
ムクゲは梅雨の終わりから秋の始まりまで、次々と艶やかな花を咲かせるのが特徴の植物です。
暑い夏の日差しで花が少なくなる中、毎日花を開かせるムクゲ。
お隣の韓国では国花として愛されているムクゲは耐寒性も強く、庭木の他に街路樹としても利用されています。
白い花弁の中心に赤い模様がついているものや、淡い紫の花弁がだんだん濃くなっていくものなど、花色もとても豊富です。
庭木や生垣として初心者向けのムクゲを育ててみてはいかがでしょうか。
ムクゲの基本情報
学名 | Hibiscus syriacus |
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英名 | Rose of sharon |
その他別名 | ハチス・モクゲ |
科名 | アオイ科 |
属名 | フヨウ属 |
原産地 | 中国・東南アジア・インド |
ムクゲの特徴
ムクゲの見た目は同じアオイ科フヨウ属に分類されるフヨウ、ハイビスカスととてもよく似ています。
ムクゲとフヨウの見分け方のポイントは葉や花の大きさにあります。
ムクゲの花や葉が5cm程度なのに対して、フヨウは10cmほどあり一回り大きいサイズなのです。
また、葉の形も異なっていてムクゲの葉が一枚の先端が三枚に裂けているのに対して、フヨウの葉は切れ込みはあるものの大きな三角形のシルエットをもっています。
フヨウの花は夏しか咲かないのも特徴です。
ムクゲとハイビスカスの見分け方のポイントは、花の中心にある柱頭とめしべ、おしべの形状を見ると明らかにわかります。
ムクゲは柱頭の付け根からたくさんのおしべが柱頭についているのに対して、ハイビスカスはすっと伸びた柱頭の先の方に黄色く色のついたおしべがついています。
ちなみに前述したフヨウの柱頭は、ムクゲ、ハイビスカスがまっすぐなのに対して少し上を向いているのが特徴です。
ムクゲは奈良時代から栽培されていたとても歴史の長い花です。
一日花ともいわれ、朝開いた花は夕方には閉じて落ちてしまいます。
それでもたくさんついたつぼみが次々と開花するムクゲ。
花言葉の「新しい美」は毎朝新しい花を咲かせるムクゲの特徴からつけられたものといえるでしょう。
絶え間なく花を咲かせる様子が縁起が良く、韓国で国花として大切にされてきた一因でもあります。
ムクゲの種類
ムクゲは古来から日本で愛されてきた植物で、その種類も多種多様にわたっています。
茶花としても重用されてきたムクゲ。
江戸時代から品種改良が行われる中で、花の色や花弁の数が違う様々な品種が生み出されてきました。
見た目の印象がガラッと変わる花弁の数で分けていくつかご紹介します。
一重咲き
花弁の長さや幅からさらにいくつかの種類に分けられます。
白い花弁に中心が赤い「日の丸」という品種や淡い紫に中心が赤い「紫杯」、花弁が白一色の「玉兎」などバリエーションが豊富です。
半八重咲
一重咲きと同じ大きさの外側の花弁と、柱頭を囲む中心に細い花弁が乱れるようにつくのが印象的な品種です。
白花の「耳原花笠」やピンク色の「大徳寺花笠」が有名な品種です。
八重咲
柱頭が見えないくらいの多数の花弁をつける品種です。
濃いピンクの「ルーシー」はバラを思い起こさせるような豪華さです。
フイリムクゲ
葉に白い斑が入っているのが特徴の品種です。
斑は葉を縁取るようについています。"
ムクゲの栽培・育て方
ムクゲは庭木にしては大きな剪定も必要なく、耐寒性も強いので初心者向きの植物です。
半日蔭の場所でも育ちますが、たくさんの花をつけるためには日当たりが良い場所を選びましょう。
ムクゲはすぐに大きくなるのが特徴でもあるので、植木鉢よりは庭植えが適しています。
植木鉢で育てている場合は、植え替えを忘れないようにしましょう。
ムクゲの育て方情報
分類・形態 | 庭木・花木・落葉性・低木 |
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草丈・樹高 | 1m~3m |
開花の時期 | 6月~10月 |
花色 | ピンク・白・淡い紫・赤 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 庭木・街路樹・生垣 |
栽培難易度 | やさしい |
栽培スケジュール
植え付け | 12月~3月 |
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植え替え | 12月~3月 |
剪定 | 11月~2月 |
肥料 | 7月~10月・12月~2月 |
開花 | 6月~10月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり、置き場所
日当たりと水はけが良い場所で管理しましょう。
耐寒性も強い植物なので、半日蔭の場所でも生育できます。
花の数を増やすためには、ある程度の日当たりが必要です。
水やり
乾燥に強い植物なので、庭植えの場合は水やりはほとんど必要としません。
極度に乾燥した場合は朝か夕方に水やりを行います。
鉢植えの場合は、晴れた日の朝、夕方と水やりをしましょう。
肥料
開花期間中に肥料を与えることで花数が多くなります。
月に一回は化学肥料を与えましょう。
また、落葉中の冬場にも来春の養分となるように油粕などの有機肥料を与えます。
用土
ムクゲは土質を選ばない植物なので、比較的水はけが良い場所だったら根付くことができます。
鉢植えで育てる場合は、市販の園芸用土を利用しましょう。
ムクゲを育てるときのポイント
ムクゲの選び方
ムクゲは育てやすい植物なので葉が少なかったり、変色していなかったりすれば問題ありません。
園芸店でも様々な色のムクゲが販売されているので、好みの花を選んで購入しましょう。
植え付け・植え替え
植え付け時は腐葉土やたい肥を混ぜ込んだ用土に、水はけがよくなるように少し盛り土をして植えましょう。
成長が早いムクゲにとって、鉢植えの植え替えは重要です。
毎年、一回り大きめの鉢に植え替えるようにしましょう。
剪定
ムクゲはほとんど剪定は必要しませんが、樹形を整えるために冬場に剪定を行います。
大きく飛び出した枝や細い枝などを剪定して、形を整えましょう。
増やし方
挿し木で増やすことが可能です。
3月~4月に新枝を15cmほど切り、挿し木用の土に等間隔で植え付けます。
根付いたら大きめの鉢に植え替えましょう。
気を付けるべき病気・害虫
病気
特にありません。
害虫
ハマキムシ・アブラムシ・ハダニにご注意ください。
殺虫剤・殺菌剤
アブラムシやハダニには市販のスプレー剤やマラソン乳剤を希釈して噴霧しましょう。