ディルは、さわやかな香りで、ピクルスやマリネ、魚料理に活躍するハーブです。
繊細な葉は見た目にも美しく、料理を引き立てます。
今回は1株育てていると役に立つディルについて、植え方や育て方など栽培方法を詳しくご紹介します。
ディルの基本情報
学名 | Anethum graveolens |
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英名 | Dill |
その他別名 | イノンド・ヒメウイキョウ・時蘿(じら) |
科名 | セリ科 |
属名 | イノンド属 |
原産地 | 地中海沿岸地域・アジア西部 |
ディルとは?どんなハーブ?
爽やかな香りをもったディルは、西洋料理に使われる定番のハーブです。
マリネやピクルスの他、魚や肉のソテーにもぴったりで、様々な料理に利用されます。
繊細な美しさをもった葉のみならず、茎、花、種のすべてが香りづけや風味づけに使うことができます。
ディルの葉は、同じセリ科の香草、フェンネルとよく似ています。
どちらも魚や酢と相性が良く、同じように料理に使われます。
比較すると、ディルは苦みが少なく、噛むと爽やかな香りがあり、フェンネルは甘くてスパイシー、ディルよりも爽やかさが強めの印象です。
栽培中の姿も良く似ていますが、ディルの方が草丈が低く、葉はより繊細できめ細かなのが特徴です。
このように似ているディルとフェンネルですが、同時に育てるときは注意が必要になります。
近い場所に植えてしまうと、交雑して香りや味が落ちてしまうことがあるからです。
ディルを植える際はフェンネルから離して育てるようにしましょう。
ディルは病害虫も少なく、鉢植えで気軽に育てることができます。
一株あれば食卓を豊かにするハーブと言えます。
ディルの種類
ディルはセリ科イノンド属の一年草です。
主に食用のハーブとして栽培され、園芸品種などは特にありません。
よく似たハーブにフェンネルがありますが、フェンネルはセリ科ウイキョウ属の多年草になります。
フェンネルの葉や茎はサラダやスープ、魚料理や肉料理に香りづけとして使用されます。
ディルの栽培・育て方
日当たりと水はけのよい場所で育てます。
直根性で移植を嫌うので、苗の植えつけの際は根を傷つけないよう、丁寧に行いましょう。
夏場の乾燥と水切れに注意が必要です。
ディルの育て方情報
分類・形態 | ハーブ・一年草 |
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草丈・樹高 | 60㎝~100㎝ |
開花の時期 | 5月~7月 |
花色 | 黄 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
特性・用途 | 食用 |
栽培難易度 | やさしい |
栽培スケジュール
植え付け | 4月~6月・10月~11月 |
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剪定 | 適宜 |
肥料 | 4月~6月・10月~11月 |
開花 | 5月~7月 |
収穫 | 5月~7月 |
ディルの栽培に必要な環境
日当たり・置き場所
日当たりが良く、風通しの良い場所が適しています。
水はけの良い土を好みます。
同じセリ科のハーブ、フェンネルの近くで育てるのは避けましょう。
交雑して香りや味が落ちてしまいます。
水やり
鉢植えの場合
土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るほどたっぷりと与えます。
夏場の水切れに注意しましょう。
地植えの場合
根付いた後は基本的に自然に降る雨だけで大丈夫です。
ただし、乾燥が続き、しおれ気味になった時は様子を見て水やりします。
肥料
植えつけの際に元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜておくと良いでしょう。
その後、真夏以外は、2週間に1回程度追肥します。
用土
ディルはあまり土質を選びませんが、水はけが良く、保水性のある用土が適しています。
鉢植えの場合、市販の草花用培養土やハーブ用培養土で問題なく育ちます。
8号鉢に1株が目安です。
地植えする場合は、腐葉土をすき込み、植えつけの2週間前には苦土石灰を少量まいて酸性度を調整しておくとよいでしょう。
温度
耐暑性がやや弱いので、夏場の乾燥には注意が必要です。
半耐寒性で、寒さには比較的強いですが、一年草のため、秋に枯れてしまいます。
ディルを育てるコツ
選び方
ディルの苗を選ぶ際は、葉の色ツヤが良いもの、茎が徒長していないものを選びます。
葉がしおれていたり、病害虫の跡があるものは避けましょう。
種まき
種まきは春と秋、年2回できます。
秋にまいて育てた方が、収穫期間が長くなるのでおすすめです。
ディルは根がまっすぐに伸びて育つ直根性で、移植を嫌います。
そのため、種は土に直まきするのが最適です。
株間を約30㎝とり、種を3~4粒まいたら、薄く土で覆います。
種が流れてしまわないように、丁寧にしっかり水やりをし、発芽するまで乾かさないように気をつけて管理しましょう。
10~14日ほどで発芽するので、元気な芽を残して間引き、育てます。
ポットに土を入れ、種まきして苗まで育てることもできますが、定植する際に根を傷つけないよう、注意しましょう。
植えつけ
移植を嫌うので、種まきで育てるのが最適ですが、沢山必要ない場合は苗を購入して植えつけましょう。
ポットから根鉢を崩さないようにそっと取り出し、根を傷つけないように注意して植えつけます。
ディルは成長してくると、草丈が高くなります。
倒れやすいので支柱で支えましょう。
剪定
草丈が20㎝ほどになったら、新芽の先を摘み取る摘心を行います。
これにより、脇芽の成長を促し、葉の収穫量を増やすことができます。
葉の収穫を長く楽しみたい場合は、花芽がついたら摘み取って花を咲かせないようにします。
ふやし方
種まきで増やすことができます。
花後、株が枯れたら茎ごと種を刈り取り、風通しの良い場所に吊るして乾燥させます。
放任しておいても、こぼれ種でよく増えます。
収穫
草丈が20㎝を超えたら、葉の収穫ができます。
花の蕾がつく前に若い葉を摘みましょう。
花や種もスパイスとして利用できます。
ディルは、鉢やプランターで育てる方法と、水耕栽培で育てる方法があります。
鉢植え・プランターのコツ
鉢やプランターに植える場合は、土を入れて育てます。種を撒く時は、土に1cmほどの空けてから4~5粒ずつまきます。
その後は、苗に栄養をしっかり行き渡らせるために、間引きをしましょう。鉢植えは1株、プランターは3~4株を目安を間引きをします。
水耕栽培のコツ
ディルは、水耕栽培でも育てることができます。
水耕栽培をする場合は、スポンジに根をつつんで、液肥を入れた水に入れて育てましょう。
気を付けるべき病気・害虫
病気
特にありません。
害虫
アゲハチョウに気を付けましょう。
アゲハチョウが飛んできて、ディルに産卵することがあります。
殺虫剤・殺菌剤
アゲハチョウの幼虫が卵からかえり、葉を食べつくしてしまうことがあるので、見つけ次第駆除しましょう。
防虫ネットなどを使って対策しても良いでしょう。
注意点 ディルとフェンネルを近くで育てるのはNG
ディルと一緒にフェンネルを育てる時は、気をつけておきたいことがあります。
ディルとフェンネルは同じセリ科の植物ですが、近くで育てるとそれぞれの香りや性質が混じってしまうことがあります。
両方を一緒に育てる場合は、できるだけ離して育てるようにしましょう。