色かび病になると、葉や花の一部が水がしみたような淡褐色に変色し、進行すると症状が出た部分が枯れて灰色のカビがつきます。

殺虫剤・殺菌剤

灰色かび病の予防には、風通しをよくして、咲き終わった花や枯れ葉をこまめに取り除くようにします。
また、水やりは株元に与えるように注意します。
かかってしまった場合は、すぐに病斑部を取り除き、病気が続くようなら殺菌剤を散布します。