
宝石のような形をした蕾と、パラソルのように開いた花が印象的なカルミア。
花びらの中には斑点や線の模様が入っていて、色や模様が様々なカルミアは愛好者が多い植物です。
花の色も白から薄ピンク、濃いピンク、赤とたくさんの種類があり選ぶのが楽しいのもカルミアの魅力のひとつです。
暑さや水やりの管理など、難しく思われがちなカルミアですが、ポイントを押さえておけば大きな木に育てることもできるのでぜひ挑戦してみてください。
カルミアの基本情報
学名 | Kalmia latifolia |
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英名 | Kalmia |
その他別名 | アメリカシャクナゲ・ハナガシャクナゲ |
科名 | ツツジ科 |
属名 | カルミア属 |
原産地 | 北アメリカ |
カルミアの特徴
カルミアはつぼみや花も印象的な形をしていますが、その葉も細長く常緑でつやがありとても美しい見た目をしています。
葉の形がシャクナゲに似ていたことから、アメリカシャクナゲやハナガシャクナゲ(葉長シャクナゲ)という別名がつきました。
カルミアの花言葉には、たくさんの花が咲くことから由来した「にぎやかな家庭」というものや、パラソルのような形をした花から女性を連想した「優美な女性」というとても前向きなものがあります。
しかし「裏切り」という予想外の花言葉もカルミアにあてられています。
これはカルミアに微量ですが毒素を含んでいる特徴があることが由来となっています。
欧米では羊殺しという異名もついているカルミア。
多量に摂取しなければ大丈夫ですが、葉や蕾、花の蜜などを口にしないように注意しましょう。
花の艶やかさからは予想できない特徴をもっているんですね。
カルミアの種類
カルミアは多くの品種がなく、暑さや乾燥に弱いので日本ではあまりたくさんの品種が流通していません。
その中でも、いくつかの品種をご紹介します。
カルミア・ラティフォリオ
最もスタンダードなカルミアの品種で、白やピンクの花びらに薄茶色の模様が入っています。
カルミア・フレックルス
白い花弁に紫色の点々がたくさん入った、とても目を惹きつける品種です。
カルミア・エルフ
薄ピンクの蕾と、薄いピンク色に赤茶色の模様が入った花が印象的なカルミアの品種です。
ほかのカルミアの品種と比べると、葉も花も半分くらいのコンパクトな特徴をもちます。
カルミアの栽培・育て方
カルミアは乾燥にも過湿にも弱いため、水の管理に注意しながら育てることが一番重要なポイントです。
直射日光にも弱いので、置き場所は西日の当たらない半日蔭で管理しましょう。
また、カルミアはすぐに大きくならない庭木ですが花付きをよくして病害虫を防ぐために花が咲いた後に剪定する必要があります。
カルミアの育て方情報
分類・形態 | 庭木・常緑低木 |
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草丈・樹高 | 1m~5m |
開花の時期 | 5月~6月 |
花色 | 白・ピンク・赤・紫 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | やや弱い |
特性・用途 | 常緑性・切り花 |
栽培難易度 | やや難しい |
栽培スケジュール
植え付け | 3月~5月、9月~11月 |
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植え替え | 3月~5月、9月~11月 |
剪定 | 5月~6月 |
肥料 | 5月~6月・9月~10月 |
開花 | 5月~6月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
カルミアは直射日光に弱く、葉焼けしてしまうことがあるので半日蔭の場所で管理しましょう。
水やり
カルミアは乾燥にも過湿にも弱い植物です。
春から夏にかけては、土の表面が乾いていたら朝と夕方にたっぷり水をやります。
冬は数日に一回、水やりをしましょう。
梅雨の時期は過湿になりすぎないように注意しましょう。
庭植えの場合は、夏以外は頻繁な水やりは必要としませんが、土の表面が乾いたら与えるようにしましょう。
苗の根元に腐葉土やウッドチップでマルチングして、乾燥を防ぐのも有効です。
肥料
秋と春の二回、緩効性の化学肥料を与えましょう。
庭植えの場合は、苗の周りに浅く肥料を埋め込みます。
用土
水はけと水持ちが良い弱酸性の用土を好みます。
腐葉土やたい肥を混ぜ込むとともに、ピートモスなどで弱酸性に調整しましょう。
カルミアを育てるときのポイント
選び方
葉の色が濃く、苗の下の方まで葉や枝が出ているものを選びましょう。
カルミアはゆっくり成長する庭木なので、すぐに花を楽しみたい場合はつぼみがついている大きさの苗を選びます。
植え付け・植え替え
カルミアを植え付けるときは、大きめの鉢に根鉢を崩さないように注意して植え付けます。
春か秋に植え替えをしますが、カルミアは根が繊細で頻繁な植え替えを好まないので数年に一回ひとまわり大きな鉢に植え替えます。
剪定
カルミアは成長がゆっくりな庭木なので、頻繁な剪定は必要ありませんが、風通しを良くして病害虫を防ぐために年に一度は剪定するようにしましょう。
混みあった枝や伸びすぎた枝をカットすることで、丈夫な木に育ちます。
また、一部の果樹に見られるようにカルミアも年によって花が多く咲いたり咲かなかったりすることがあります。
適度な剪定でこの隔年開花を防ぐこともできます。
カルミアはたくさんのつぼみがつくのが魅力的な植物ですが、すべてを開花させてしまうと木自体が弱ってしまうので多すぎる場所は半分くらいに減らして剪定しましょう。
つぼみがついた春から初夏が剪定の適期になります。
この時期以外に剪定すると、翌年のつぼみの元を切ってしまうことになるので注意しましょう。
気を付けるべき病気・害虫
病気
褐斑病は直射日光を防ぎ、風通しを良くすることで防ぐことができます。
害虫
4月から10月はアブラムシやグンバイムシが発生しやすいので葉の裏や新芽、花のつけ根をよく観察しましょう。
見つけたら薬剤を散布するか、ガムテープなどでまとめて排除します。
同時期にカイガラムシも発生することがあるので注意しましょう。
また、ハマキムシが葉を丸めた中についていることが多いので、こちらも庭木全体を観察して見つけたら、薬剤を散布します。
殺虫剤・殺菌剤
アブラムシやグンバイムシには、市販のスプレー剤かスミチオン乳剤、マラソン乳剤を散布します。
カイガラムシは、成虫になると薬剤がききにくいので冬場に石灰硫黄合剤を散布します。
病気には市販の殺菌剤を散布しましょう。