
ヤマアジサイは日本原産のアジサイの品種で、関東から西の山地に自生しています。
道路わきや庭などでよく見かけるアジサイよりは、ひとまわり小さめのヤマアジサイ。
こんもり茂る普通のアジサイと異なり、花の房の真ん中は小さいビーズのようなつぶつぶが集まっていてその周りを花に見えるガクが取り囲んでいます。
控えめで日本庭園にも合うような雰囲気のヤマアジサイは、長い間日本人に親しまれてきた植物です。
ヤマアジサイの基本情報
学名 | Hydrangea serrata |
---|---|
英名 | Mountain hydrangea |
その他別名 | サワアジサイ |
科名 | ユキノシタ科(アジサイ科) |
属名 | アジサイ属 |
原産地 | 日本・朝鮮半島 |
ヤマアジサイの特徴
日本に自生しているヤマアジサイは、公園などでよく見かけるアジサイと違ってとても控えめな印象があります。
花に見えるガクも少なめですが、その特徴がかえって日本庭園や茶花に向いていたので古くから日本人に愛されてきました。
ヤマアジサイの花言葉
花言葉にもある「控えめな愛」や「乙女の愛」などの言葉は、そんなヤマアジサイの主張しすぎない花姿から連想されました。
「移り気」という花言葉はネガティブに感じられますが、これはアジサイの花の色が土の酸性度によって変わる特性からつけられました。
ヤマアジサイのひとつアマチャはお茶の葉として使われる
ヤマアジサイの品種のひとつである、アマチャという野生種はお茶の葉として使われることのある珍しい品種です。
箱根や天城など限られた地域でしか自生していないアマチャというヤマアジサイの品種。
どんな味がするのか飲んでみたい気もしますね。
しかし、普通のアジサイの葉には微量ですが毒成分が含まれているので間違っても口にしないように注意してください。
ヤマアジサイの種類
ヤマアジサイは日本の広域で分布しているので、いくつかの品種が地域によって存在します。
エゾアジサイ
北海道や東北、日本海側の地域に分布していてヤマアジサイよりも少し大きな草丈になります。
青、白、ピンク、赤など多様な花色が存在します。
シチダンカ
花びらが段々のようにたくさんついた非常に目を惹きつける美しい品種です。
七段花という名称で、園芸品種が販売されています。
アマギアマチャ
箱根や静岡に自生して、白い花を咲かせます。
ヤマアジサイよりも細長い葉をもち、甘茶として利用されることもあります。
マイコアジサイ
多くのヤマアジサイの品種と異なり、花に見えるガクをたくさんつけるのが特徴です。
とても豪華な印象があります。
ヤマアジサイの栽培・育て方
ヤマアジサイの栽培には水の管理が重要です。
頻繁な水切れは植物自体を弱らせてしまうので、朝と夕方には忘れずに水やりをするようにしましょう。
ヤマアジサイは、別名のサワアジサイという名前にもあるように半日蔭の水気の多い場所を好みます。
木陰や半日蔭などに植えることがポイントです。
ヤマアジサイの育て方情報
分類・形態 | 庭木・花木・落葉低木 |
---|---|
草丈・樹高 | 50cm~180cm |
開花の時期 | 5月~9月 |
花色 | 青・紫・ピンク・赤・白 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 庭植え・鉢植え・観賞用・切り花・茶葉 |
栽培難易度 | 普通 |
栽培スケジュール
植え付け | 1月~3月 |
---|---|
植え替え | 1月~3月 |
剪定 | 6月~8月・2月~3月 |
肥料 | 3月・7月 |
開花 | 5月~9月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
直射日光が当たる場所は、水切れを起こし葉を痛めてしまうので避けましょう。
山の中に植えられているような、樹木の下の半日かげの場所で管理します。
鉢植えでも育てることはできますが、水切れを起こしやすくなるのである程度の大きさになったら庭植えすることをおすすめします。
水やり
ヤマアジサイは水切れに弱い植物です。
土の表面が乾く前には水を与える必要があります。
朝と夕方を目安に、鉢底から流れ出るくらいまでたっぷりと与えましょう。
太陽の光が強い日中に水やりをしてしまうと、逆に苗を弱くしてしまうので注意します。
もし乾き過ぎてしおれてきてしまった場合は、バケツなどにたぷり水を貼って鉢底からも十分に吸水させることで改善します。
肥料
花が終わった後の、7月に緩効性の化成肥料を与えましょう。
鉢植えの場合は、開花時期にも液体肥料を与えます。
用土
ヤマアジサイは市販の園芸用土で育てることができます。
庭植えする場合は、腐葉土や黒土を混ぜてから植えます。
土の酸性度が花の色に影響することがあるので、好みの色になるように調整するのも面白いと思います。
酸性寄りになると青くなり、アルカリ性寄りになると赤くなります。
日本の気候では酸性よりの土壌になることが多いので、赤い花を咲かせたい場合は4月ごろに少量の石灰をまくことで調整できます。
また、水切れを防ぐために、株の根元に腐葉土やウッドチップなどを敷き詰めるのも有効です。
ヤマアジサイを育てるときのポイント
選び方
ヤマアジサイの葉が黄色くなっていないものを選びましょう。
葉がたくさんついているもののほうがいい苗です。
植え付け・植え替え
頻繁な植え替えを嫌うので、数年に一度、ひとまわり大きい鉢に植え替えます。
通気性をよくするために腐葉土や黒土を混ぜ込んでおきましょう。
剪定
開花中か、花が終わった後すぐに剪定します。
花が咲く枝の先端から、二節目くらいを目安にカットしていきます。
剪定をすることで庭木にボリュームが出て、花付きも良くなります。
あえて剪定をせずに、秋までセピア色になった花を楽しむことも可能ですが翌年の開花数が少なくなってしまうことに留意しましょう。
冬の剪定では、花芽のない細い枝や古い枝をカットして間引くだけにとどめます。
ふやし方
春ごろの剪定で切った枝を、挿し木用の用土に挿して増やします。
三節目を目安にカットして、下の葉を落としてから植え付けます。
根付くまでは、半日蔭で管理して水を切らさないように注意しましょう。
芽が出てきたら根付いた証拠なので、少しづつ日に当てるようにして管理しましょう。
気を付けるべき病気・害虫
病気
葉や茎に粉をふいたようになるうどんこ病が発生しやすいので、風通しをよくして予防しましょう。
害虫
アブラムシ、ミノムシ、カイガラムシが発生することがあります。
アブラムシは市販のスプレー剤で対処しましょう。
ミノムシやカイガラムシは直接、虫を排除したほうが効率的です。
殺虫剤・殺菌剤
病気にはベニカ系のスプレー剤を散布します。
害虫にはスミチオン乳剤やマラソン乳剤を散布しましょう。
カイガラムシは薬剤がききにくいので、直接排除します。