
丈夫な性質を持ち、あまり手をかけなくても美しい樹形を作り出すヤマボウシ。
庭を彩るシンボルツリーとして、とても人気があります。
さわやかな白い花に加え、可愛らしい実も楽しめる、そんな魅力一杯のヤマボウシの育て方を紹介します。
ヤマボウシの基本情報
学名 | Cornus kousa (Benthamidia japonica) |
---|---|
英名 | Kousa dogwood, Chinese dogwood, Japanese dogwood, Korean dogwood |
その他別名 | ヤマグルマ・ヤマグワ |
科名 | ミズキ科 |
属名 | ミズキ属ヤマボウシ亜属 |
原産地 | 日本・中国・朝鮮半島 |
ヤマボウシの特徴
ヤマボウシは、比較的手をかけなくても、四季折々に美しい姿を見せてくれます。
春、まずは新緑。風にそよぐ優しい葉の形が楽しめます。
一本立ちもいいですが、株立ちはより優雅な雰囲気が生まれます。その後、6月頃から白い花が咲き始めます。
ハナミズキによく似たこの花、実は白い部分は花びらではありません。
白いのは「総苞(そうほう)」と呼ばれる、花を取り囲んでいる部位で、花は中央の淡黄色の小さな部分です。
「ヤマボウシ」という名前の由来は、この総苞と花の形が、白頭巾を被った「山法師」(比叡山延暦寺の僧兵)の姿に見立てられたから、と言われています。
秋になると、ヤマボウシは紅葉します。
そして、オレンジから徐々に赤くなる実を付けます。
この実は熟すと甘く、生で食べることができます。
少し硬い皮をむくと、黄色い身が入っていて、そのまま食べることができます。
中に種があり、食べられる部分は少ないのですが、ジャムや果実酒にして食べることもできます。
冬、ヤマボウシは落葉します。
落葉後の姿も、樹皮が美しく、冬らしい風景として楽しめます。
一年中姿を変えながら、季節の移ろいを感じさせるヤマボウシ。
庭の雰囲気作りの中心となるシンボルツリーとして、また街路樹として好まれています。
ヤマボウシの種類
ヤマボウシには沢山の種類があります。
ピンク色の花を特徴とするヤマボウシ
ベニバナヤマボウシ、里美、紅富士などがあります。
斑入りのヤマボウシ
ウルフアイ(シルバーウルフ)、ゴールドスターなどがあります。
常緑のヤマボウシ
ホンコンエンシス、月光なえどがあります。
常緑で花付きもよく、近年人気が高まっています。
その他には、
- 樹形が美しく、花期が長いロングデイズ
- 通常4枚の白い花びら(総苞)が6枚付くホワイトミヌマ
- 白く大きな花びら(総苞)が特徴のホワイトミソノ
- 実が大きく、美味なビッグアップル
- 葉が厚めで、日焼けに強いミルキーウェイ
なども人気です。
ヤマボウシの栽培・育て方
ヤマボウシは丈夫な性質を持っているので、あまり手がかかりません。
日当たりの良い、やや乾燥した場所を好みます。
地植えにしてしまえば、水やりも特に必要ありません。
自然にしていても、樹形がそれなりに整うので、剪定の手間もそれほどかかりません。
ヤマボウシの育て方情報
分類・形態 | 庭木・花木・高木 |
---|---|
草丈・樹高 | 5~10m |
開花の時期 | 6~7月 |
花色 | 白・ピンク |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 落葉性 |
栽培難易度 | やさしい |
栽培スケジュール
植え付け | 12~3月 |
---|---|
植え替え | 12~3月 |
剪定 | 12~3月(必要な場合のみ) |
肥料 | 12~2月 |
開花 | 6~7月 |
収穫 | 9~10月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日が良く当たる場所が適しています。
水はけが良く、やや乾燥ぎみで、風通しの良いことろが理想です。
強い西日が当たり続ける所は避けましょう。
水やり
最初に植え付けをする際にはたっぷりと水やりをしますが、地植えにした場合、日常的な水やりは特に必要ありません。
自然に降る雨だけで大丈夫です。
鉢植えの場合は、夏の間、朝のうちに水やりをしましょう。
肥料
庭植え、鉢植え、どちらの場合も冬~早春に肥料を与えます。
用土
水はけの良い用土に植えつけます。
例えば、市販の赤玉土小粒7:腐葉土3を配合した土など。
温度
山地に自生しているほど、日本の気候風土に適しています。
暑さ、寒さともあまり気にしなくてよいでしょう。
ヤマボウシを育てるときのポイント
選び方
苗木を選ぶときは、葉が元気なものを選びましょう。
縮れたり、病害虫のついたもの、その食害のあとがあるものは避けます。
根の状態がチェックできるときは、細根がたくさん出ているものを選びます。
植え付け・植え替え
12月~3月が適しています。
庭に地植えにする場合は、有機質肥料と化成肥料を混ぜた元肥を施します。
鉢植えの場合、2~3年に1回は植え替えましょう。
剪定
自然と樹形が整うので、特に必要とはしません。
伸びすぎた枝が出てきた場合は、12月~3月の間に行います。
花芽のついた枝を避け、枝の分岐点から間引くように行います。
枝が混み合う場合は、6月下旬、花の後に軽い剪定を行うこともできます。
増やし方
園芸品種は3月~4月頃に接ぎ木で増やします。
台木には種まきで育った木を使います。
種まきでも増やせます。
秋に熟した果実から種を採取し、すぐにまく、あるいは乾かないように注意しながら冷蔵庫で保存し、翌年の春に種まきします。
気を付けるべき病気・害虫
うどんこ病
梅雨時に水はけが悪く、過湿になった場合、うどんこ病が発生することがあります。
うどんこ病は、葉にうどん粉をまいたように白いカビが生える病気です。
感染した葉は取り除きましょう。
害虫
ほとんど見られませんが、まれにテッポウムシ(カミキリムシの幼虫)の食害にあうことがあります。
枝や幹の中に潜んでいる場合、見つけたら捕殺しましょう。