初夏に甘い香りを漂わせるスイカズラは、冬の間も緑の葉を茂らせるので生垣の目隠しや庭木にピッタリな植物です。
スイカズラは日本原産の植物なので、古来から生薬や漢方薬に使用されてきました。
また、甘くさっぱりした香りは海外でも愛されていて紅茶や香水、入浴剤にも利用されています。
スイカズラは繁殖力が強く、丈夫なので初心者にもおすすめの植物です。
スイカズラの基本情報
学名 | Lonicera japonica |
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英名 | Japanese honeysuckle |
その他別名 | 吸蔓(スイカズラ)、忍冬(スイカズラ、ニントウ)、金銀花(キンギンカ) |
科名 | スイカズラ科 |
属名 | スイカズラ属 |
原産地 | 日本、東南アジア |
スイカズラの特徴
スイカズラの花言葉である「愛の絆」や「友愛」は、蔦を使って絡みついて伸びていく特徴からつけられたものです。
「献身的な愛」という花言葉には、古来から生薬や漢方薬として使われてきたスイカズラの歴史が由来になっています。
漢方薬や生薬だけでなく、スイカズラをお茶にしたりお酒にしたりして幅広く使われてきました。
現在では、海外でもスイカズラの特徴を生かした紅茶や香水などが流通しています。
スイカズラの学名や英名には、日本を現す単語が入っています。
日本やアジアが原産のスイカズラは欧米に帰化していて、現地の生態系を狂わせている外来種でもあるのです。
繁殖力旺盛なスイカズラは、楕円形の可愛らしい葉をまばらにつけ、細長いかたちの白い花を対になって咲かせます。
特徴的な白い花は、しおれる寸前になると鮮やかな黄色に変化します。
初夏に甘い香りを漂わせるスイカズラは、色が変化する花のおもしろさもあり庭木や観賞用として多くのガーデナーに愛されています。
スイカズラには忍冬や吸蔓など、珍しい和名がつけられています。
忍冬という和名は、冬の間も丸い葉を茂らせたまま寒さに耐えている様子から連想されたものです。
吸蔓という和名は、細長い花を吸うと甘い蜜を味わえる特徴からつけられました。
金銀花という縁起の良い和名には、純白の花と黄金の花を同時に咲かせる様子からつけられたものです。
スイカズラの種類
スイカズラは日本の九州から北海道の広い範囲に25種類ほどが分布しています。
また、海外でも品種改良が行われていて色々な品種が生み出されています。
代表的な品種をご紹介します。
ベニスイカズラ
花のふちやつぼみが赤く染まった特徴的な花と、つやつやした葉が印象的な品種です。
園芸品種として流通しています。
ヒメスイカズラ
沖縄などに自生するスイカズラの品種で、普通のスイカズラよりも葉や花が小さいのが特徴です。
ハマニンドウ(浜忍冬)
西日本から沖縄にかけての沿岸沿いの林などに自生している品種です。
茎に毛がないことが、スイカズラと見分けるポイントです。
ハニーサックル
地中海原産のスイカズラ属の植物で、品種改良によって様々な花が生み出されています。
いずれも匂いが強い園芸品種が多く、クリーム色やピンク、紫などの花があります。
ヨーロッパでは紅茶や香水、お酒などに利用されています。
スイカズラの栽培・育て方
スイカズラはほったらかしでも育つ丈夫な植物なので、植え付け時に支柱立てをする以外には特に手を掛ける必要はありません。
ある程度の大きさに育つまでは花を咲かせないことがあるので、覚えておきましょう。
栽培管理で気を付けるポイントは、肥料を控えめに与えることです。
スイカズラの育て方情報
分類・形態 | 常緑低木/つる性植物 |
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草丈・樹高 | 300cm~500cm |
開花の時期 | 4月~6月 |
花色 | 白、黄色、オレンジ |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 生垣、庭木、鉢植え、香水、生薬、漢方薬、入浴剤 |
栽培難易度 | やさしい |
栽培スケジュール
植え付け | 3月~4月、10月~11月 |
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植え替え | 3月~4月、10月~11月 |
肥料 | 2月~3月 |
開花 | 4月~6月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日かげの場所でも育ちますが、日当たりがよいほうか花付きがよくなります。
庭植えにするときは、そばに巻き付くものがある場所で管理しましょう。
水やり
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷり与えましょう。
庭植えの場合は、夏場に乾燥が続いた場合のみ与えましょう。
肥料
冬場に緩効性の化成肥料を与えましょう。やせ地でも育つスイカズラは、過肥によって株が弱ってしまうことがあるので控えめに施しましょう。
庭植えでは、植え付けしたとき以外は与える必要はありません。
用土
スイカズラはやせた土地でも繁殖することができますが、植え付け時に腐葉土やたい肥を混ぜて、肥えた土にしたほうがたくさんの花が咲きます。
スイカズラを育てるときのポイント
選び方
苗で販売されていることが多いので、葉がたくさん茂っているものを選びましょう。
スイカズラはそれなりに大きくなるまで花を咲かせないので、なるべく大きい苗や数年物の苗を選びましょう。
植え付け・植え替え
春か秋に植え付けを行います。
庭植えにする場合は、アーチやフェンス、他の樹木などに巻き付けるような場所に植え付けをしましょう。
鉢植えの場合も、大きい苗はトレリスや支柱を立てておくとツルが絡みやすいです。
数年に一度の目安で、ひとまわり大きい鉢に植え替えましょう。
剪定
花が終わったあとに、剪定を行うとしっかりした密度の高い木になります。
支柱立て
ツル性の植物なので、誘引先を作って仕立てることが必要です。
巻き付ける先がないと、風などで草姿が乱れてしまうので注意しましょう。
ふやし方
6月から7月の時期に、挿し木で増やすことが出来ます。
剪定などでカットしたスイカズラの枝を、葉を数枚残した状態でバーミキュライトや赤玉土に挿し木して増やしましょう。
切り口に発根促進剤を塗ると、発根率が上がります。
根付くまでは、半日かげの場所で管理して乾燥しすぎないように注意しましょう。
気を付けるべき病気・害虫
病気:特にありません。
害虫:アブラムシがつくことがあるので、見つけたら市販のスプレー剤を散布しましょう。
殺虫剤・殺菌剤
アブラムシにはスミチオン乳剤やベニカ系のスプレー剤を使いましょう。