ハートの形が素敵なアンスリウムの種類と育て方・株分けのコツ

アンスリウムはコロンビアやエクアドルなど熱帯地域が原産のサトイモ科の植物です。
全体的にツヤがあり、赤やピンクのハート型が印象的です。
観賞用に鉢植えで育てられている他、その美しいツヤと日持ちの良さからフラワーアレンジメントの花材としても使われています。

今回は、そんな可愛らしいアンスリウムの育て方とコツをご紹介します。

植え替え方法もお話ししますので、大事に育ててあげてくださいね。

アンスリウムの基本情報

学名Anthurium
英名Anthurium
その他別名フラミンゴフラワー(Flamingo Flower)・テイルフラワー(Tail Flower)
科名サトイモ科
属名ベニウチワ属
原産地コロンビア・エクアドル・熱帯アメリカ・インド諸島 

アンスリウムの特徴

皆さんが花だと思っている赤やピンクのハート型の部分は、正確には花ではなく仏炎苞(ぶつえんほう)と言います。

仏炎苞の中心にある棒状のものが、実は花なんですよ。
これを肉穂花序(にくすいかじょ)と呼び、この肉穂花序にたくさんの小さな花が咲いています。
また、花をつけている茎は花茎(かけい)と言います。

通常、茎には葉がついていますが、アンスリウムの花茎には葉がないために、花茎と呼びます。

アンスリウムという花は、ギリシャ語からつけられました。
ギリシャ語で、アンサス(anthos)は花、オウラ(oura)は尾という意味です。
アンスリウムの花の部分である、棒状の肉穂花序が動物のしっぽに見える事からこう呼ばれるようになりました。

現在、日本では福島県川俣町が震災復興プロジェクトのひとつとして、アンスリウム栽培をしています。
(参考:https://k-anthurium.com/)「かわまたの花アンスリウム」は古着をリサイクルしたポリエステル媒地で栽培をしています。
環境にもやさしく復興にも繋がるアンスリウム、是非国内でたくさん飾ってあげたいですね。

アンスリウム仏炎苞がハートに見える事から、花全体の花言葉として「恋に悶える」とつけられています。
バレンタインや好きな人へのプレゼントにもピッタリですね!

アンスリウムの種類

アンスリウムは600種類以上の品種があると言われています。
赤やピンクを多く見かけますが、紫っぽい色のもの、緑のものなど様々です。
また、サイズも小さいものから大きなものまで、仏炎苞のサイズも異なります。
仏炎苞が20cmちかくにもなる、おばけ種なんていうものもあるんですよ。
また、葉をメインに楽しむタイプのものもあります。

エンジェル(Aangel)

仏炎苞は白色で、気品のある見た目からブライダル用のアレンジに使われる事もあります。

ピスタツエ(Pistache)

薄い緑色の仏炎苞に肉穂花序は珍しい薄ピンク色の品種です。

エテルノ(Eterno)

真っ赤な仏炎苞には、アンスリウム特有の脈が深く入っています。
まさにアンスリウムという見た目で、仏炎苞のサイズも比較的大きくなります。

ネロ(Nero)

黒っぽいとても濃い深い紫の品種です。
仏炎苞も肉穂花序も深い紫で、大人の雰囲気と高級感があります。

プレジデント(President)

ピンク色から黄緑にグラデーションをし、仏炎苞が大きくなるおばけ種のひとつです。

シロシマウチワ

大きな葉に、白い葉脈が入ったアンスリウムです。
葉メインの観葉植物として育てられます。

クラリネルビウム

白い葉脈が入り、シロシマウチワに煮ていますが、シロシマウチワよりも小型の品種です。

たくさんある品種の中から、自分のお気に入りを見つけて下さい!

アンスリウムの栽培・育て方

アンスリウムは害虫もつきにくく、日当たりもさほど気にしなくてよい為、初心者にも育てやすい植物です。
熱帯地域が原産の植物ですが、直射日光は葉焼けの原因にもなり好みません。
屋外で育てる場合には日当たりに注意しましょう。

また、買ってきた時はたくさん花が咲いていたのに、だんだん少なくなってきて新しい花が咲かないという場合は、肥料不足も考えられます。
新しい花を咲かせるために、肥料も忘れずに与えましょう。

アンスリウムの育て方情報

分類・形態熱帯植物・観葉植物・多年草
草丈・樹高30cm~80cm
開花の時期5月~1月
花色赤・ピンク・白・緑・紫・複色
耐寒性弱い
耐暑性普通
特性・用途観賞用・日陰でも育つ・開花が長い・常緑性
栽培難易度普通

栽培スケジュール

植え付け5月~8月
植え替え5月~8月
剪定4月~9月
肥料4月~9月
開花5月~8月

栽培に必要な準備・環境

それでは、アンスリウムが生育するに好ましい環境をみてみましょう。

日当たり・置き場所

明るい日陰やレースのカーテン越しを好みます。
直射日光は葉焼けの原因となり好みませんので、優しく日の光が当たる場所に置いてください。
しかし、全く太陽の光があたらないのは、植物にとってよくありません。
太陽の光が当たらない暗い部屋に置いている時は、週に1回は窓際のカーテン越しで太陽の光を与えてあげましょう。

水やり

アンスリウムは、土がよく乾いたらたっぷりと水をあげるようにしましょう。
しかし、気温が15度以下になるときは、生長がゆっくりになるため、そこまで水を必要としません。
15度以下の時は水やりは控えめにしましょう。

肥料

5月~9月のあたたかい時期に、緩効性の置き肥を1ヶ月に1回程度与えてください。
寒い時期は生長がゆっくりとなるので、肥料は与えないようにしましょう。
特に春から初夏にかけては生長します。この時期にしっかりと養分が与える事で、葉の色とツヤを保ち、新しい花を咲かせることができます。

用土

アンスリウム用か観葉植物用の培養土をつかいましょう。
自分で配合する場合は、鹿沼土:パーライト:ピートモスを1:1:1で配合するとよいでしょう。

温度

あたたかい気温を好みます。
15度以下になる時は室内に入れましょう。
室外に置く場合、朝夜が冷える場合は家の中に置いておいた方が安心です。

アンスリウムを育てるときのポイント

選び方

アンスリウムを購入する時は、葉にツヤがあり濃い緑のもの、また茎がしっかりしているものを選びましょう。

植え替え

2年に1回は、植え替えをしましょう。5月~8月頃が植え替えに適した時期です。

  1. アンスリウムを古い鉢から出します。黒や茶色になっている状態が悪い根は清潔なハサミで切ります。
  2. 根の周りをやさしく手で揉んで古い土を落とします。但し、根と土がしっかりくっついている場合は無理に土を取らなくても大丈夫です。土と根の間にやさしく割りばしを刺して土を柔らかくしたり、空気を入れるようにすると良いでしょう。
  3. 一回り大きな鉢に、底石を入れます。
  4. 新しい鉢に用土を3割ほど入れます。
  5. アンスリウムを中心に入れて、周りに土を入れます。割りばしなどを使って、周りに入れた土をざくざくと刺すと、根の間に新しい土が入り込んでいきます。
  6. 水やりをしたら、明るい日陰に置きましょう。

剪定・切り戻し

アンスリウムは「花がら摘み」と「剪定」を行います。
花がら摘みとは、咲き終わった古い花を取ってしまう事です。
そうする事によって、新しい芽や花を出すための養分が行き渡るようになります。
アンスリウムの肉穂花序(にくすいかじょ)が黄色や緑色に変色してきたら、花茎の根本から切りましょう。
剪定の際は、ウイルスや病気にかからないように、アルコール消毒をした清潔なハサミを使ってください。

ふやし方(株分け・挿し木)

アンスリウムは株分けと挿し木で増やすことができます。

株分け

アンスリウムの子株は、元々ある親株の根本についています。
植え替えの時期に、古い土を落としてから清潔なナイフで子株を切り取ります。
新しい小さめの鉢に、植え替え手順と同じように子株を植え付けます。
植え付け後は、たっぷり水をあげて日陰において下さい。

挿し木

アンスリウムは挿し木でも増やせます。
剪定の際に、挿し木用に茎を取ってください。
元気の良いアンスリウムは気根(きこん)が伸びてきます。
気根とは、土の中ではなく空気中に伸ばす根の事です。
この気根が茎についたまま切り取るようにしてください。
切り取った茎に3枚ほど葉を残し、清潔な土やバーミキュライトに挿して根が出るのを待ちます。
根が出たら、植え替えの手順に沿って鉢に植えてください。

気を付けるべき病気・害虫

ハダニやカイガラムシがつく場合があります。
ハダニやカイガラムシは、葉の汁を吸ってしまい生育が悪くなってしまう上に、白い斑点ができてしまったり、すす病の原因にもなります。
葉水をするとこれらのリスクが減らせますので、頻繁に葉の裏にも水をかけてあげてください。

殺虫剤・殺菌剤

早期に発見すれば、ハダニやカイガラ虫は早期であれば牛乳スプレー、ニームオイルをスプレーする事で対処できます。
しかし、カイガラムシが成虫になると、かたい殻で覆われて殺虫剤が効かなくなってしまいます。
歯ブラシでこすり取ってください。