【赤い実が特徴】常緑樹「ソヨゴ」の育て方・増やし方

住宅のシンボルツリーや目隠し用の植栽として人気のソヨゴ。

成長が穏やかなので、育てるのにあまり手がかかりません。
今回はローメンテナンスでナチュラルな印象を添えるソヨゴについて、植え方や育て方など栽培方法を詳しくご紹介します。

ソヨゴの基本情報

学名Ilex pedunculosa
英名Soyogo
その他別名冬青(ソヨゴ)・フクラシバ・ソヨギ・フクラモチ
科名モチノキ科
属名モチノキ属
原産地日本・台湾・中国

ソヨゴの特徴

ソヨゴは、葉が風にそよそよと音を立ててそよぐ様子から「ソヨゴ」と名付けられたと言われます。

少しうつむいてつく葉は縁が波打ち、風を受けてそよぐ姿は柔らかで明るい印象です。
そんなソヨゴは漢字で書くと「冬青」。

冬でも青々とした葉をつける常緑樹です。
また、雌株と雄株があり、雌株には秋に赤い実がつきます。
赤い実は観賞価値が高く、食べることはできませんが、季節感を演出するのにぴったりです。

ソヨゴは、成長が緩やかな植物です。
数ある庭木のなかでも、ソヨゴは特に樹勢が穏やかなので、時々伸びた枝を整える程度で美しい樹形を保つことができます。

複数の幹が生えている株立ちは、一本立ちの単幹よりさらに樹勢が緩やか。ローメンテナンスで美しい樹形を保てるとは、嬉しい特徴です。
また、半日陰でも問題なく育つ丈夫な性質なので、住宅周りの日当たりが悪い場所や狭いスペースでの植栽にも活用できます。
庭の目立つところに植えてシンボルツリーにしたり、葉の密度の高い樹形を選び、目隠し用に植栽したりと、目的によって使い分けましょう。

ソヨゴの種類

葉や実の特徴が異なるソヨゴがいくつかありますので、ご紹介します。

タカネソヨゴ

長野県の山間に自生するソヨゴです。葉の縁がギザギザしています。

プリンセスルビー

まっすぐな樹形が美しいソヨゴです。

ウィンタールビー

果実が大きなソヨゴです。

キミノソヨゴ

実が黄色いソヨゴです。園芸用の稀な品種です。

ソヨゴの栽培・育て方

日当たりの良い場所から半日陰まで、幅広い場所で育てられます。

成長が穏やかで樹形が自然に整うため、剪定などの手間があまりかかりません。
常緑性で、一年中青い葉をつけています。

ソヨゴの育て方情報

分類・形態庭木・花木・高木
草丈・樹高10m
開花の時期5月~6月
花色
耐寒性強い
耐暑性強い
特性・用途常緑性・庭木・シンボルツリー
栽培難易度やさしい

栽培スケジュール

植え付け4月~5月上旬・8月下旬~9月
植え替え4月~5月上旬・8月下旬~9月
剪定適宜
肥料2月~3月
開花5月~6月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

日当たりの良い場所はもちろん、半日陰でも育ちます。
西日が強く当たる場所は葉がやけてしまうので避けましょう。

水やり

鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るほどたっぷりと水を与えます。

地植えの場合、植え付けしてすぐの間は土の表面が乾いたら水やりしますが、根付いた後は基本的に水やりしません。
自然に降る雨だけで大丈夫です。

肥料

鉢植えの場合、3月ごろに追肥として株元周辺に化成肥料を与えます。

地植えの場合、2月ごろに寒肥を与えます。
株元の周辺に有機質肥料(油かすなど)を浅く埋め込むといいでしょう。

用土

水はけが良く、有機質の豊富な土が適しています。
地植えの場合、植える場所の土に腐葉土や堆肥をしっかりすき込んで土づくりをすると良いでしょう。

温度

耐寒性、耐暑性ともに強く、冬越し・夏越しに特別な対策は必要ありません。
常緑性で一年中青い葉がついています。

ソヨゴを育てるときのポイント

選び方

ソヨゴの苗を購入する際は、葉の色つやがよく元気なもの、病害虫の跡がないものを選びましょう。

ひとつの株から複数の幹が出ている株立ちと、一本だけの幹からなる単幹樹形があります。
株立ちの方が生育がより穏やかな特徴があります。
植える場所や好みに合わせて選びましょう。

植えつけ

4月~5月上旬が植えつけの適期です。

水はけの良い場所に植えつけましょう。
水はけが悪い場合は土を盛って水はけを良くします。

植え穴を掘ったら、底に有機質肥料か緩効性化成肥料を元肥として入れ、土で覆った上に苗を植えつけます。
木を穴のなかにすえ、高さを調整します。

根と幹の境目が地面より低い、深植えにならないよう気を付けましょう。
枝ぶりをみながら木の向きを決めます。

向きが決まったら、土を戻していきますが、このときホースで植え穴に水を注ぎ、根と土が密着するようしっかりなじませます。

土をドロドロの状態にして根と土の間に隙間をなくしながら土を戻す作業を繰り返し、穴を埋めていきます。
最後に水が引いたらしっかり土を入れ、足で踏みつけるなどして固めます。

埋め戻しが終わったら、植え穴の周囲に手で土を盛って「水鉢」を作ります。
水やりの際、水が流れ出ないようにする堤防です。

大きさは、根鉢より少し大きいくらいで良いでしょう。
水が引いたら、この水鉢に何度か水を注ぎ入れ、しっかり水やりします。

背が高い苗の場合は、支柱を立てて倒れないように支えましょう。

剪定

枝が伸びて樹形が乱れてきたら適宜行います。
成長が穏やかなので、頻繁にする必要がありません。

自然に樹形が整うので、時々不要な枝を間引く程度で良いでしょう。

増やし方

つぎ木と種まきで増やすことができます。

つぎ木

3月下旬~4月上旬が適期です。

雌株の枝から穂木を取り、台木の形成層とぴったり密着させます。

密着させた部分をつぎ木用テープでしっかり固定しましょう。
穂木や台木を切る際は、切れ味の良い刃物を用います。

その後、半日陰で管理し、活着するまで乾燥させないようにして育てます。

種まき

秋に熟した実から種を採りだし、保管しておいて春にまきます。

気を付けるべき病気・害虫

病気

すす病、褐斑病に気を付けましょう。

すす病になると黒いすすがついたような状態になり、成長が阻害されます。
褐斑病は糸状菌が原因で発生します。
葉に褐色の小さな斑点ができ、症状が進むと落葉して生育が悪くなります。

害虫

カイガラムシに注意しましょう。

殺虫剤・殺菌剤

すす病には市販の薬剤を用いて対策します。

褐斑病は発生した部分をすぐに切り取って処分し、広がってしまったら殺菌剤を散布します。

カイガラムシは6月~7月に幼虫が発生します。

幼虫の時期は薬剤をまいて駆除できます。
成虫になると体がロウ質に覆われて薬剤が効きにくくなるので、樹皮を傷つけないものでかき落とすようにして駆除します。