公園や街路樹など色んなところで見つけることのできるヤドリギですが、実はクリスマスにゆかりがあると言われ多くの神話をもっていることをご存じですか?
そして育ち方にも特徴があり、土に根を張らず樹木の枝や幹に寄生して生育します。
そんなめずらしいヤドリギの神話や花言葉の由来などについてご紹介します。
ヤドリギの基本情報
学名 | Viscum album |
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英名 | Mistletoe |
その他別名 | ホヨ(保与)・ホヤ(保夜) |
科名 | ビャクダン科 |
属名 | ヤドリギ属 |
原産地 | ヨーロッパ・アジア |
ヤドリギの特徴
ヤドリギとはビャクダン科ヤドリギ属の常緑低木です。
ヤドリギは他の樹木の枝や幹に付着することで生育します。
種から「寄生根」という根を幹の中に食い込ませて、寄生した樹木から水分や養分を吸収して成長していきます。
寄生された木は枯れることなくヤドリギと一緒に成長します。
その様子から「宿り木」という漢字がつけられたそうです。
クリスマスにまつわる木や植物として、桜の木やポインセチアやヒイラギなどが有名ですが、その中でもヤドリギは唯一聖書の中にも登場するとても古くから神聖な物として扱われている木です。
ヤドリギには4つの神話があります。
ケルト人の儀式の場
古代ローマ時代に登場するケルトの司祭であるドルイドは、ヤドリギに「不死・活力・肉体の再生」などの伝説を持ち神が宿る神聖な木と考えていました。
そのためドルイドは儀式の際にはヤドリギが寄生したオークの木の下で行っていたと言われています。
神話の神の武器
北欧神話にもヤドリギの伝説が残されています。
その中に登場する光の神バルドルは神々の中でもっとも美しいことから万人に愛されていました。
バルドルの母もバルドルを深く愛していたため、世界中の生物や無生物に彼を傷つけることのないよう約束を交わしていました。
しかし、この時にヤドリギだけが若すぎてその約束ができておらず、それを知った神ロキがバルドルの弟であるヘズを利用し、ヘズにヤドリギをバルドルへ投げさせました。
これによりバルドルは命を落としたと言われています。
ヤドリギの下でキス
クリスマスにヤドリギの下にいる若い女性はキスを拒むことができないという伝説があります。
もし、キスを拒むと翌年は結婚のチャンスが無くなるとも言われています。
この伝説が発展して、恋人同士がヤドリギの下でキスをすると結婚の約束を交わし、ヤドリギの祝福が受けられるという伝説になりました。
そのため「Let`s kiss under the mistletoe」(ヤドリギの下でキスしよう)という口説き文句も存在するようです。
その他にも、「ヤドリギの下で友人が出会うと幸せになり、敵同士が出会うと戦いをやめる」「子供を悪い存在から守ってくれる」などの伝説があります。
花言葉の「キスしてください」「困難に打ち勝つ」というふたつはこの神話からきています。
また「忍耐」という花言葉はヤドリギが長い時間をかけて、寄生する樹木を枯らさずに共存していく様を表した言葉だと言われています。
ヤドリギの種類
American mistletoe
アメリカまたはメキシコ原産のヤドリギの一種です。
小さくて丸い白い実を付けることが特徴とされています。
Desert mistletoe
砂漠のヤドリギやメスキートのヤドリギなど呼ばれるヤドリギの一種です。
南カルフォルニア・ネバダ・アリゾナ、標高1400mのモハベ砂漠やソノラン砂漠で見られます。
赤い実と付けることが特徴とされています。
ヤドリギの栽培・育て方
ヤドリギは鳥によって種が運ばれ樹木に寄生するため、あまり一から育てるというのは一般的ではなく、鉢植えなども出回ってはいません。
クリスマス前になると切り花が販売されていることがあります。
公園や散歩道の木で、ほとんどの葉っぱは枯れているのに、一部の葉が枯れずに残っている木があれば、それは樹木に寄生しているヤドリギかもしれません。
是非探してみてください。
ヤドリギの育て方情報
分類・形態 | 常緑低木 |
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草丈・樹高 | 30㎝~100㎝ |
開花の時期 | 2~4月 |
花色 | 黄緑 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 常緑 |
栽培難易度 | 普通 |
栽培スケジュール
開花 | 2月~4月 |
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栽培に必要な準備・環境
日当たり
日当たりから半日陰を好みます。
肥料
特に必要としません。
用土
樹木に寄生するため、用土は必要ありません。
ヤドリギを育てるときのポイント
選び方
公園や街路樹などを見て、一部葉の生え方が違う枝などがあればヤドリギの可能性があります。
以外と身近にあるので探して歩くと楽しいですよ。
種まき
ヤドリギの実を食べた鳥が、別糞と一緒にその種子を他の樹木の枝にこすり付けることで繁殖します。
収穫
花は2~4月に咲きますが、実は冬頃に結実します。
2枚の葉の間に1㎝程度の半透明の果実をつけます。
色は白から黄色みかかったものや赤みがかったもの、オレンジなどの色もあります。
気を付けるべき病気・害虫
特に気を付けるべき病気や害虫はありません。
殺虫剤・殺菌剤
特にありません。