
春になるとかわいらしい白い毬のような花を咲かせるコデマリ。
庭木や公園の境栽などに広く栽培されており、切り花としても人気があります。
コデマリは江戸時代に中国中南部から渡来し、昔から観賞用に栽培されてきました。
小さな花の集まりが一つの毬のようになっている形状から、小手毬(コデマリ)という名前が付いています。
1m~1.5m
ほどの低木で育てやすく、お庭を華やかにしてくれます。
そんなコデマリの特徴や栽培のコツをご紹介します。
コデマリの基本情報
学名 | Spiraea cantoniensis |
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英名 | Reeves' spirea |
その他別名 | スズカケ(古名)・テマリバナ |
科名 | バラ科 |
属名 | シモツケ属 |
原産地 | 中国 |
コデマリの種類
コデマリはバラ科の落葉低木で、根元から長く伸びた枝(太い幹に対してヒコバエと呼ばれる)をいくつもつけて株立ちになります。
その枝一本一本に、小さな白い花がまとまって花序となった手毬のような球状の花をつけ、その重みで弓なりに枝がたわみます。
耐寒性、耐暑性ともに優れており、半日陰の場所でも育つので、ガーデニング初心者にも育てやすい植物です。
花が咲き終わると、花びらがひらひらと舞い、その姿もとてもきれいです。
秋には葉が紅葉し、秋の生け花やアレンジメントに取り入れられています。
コデマリの種類
コデマリが属するバラ科シモツケ属の仲間は、およそ120種あり、日本では12種が知られています。
小型で育てやすい観賞用の美しい花木が多くあります。代表的なものに、ユキヤナギやシモツケ、シジミバナなどがあります。
また、オオデマリという、コデマリと似た名前の植物がありますが、コデマリと同じ仲間ではありません。
以下に、一つずつ簡単に紹介します。
ヤエコデマリ
バラ科シモツケ属。コデマリの変種で、八重咲き品種です。
シジミバナ
バラ科シモツケ属。コデマリによく似た白い花がつきます。八重咲き。ユキヤナギのように長い花穂がつきます。
シモツケ
バラ科シモツケ属。初夏にピンク色の小さな花が毬になったような花を咲かせます。
オオデマリ
レンプクソウ科 ガマズミ属または、スイカズラ科ガマズミ属。ジャパニーズ・スノーボールとも呼ばれ、白いボール状の花をつけます。
コデマリの栽培・育て方
風通しのよい、日当たりのよい場所が適していますが、半日陰でも育ちます。
鉢植えで育てることも可能ですが、株の生長が早く植え替えを頻繁に行わないといけないため、可能であれば庭植えのほうが良いでしょう。
コデマリの育て方情報
分類・形態 | 庭木・花木・落葉低木 |
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草丈・樹高 | 1m~1.5m |
開花の時期 | 4月中旬~5月中旬 |
花色 | 白 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 落葉性・耐寒性・耐暑性・初心者向き・切り花・庭木の根締め |
栽培難易度 | やさしい |
栽培スケジュール
植え付け | 2月~3月・10月~11月 |
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植え替え | 2月~3月・10月~11月 |
剪定 | 5月中旬~6月上旬 |
肥料 | 1月~2月・5月中旬~6月上旬 |
開花 | 4月中旬~5月中旬 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日当たりと風通しのよい場所を選んで植えましょう。
コデマリは、樹高は高くなりませんが、横にヒコバエを次々と伸ばしどんどん大きくなるため、地植えで育てることをお勧めします。
また、乾燥に弱いため、強い西日の当たる場所は避けた方が良いでしょう。
水やり
植え付けのあと、たっぷりと水やりを行います。
根付くまでは、土が乾燥しないよう気を付けます。
根付いてからは特に水やりの必要はありません。
ただ、乾燥には弱いため、夏の日照りの時期や極端に土が乾燥したときは水やりをしてください。
用土
コデマリは、どのような土壌でも問題なく育つ丈夫な植物です。
ただ乾燥には弱いため、保湿性の高い、肥沃な土地が適しています。
市販の花木用培養土や、赤玉土や腐葉土を混合したものを用土に使うと良いでしょう。
1月〜2月頃の休眠期に、寒肥(かんごえ)として、油かすと骨粉を10対3の割合で混ぜた緩効性の有機質肥料を与えます。
寒肥をすると根が伸びやすくなります。
そのあと、花後に、化学肥料を与えます。
これはお礼肥え(おれいごえ)といって、花を咲かせることに栄養を使ったコデマリをいたわるために行います。
その二回だけ肥料を与え、夏を過ぎたらもう肥料を与えません。
夏後に肥料を与えると、枝が伸びすぎて翌年の花がつかない、という問題が生じてしまうため、寒肥までは追肥をしないようにしましょう。
コデマリを育てるときのポイント
コデマリの選び方
コデマリの苗は、枝の数が多く、葉が傷んでいないもの、病害虫の被害がなさそうなものを選びます。
植え付け・植え替え
植え付けおよび植え替えは、落葉期の10月~11月か、休眠期の2月~3月に行います。
枝が横に広がることを考慮し、十分なスペースのある場所に植えます。
鉢植えにする場合は、2~3年に一度植え替えを行います。
剪定・切り戻し・収穫
コデマリは、その年に伸びてきた枝に花芽をつけるため、花後すぐの5月から6月頃に剪定を行います。
落葉期に行うと、新しい枝を切ってしまう危険性があるためです。
5年以上経過した古い枝は花付きが悪くなるので、古い枝を根元からバッサリ切って、新しく伸びた枝をいかすようにしましょう。
気を付けるべき病気・害虫
風通しが悪い環境ですと、アブラムシやカイガラムシが発生するおそれがあります。
また、葉が粉をまぶしたような状態になる、うどんこ病も気を付ける必要があります。
殺虫剤・殺菌剤
病害虫の予防には、定期的な剪定を行い、密集しないよう管理することが大事です。
カイガラムシは、古い歯ブラシでこすり落とすことができます。
アブラムシにはモトストップスプレーなどの殺虫スプレーを使用します。
うどんこ病にはベニカDXを使います。