オリーブの木を育て方【植え方と栽培のポイント】

光沢があるシルバーグリーンの葉を持ち、上へ上へと勢いよく枝を伸ばすオリーブの木。
その立ち姿は活き活きとして生命力に満ち、カラリとしたヨーロッパ地中海地方の気候をイメージさせます。
おしゃれで明るい雰囲気が演出できるオリーブの木を、庭や鉢植えで育ててみませんか。

オリーブの基本情報

学名Olea europaea
英名olive
その他別名なし
科名モクセイ科
属名オリーブ属
原産地小アジア・地中海東部沿岸地域・北アフリカ

オリーブの木の特徴

温暖な気候と太陽を好むオリーブの木は、もともと地中海沿岸地方が原産で、その実が食用に利用できることから広く栽培されています。
日本でも、オリーブオイルやオリーブの実は、今や食材としてなじみ深く、洋食メニューに欠かせない存在となっています。

そんなオリーブの木は、シルバーグリーンに輝く美しい葉をもち、観賞用の樹木としても、とても魅力的です。
芝生の庭や、西洋風の建物などとよく調和し、周囲に明るい印象をもたらしてくれるので、庭のシンボルツリーに選ばれることが多くあります。また、もっと気軽に鉢植えで、また室内の観葉植物としても十分楽しむことができます。

オリーブの木は成長が早く、丈夫です。
放っておくと、枝がぐんぐん伸びて、大きく育ち過ぎてしまうほどです。
春と秋、年に2回ほどは剪定する必要がありますが、これに気を付けさえすれば、花や実も楽しめる、育てやすい樹木と言えます。
なお、オリーブの実は、そのままでは苦くて食べられません。
塩漬けやオイル漬けに加工して食べましょう。

オリーブの木の種類

オリーブには沢山の種類があります。
果実のタイプによって大きく2種類、「テーブルオリーブ」と「オイルオリーブ」に分けられます。
「テーブルオリーブ」は果実が大きく肉厚、塩漬けやオイル漬けに向いています。
「オイルオリーブ」は果実が小さめでオイルを抽出するのに適しています。

樹形も品種によって異なり、上にまっすぐ伸びていく「直立型」のものと、横に広がる「開張型」があります。

マンザニロ

果実が大きく、塩漬けに適しています。
樹高は低く、よく結実します。

ルッカ

果実は小さめですが、含油率が高く、オイルを採るのに適しています。
塩漬けにすると味にコクがあり、美味。
自家結実しやすい特徴があります。

ジャンボカラマタ

果実の大きさは特大サイズです。
果肉が厚く、塩漬けに向いています。

ミッション

果実は中くらいのサイズです。
木は直立型で、葉の裏の白が目立ちます。

ネバディロブランコ

果実は中くらいの大きさです。
花粉が多いので、受粉樹として適しています。

オリーブの栽培・育て方

オリーブの木はとても丈夫なので、土をあまり選びません。
地植え、鉢植え共に日当たりが良く、水はけの良い場所で育てましょう。
地植えにした場合、根付いてしまえば日常的な水やりはほとんど必要ありません。
注意点は、環境が合うと枝が勢いよく伸びて育ち過ぎ、すぐに混み合ってくることです。
春と秋には剪定し、樹形を整えてあげましょう。

オリーブの育て方情報

分類・形態果樹・庭木・花木
草丈・樹高2m~
開花の時期6月
花色白・黄白色
耐寒性普通
耐暑性強い
特性・用途常緑性
栽培難易度普通

栽培スケジュール

植え付け3月~4月
植え替え4月~4月
剪定3月~4月・9月~10月
肥料2月・(6月鉢植えのみ)・10月
開花6月
収穫10月~11月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

オリーブの木は日光を好みます。
庭植え、鉢植え、どちらの場合も日当たりの良い場所を選びましょう。

水やり

鉢植えの場合、鉢の土の表面が白く乾いたら、鉢底から水が流れ出るくらい、たっぷりと水やりをしましょう。
庭に地植えする場合は、植え付け直後を除けば、特に水やりの必要はありません。自然に降る雨だけで大丈夫です。

肥料

庭植えは2月と10月、鉢植えは2月、6月、10月に有機質肥料か、速効性の化成肥料を与えます。
オリーブ専用の肥料もあります。

用土

庭植えの場合、特に土は選びません。
しっかりと耕し、土を柔らかくする堆肥を混ぜ込んでおくと良いでしょう。
鉢植えの場合は、水はけと水もちがよい土を選びましょう。
市販の用土の場合は、赤玉土小粒7~8:腐葉土3~2を配合した土を用います。

温度

オリーブは温暖な気候を好みます。
年間の平均気温が15~22℃程度の場所であれば、露地栽培が可能です。
短期間ならばマイナス10℃程度の寒さにも耐えられますが、寒冷地では、冬に霜の当たらない軒下や室内に入れるなどの工夫が必要です。
暖地においては、1月に寒さが足りないと花がつかない場合があります。

オリーブの木を育てるときのポイント

選び方

オリーブの種類によって、育てやすさや樹形、果実の大きさなどが少しずつ違います。
栽培する環境や目的に合わせて、品種を選びましょう。

植え付け・植え替え

3月~4月が適しています。
植え付けの際は、地面から出ていた部分に土をかけないよう気を付け、風で苗が倒れないよう、支柱を立てましょう。
鉢植えの植え替えは根詰まりを防ぐために行います。
鉢の大きさや育ち具合にもよりますが、通常2~3年に一度は行いましょう。

剪定

春(3月~4月)と秋(9月~10月)に行います。
枝を整えるように剪定します。
オリーブの実を結実させたい場合は、剪定の仕方に注意が必要です。
オリーブはその年の春から伸びた新梢に花を咲かせ、結実します。
そのため、剪定する際は、新梢を残し、混み合った枝を中心に切るよう気を付けます。
重なり合っている枝、下向きの枝、内向きの枝、ひこばえ(根元からわき芽のように出る枝)は必ず切りましょう。

増やし方

挿し木で増やすことができます。
オリーブの挿し木は6~7月上旬が適しています。
元気の良い、新梢を10cmほど切り取り、2時間ほど水に挿した後、あらかじめ濡らした挿し木用の土に挿します。
しばらくは明るい日陰で管理し、土が乾かないように気を付けます。
肥料は必要ありません。

気を付けるべき病気・害虫

炭そ病

カビが原因でおこる病気です。
黒や灰色のカビの斑点ができ、葉に穴が開いたり、果実がくぼんだりします。
予防のためには、剪定をしっかりして、風通しを良くします。

オリーブアナアキゾウムシ・ハマキムシなど

オリーブアナアキゾウムシは、成虫が木に卵を産み、ふ化した幼虫が枝や幹の内部を食い荒らします。
ハマキムシはガの幼虫で、葉を食害します。見つけたら捕殺しましょう。

殺虫剤・殺菌剤

特にありません。