初心者でも豪華な花が楽しめるアネモネ【育て方や特徴を解説】

アネモネは早春から晩春にかけて開花し、春の訪れを告げる花として古代より人々に親しまれてきました。

冬の寒い時期から大きいものだと直径10㎝近い花をつけるので、ガーデニング初心者から上級者まで楽しめる植物となっています。

今回はアネモネの代表的な品種や育て方についてご紹介します。

アネモネの基本情報

学名Anemone coronaria
英名Anemone coronaria
その他別名ボタンイチゲ(牡丹一華)、ハナイチゲ(花一華)
科名キンポウゲ科
属名イチリンソウ属
原産地ヨーロッパ南部~地中海沿岸

アネモネの特徴

春の終わりにアネモネは北半球の温帯から熱帯にかけて広く分布し、古代より神話や伝説にも登場するなど、人々の身近に存在してきた花です。

アネモネの名前はギリシャ語で風を意味する「anemos」からきています。

春風が吹き始めるころに咲き誇ることや、春の終わりに風によって散っていく姿が由来とされています。

花言葉は「はかない恋」や「はかない夢」、「薄れゆく希望」など切ないニュアンスのものが多く、これはアネモスのギリシャ神話に由来しているようです。

アネモネの種類

アネモネには一重咲き品種や八重咲きの品種があります。ここではその中で人気の6種類についてご紹介します。

ポルト(一重・八重)

花付きがよく、草丈も30㎝ほどとコンパクトで丈夫な育てやすい品種です。

色:ホワイト、スカーレット、オーキッド、ブルー、パール(一重)、ピンク(八重)

デカン(一重・八重)

大きく開いた花びらが魅力。市場流通も多い品種です。

色:ローズ、ブルー、ホワイト、スカーレット

モナリザ(一重)

花色が豊富でひらひらとした花びらが特徴、切り花での流通も多い品種です。

色:ホワイト、ピンク、スカーレット、レッドバイカラー、ブルー、ラベンダー

ミストラル(一重)

優しい色合いのパステルカラーが人気、多くのシリーズがありバリエーション豊富です。

色:ピンク、ホワイト、レッド他

モナーク(八重)

細い花びらが放射状に広がる独特な花が特徴でボリューム感があります。

色:ホワイト、スカーレット、ローズ、ブルー

セントブリジット(八重)

八重咲きの大輪品種で、迫力のある花びらが魅力です。

色:ホワイト、スカーレット、ローズ、ブルー

アネモネの栽培・育て方

アネモネは球根から育てるのが一般的な植物ですが、園芸店で苗や花付きの個体を購入することができます。

初心者でも育てやすく、水はけ、日当たり、風通しをしっかりと確保することで何年も花を楽しむことができます。

アネモネの育て方情報

分類・形態多年草/山野草
草丈・樹高10~40㎝
開花の時期2~5月
花色赤、桃、紫、青、藤、白
耐寒性強い(品種によって異なる)
耐暑性弱い
特性・用途耐寒性が強く、初心者でも育てやすい、開花期間が長い
栽培難易度やさしい

栽培スケジュール

植え付け10~12月
植え替え10~3月
肥料10~3月
開花2~5月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

アネモネは風通しの良い日向を好みます。

地上部が枯れた後は風通しの良い日陰に置き、10月ごろになったら再び日向へと移動させます。

庭植えにする場合は日当たりがよく、水はけのよい場所を選びましょう。

水やり

球根から育てる場合、植え付け前に軽く培土を湿らせておきます。

植え付け後は4~5日ほどたってから水やりをします。

以降は表面の土が乾いたタイミングでたっぷりと水をあげましょう。

初夏になると地上部が枯れ始めるので、そのタイミングで水やりを中断し、雨のあたらない風通しの良い日陰で土を完全に乾かしてください。

10月ごろになったら再び水やり開始です。

肥料

鉢植えの場合、肥料が少ないと花数が減る可能性があります。

10~3月までは薄めの液体肥料(N:P:K=6:10:5)を2週間に1度施用します。

晩春まで施肥し続けると、球根が肥大しないので注意しましょう。

用土

水はけのよい弱アルカリ~中性の土を好みます。

市販の赤玉土中粒:腐葉土:ピートモス=5:3:2に3g/L程度の有機石灰を加えたものがおすすめです。

温度

冷涼な気候を好むため5~10℃で最も生育が旺盛になり、25℃を超えると生育が止まります。

5~20℃がアネモネに適した気温帯といえます。

ただし、アネモネは5℃以下の冷たい空気に触れることで花を咲かせるため、鉢植えの場合も室外で管理することをおすすめします。

アネモネを育てるときのポイント

選び方

アネモネの球根を選ぶ際は傷がついていないか、病気にかかっていないか虫がついていないかを確認してください。

また、手に持った時に他の球根と比べて軽すぎないかもチェックポイントです。

種まき

アネモネの種まきは9~10月が適期で、15~20℃が発芽適温になります。

25℃を超えると急速に発芽が悪くなるので、種まき後は日陰において発芽するまでは涼しい環境で管理しましょう。

植え付け・植え替え

彫り上げてすぐの乾燥前のアネモネの球根はそのまま植え付け可能です。

乾燥させた球根の場合、10月以降の植え付けが適期です。

乾燥したアネモネの球根は水を急激に吸いやすく、腐ってしまう可能性があります。

軽く湿らせたバーミキュライトか清潔な砂に埋めて、1週間ほど冷蔵庫で吸水させてから植え付けるといいでしょう。

湿らせたキッチンペーパーに2~3日包んで冷蔵庫に置くことでも代用できます。

増やし方

6~8月に球根を彫り上げ、切り分けて株を増やすことができます。

球根は彫り上げた後、土や枯れた葉を取り除き2~3日ほど陰干しをします。

乾燥後、大きく太った球根をカッターなどで切り分けます。

その後風通しの良い日陰で切り口を乾燥させ、通気性の良い涼しい場所に置くことで次の植え付けまで保管できます。

気を付けるべき病気・害虫

風通しが悪く、過湿の状態が続くと病気が発生しやすくなります。

3~5月にうどんこ病、4~5月に立ち枯れ病、11~5月にかけて室内の場合に灰色かび病の発生が多くなります。

花がらをこまめに取り除き、多肥・過湿に気を付けましょう。

10~5月にかけて新芽にアブラムシが発生しやすくなります。

また、3~5月ごろはハモグリバエも多くなるため、葉に白い落書き模様が現れたら幼虫がいる可能性があるので駆除しましょう。

殺虫剤・殺菌剤

ベニカXスプレー、ベニカXファインスプレー、サンケイオーソサイド水和剤80、オルトランDX粒剤