花屋さんでよく目にする、つやのある赤い実をつけたかわいらしい姿のヒペリカム。
赤い実と緑の葉のコントラストが、花束や生け花、アレンジメントにアクセントを与えます。
また、家の門やお庭のグラウンドカバー、街路樹などにも広く植栽されています。
ヒペリカムは花よりも実の方が知られているかもしれませんが、春になると黄色い花を咲かせ楽しませてくれます。
今回は、そんなヒペリカムの特徴や種類、育て方のポイントをご紹介します。
ヒペリカムの基本情報
学名 | Hypericum |
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英名 | Hypericum |
その他別名 | キンシバイ(金糸梅)・ビヨウヤナギ(未央柳) |
科名 | オトギリソウ科 |
属名 | オトギリソウ属 |
原産地 | 中国 |
ヒペリカムの特徴
ヒペリカムとは、世界中に約490種分布しているオトギリソウ科オトギリソウ属の植物の総称です。
園芸品種としては「キンシバイ」や「ビヨウヤナギ」といった中国原産の品種、もしくは、ヨーロッパから渡来した新しい品種である「ヒペリカム・カリシヌム」や「ヒペリカム・モゼリアヌム」などを指します。
樹高は大きなものでも1m程で、株立ちとなり枝葉が横に広がる形状です。
花期は種類や地域にもよりますが、5月~7月頃で、きれいな黄色の花を咲かせます。
次々と開花するため、長い期間花を楽しめます。
また秋には赤色の実をつけ、それが熟すと黒っぽい紫色に変色します。
その実の中に種があり、それを撒いてふやすことも可能です。
暑さにも寒さにも強く、病害虫もめったにつかないので、育てやすい植物といえるでしょう。
ヒペリカムの種類
ヒペリカムは、ユーラシア大陸の暖かい地域から亜熱帯地域を中心に、世界に広く分布しています。
種類は490種類と豊富で、一年草のものから多年草のもの、グラウンドカバーに向いている種類や樹高が高くなるものなど、さまざまです。
中でも代表的な種類を紹介します。
ビョウヤナギ
半常緑性の低木で、古くに中国から渡来したものです。
鮮やかな黄色の花が上向きに開き、複数の雄しべがまっすぐ上に突き出す姿が特徴的です。
キンシバイ
半常緑性の低木で、古くに中国から渡来したものです。
黄金色のカップ状の花をつけます。
ヒペリカム ヒドコート
キンシバイの園芸品種。大輪キンシバイとも呼ばれます。
花と葉がキンシバイよりも大型で、花期が長く、よく育ちます。
近年ではキンシバイよりも、ヒドコートの方がよく出回っています。
ヒペリカム カリシヌム
常緑~半落葉の低木。南ヨーロッパ~南西アジア原産。
大きめな黄色の花と斑入りの葉がきれいで、丈夫な品種です。
樹高が低めでグラウンドカバーにも使われます。
ヒペリカム モゼリアヌム
常緑~半落葉の低木。
カリシヌムの交雑種。
ヒペリカム アンドロサエマム
落葉種です。
ヨーロッパや西アジア原産で、カリシヌムより花は小さめで、実つきが良く色も鮮やかです。
通常切り花で出回っているのはこちらのヒペリカムです。
ヒペリカムの栽培・育て方
ヒペリカムは、品種によっても異なりますが、全般的には丈夫で、放っておいてもふえていきます。
日当たりがよく風通しのよい場所が適していますが、半日陰でも大丈夫です。
枝が横に広がるので、広がるスペースを考慮して植え付けると良いでしょう。
通常ヒペリカムは、庭植えをしますが鉢植えでも管理が可能です。
ヒペリカムの育て方情報
分類・形態 | 庭木・花木・低木 |
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草丈・樹高 | 20cm~1m |
開花の時期 | 5月~7月 |
花色 | 黄色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 半常緑性・耐寒性・開花期が長い・庭植え・鉢植え・切り花 |
栽培難易度 | 普通 |
栽培スケジュール
植え付け | 3月~4月 |
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植え替え | 3月~4月 |
剪定 | 3月 |
肥料 | 3月・9月~10月 |
開花 | 5月~7月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日当たりのよい場所を好みますが、半日陰でも大丈夫です。
水やり
庭植えの場合、植え付け後にたっぷり水をあげ、それ以降は水やりをする必要はありません。
ただ夏の高温期はときどき比較的涼しい時間帯にたっぷりと水をあげてください。
鉢植えの場合は土が乾いたらたっぷり水を与えましょう。
用土
土はそれほど選びませんが、肥沃で酸性の土壌を好みます。
市販の花木用培養土や、赤玉土、腐葉土、ピートモスなどを配合した用土を用意します。
春と秋に緩効性肥料を与えます。
ヒペリカムを育てるときのポイント
ヒペリカムの選び方
ヒペリカムの苗は枝が多く、葉の緑がきれいで、病害虫の被害がないものを選びましょう。
植え付け・植え替え
植え付け・植え替えともに、3月~4月に行います。
庭植えの場合は、庭の土に腐葉土を混ぜておき、元肥も混ぜ込んでおきましょう。
鉢植えの場合は、市販の花木用の土などを用意し、苗よりも一回り大きな鉢を用意します。
ヒペリカムは生長が早く、鉢植えだと根詰まりが起きやすいため、1年に一度植え替えをしてください。
剪定・切り戻し・収穫
ヒペリカムの剪定は、新芽が伸びてくる3月に行います。
古い枝は花付きが悪くなるので、古い枝を剪定します。
ヒペリカムは強い剪定に耐えるので、思い切って根元から切っても大丈夫です。
また、秋ごろの10月~11月にきれいな赤い実がつきます。
種類によって、黄色やピンクのものもあります。
実もの、枝ものとして切り花としても人気があるヒペリカム。
ぜひ秋に、おうちに飾ってみてください。
ふやし方
種まき、挿し木、株分けによってふやすことができます。
5月~7月の植え替えと同時に行うと良いでしょう。
種は、9月~10月に黒くなった実を取っておき、その実を乾燥させ、中から種を取り出します。
そしてそれを翌年春に植え付けます。
気を付けるべき病気・害虫
通常は病害虫の被害にあうことがほとんどありませんが、アンドロイドサエマムはさび病にかかることがあります。
殺虫剤・殺菌剤
こみ合った枝を剪定し、風通しの良い場所で管理すると病害虫を予防できます。
さび病には、サプロールやベニカXスプレーなどの殺虫剤を使用します。