サザンカ(山茶花)の育て方・剪定のコツと花言葉|ツバキとの違いは?

サザンカは寒い冬に花をつける日本固有の樹木です。
和風な花というイメージが強いですが、ツバキと混ざって出来た品種などもたくさんあり、八重咲になるものやマーブル色の花は洋風な雰囲気ももっています。

日本の冬の景色に咲くサザンカの花は、寒い冬に華やかさを添えてくれます。
盆栽や鉢植えでも育てられますので、是非育ててみましょう。

サザンカの基本情報

学名Camellia Sasanqua
英名Sasanqua・Camellia
その他別名ヒメツバキ
科名ツバキ科
属名ツバキ属
原産地日本(山口・四国・九州・沖縄など)

サザンカの特徴

もともとは、サザンカの漢字「山茶花」から「サンサカ」と呼ばれていましたが、それがいつしかサザンカに変わっていき、サザンカと呼ばれれるようになりました。

海外でもサザンカと呼ばれています。

寒い冬の中で負けずに凛と咲く姿から、「困難に打ち勝つ」「ひたむきさ」という花言葉がつけられたと言われています。

椿(ツバキ)と間違われることが多いサザンカですが、いくつかの違いがあります。

葉から見る違い

サザンカとツバキの見分け方ですが、葉を見ると分かりやすいです。
サザンカの葉はツバキよりも小さく、ギザギザしていて肉厚です。
また、葉の裏には毛が生えています。葉を透かしてみると葉の中心の脈が黒っぽく見えるのがサザンカです。

ツババキの葉は、サザンカの葉よりも若干細長い形をしていて、葉の縁はギザギザしていません。
また、葉の裏にも毛は生えていません。
葉を透かしてみても、脈は透き通っているように見えます。

花から見る違い

サザンカは花が終わると一枚ずつ花びらが散っていきます。
ツバキは花首から落ちます。

木の下に花びらが散っていたらサザンカ、花が落ちていたらツバキです。

サザンカの種類

サザンカの品種は約300種類以上あると言われています。
サザンカの品種は、大きく分けて4つのグループに分かれています。

サザンカ群

自生しているサザンカに一番近いのがサザンカ群です。

4つ群の中で一番はじめに咲くのがこのサザンカ群です。
(四国紅、七福神、稲妻、玉姫、見驚、、雪山、桃山、明月、など)

カンツバキ群

サザンカとツバキの間がカンツバキ群です。
カンツバキ(シシガシラ)が元になっていると言われています。
サザンカ群のあとに咲くのが、カンツバキ群です。
(紅司、獅子頭、朝倉、富士の峰、姫白菊、など)

ハルサザンカ群

サザンカとヤブツバキなどの間に出来たサザンカです。
冬から春にかけて咲きます。
(笑顔、鎌倉絞、星飛竜、姫光輝、宝塚、船木紅など)

タゴトノツキ群

ユチャ(アブラツバキ)を原種とするサザンカとされています。
(田毎の月、銀宝、紅雀、望郷、松風、大和錦、六歌仙など)

サザンカの栽培・育て方

サザンカは日本固有の花木なので、日本の気候に合っています。
鉢植えでも、庭の地植えでも生育が可能です。
初心者が育てる場合は、苗を買ってきて育てるのがよいでしょう。

春から夏にかけてチャドクガという毛虫の被害に合いやすいので、注意しましょう。
チャドクガについては、別途下記に記載をしてあります。
チャドクガが皮膚にふれると、発疹をおこしとてもかゆくなります。
作業をする際は、長袖長ズボン、手袋を忘れずにつけてください。

サザンカの育て方情報

分類・形態庭木・花木・中高木
草丈・樹高2~6m・10m以上になるものも
開花の時期10月~3月
花色赤・白・ピンク・複色
耐寒性普通
耐暑性強い
特性・用途常緑性・庭木・生垣
栽培難易度普通

栽培スケジュール

植え付け3月中旬~4月下旬・9月中旬から10月中旬
植え替え3月中旬~4月下旬・9月中旬から10月中旬
剪定2月~3月
肥料2月(地植え)3月(鉢植え)
開花10月~3月
収穫花が終わったら「花がら摘み」をする。2月~3月

栽培に必要な準備・環境

それでは、サザンカを育てるために必要な物と環境をみてみましょう。

必要な物

  • 鉢(地植えの場合は不要)
  • スコップ
  • 底石
  • 培養土
  • 腐葉土や苦土石灰
  • 肥料

日当たり・置き場所

日当たりの良い場所を好みますが、半日陰のような場所でも育ちます。
西日はなるべく避けてください。
また、冬に北風や強い風があたる場所は避けてください。

水やり

鉢植えの場合、土の表面が乾いたら、鉢の底穴から水が出てくるまでたっぷりとあげましょう。
新芽が出る春には、いつもよりも水が必要ですので、水やりを忘れないようにしましょう。
庭に地植えした場合、根付いた後は、特別に水やりをする必要はありません。

肥料

植え付けの際に、元肥を与えます。
鉢植えなら鉢の底に、地植えなら土に混ぜます。

追肥は、花が終わったあと2月~3月頃に与えます。

用土

排水性がよく、且つ保水性もよい弱酸性の土壌を好みます。
粘土質のような場所に植える場合は、腐葉土を混ぜておくとよいでしょう。
また、苦土石灰(くどせっかい)を混ぜる事で、土壌改良をします。
苦土石灰は、酸性になった土のpHレベルを弱酸性にしてくれる役割を持っています。

温度

暑さにも寒さには強いですが、真冬にマイナス5度以下になるような場合は、冬囲い等の防寒対策が必要です。
冬囲いとは、木や縄、藁、竹などをつかって木を囲い雪の重さや冷たい風から守るためのものです。
園芸店やホームセンターに冬囲いの道具が売られています。

サザンカを育てるときのポイント

選び方

葉に張りと光沢があり、枝がしっかりしているものもよいでしょう。

種まき

サザンカの種は栗のような見た目をしています。
種まきでも育てられますが、開花までは数年(4~7年位)かかるので、苗から育てたほうがよいでしょう。

植え付け・植え替え

植え付けは、3月~4月、または9月~10月に行います。

鉢植え

植え付けをする際は、苗よりもひとまわり大きな鉢の底に、緩効性の化成肥料を元肥としてひきます。
培養土を1/3程鉢に入れ、苗を入れ、さらに周りに土を入れます。

地植え

地植えの場合は、土は腐葉土を混ぜておきます。
土が酸性の場合、弱酸性にするために苦土石灰をまぜて土壌改良します。
土に苗よりも二回り大きな穴をほり、元肥を与えます。苗を入れたら、土をかぶせます。

剪定・切り戻し

花が咲き終わったら、養分を実にとられないように、花がら摘みをします。
その後、3月~4月に剪定をします。
剪定は樹木のバランスをよくするだけでなく、木に養分をいきわたらせるために必要な作業です。

剪定する枝にはいくつかありますが、まずは下記を剪定しましょう。

その他にも内側や下側に向いているようなバランスの悪い枝も切ります。
また、害虫がついていたり、弱い枝も切ってしまいましょう。

  • 徒長枝:上へ長く生えている枝です。木のバランスが悪くなるので、根本から切りましょう。
  • 懐枝:幹の根本から生えている細い枝です。養分を取ってしまうので、根本から切りましょう。
  • 交差枝:2本が重なりあいながら伸びている枝です。木のバランスが悪くなるので、1本は切り落とします。
  • かんぬき枝:幹から左右対称に生えている枝です。どちらかを切ります。

剪定をする際は、チャドクガが触れないように長袖、手袋等で防備をして作業しましょう。

ふやし方(挿し木・取り木 )

サザンカは、取り木か挿し木でふやす事ができます。

取り木

取り木は3月~6月の間に作業します。

  1. 取り木にしたい枝を選びます。2・3年位たった枝を選ぶとよいでしょう。
  2. 枝の周りをよく切れるナイフなどで2~3cm位の幅で、ぐるっと切れ目を浅く入れます。切れ目を入れた部分の樹皮をはがします。
  3. 湿らせた水苔を樹皮をはがした部分に巻き付け、さらに乾かないようにラップやビニールで巻きます。水苔が乾かないように、水苔にも水やりをしてください。
  4. 3か月前後で発根します。根が出たら、枝を根の下で切り、鉢に植えます。

挿し木

6月~8月の間に作業します。

  1. 新しく伸びた枝を約10~20cm切ります。
  2. 上の方の葉っぱを5枚前後残し、下の方の葉っぱは落とします。
  3. 切り口を斜めに切り、水揚げしたら、発根促進剤を切り口に塗ります。
  4. バーミキュライトや小粒の赤玉など、清潔な土に枝をさします。明るい日陰に置いて、たっぷりと水をあげます。

気を付けるべき病気・害虫

病気

もち病にかかる事もあります。
もち病は葉っぱが白っぽくお餅のようにふくみ腐っていく病気です。

カビなどの糸状菌により発生します。

害虫

チャドクガには要注意です。
春から夏にかけて発生します。

毛が少しでも肌に触れると発疹します。

頻繁に葉の裏を確認し、卵の状態で対処するようにしましょう。
黄色の卵が葉の裏についていたら、取り除いてください。

殺虫剤・殺菌剤

チャドクガには市販の園芸用殺虫剤を使用して駆除してください。

もち病になった場合は、症状がある葉を早めに切り取り病気が広がらないようにしましょう。