
カモミールは、地中海沿岸が原産のキク科のハーブです。
細い茎の先に、黄色と白のコントラストがかわいらしい、小型なデイジーのような花を咲かせます。
香りが良く、アロマテラピーや入浴剤などの香料として用いられたり、花をハーブティーとしても楽しむことができます。
今回はそんなカモミールの種類や特徴、栽培方法を詳しくご紹介します。
カモミールの基本情報
学名 | Matricaria chamomilla(ジャーマンカモミール)、Anthemis nobilis(ローマンカモミール) |
---|---|
英名 | chamomile |
その他別名 | カミツレ、カミルレ、カモマイル |
科名 | キク科 |
属名 | シカギク属、ローマンカミツレ属 |
原産地 | 地中海沿岸 |
カモミールの特徴
カモミールは、江戸時代にポルトガル人やオランダ人によって日本に伝えられたといわれています。
日本ではカミツレという名前で親しまれてきました。
花言葉には、逆境に耐える・仲直り・友情・あなたを癒す、などがあります。
カモミールは春頃に、直径2 cm~3 cmほどの花をたくさん咲かせます。
カモミールと一言で言っても大きく分けて2つの分類があります。
ローマンカモミールとジャーマンカモミールです。植物の属名や特徴までも異なるので、次に詳しくご説明します。
カモミールの種類
カモミールの中でも代表的な品種をご紹介します。
ローマンカモミール
多年草のハーブ。ローマカミツレ属。
ローマンカモミールを植えると、その周りにある植物が元気になるといわれています。
そのため、ローマンカモミールは、コンパニオンプランツとして、花壇や寄せ植えに用いられることがあります。
例えば、キャベツやタマネギの近くに植えると、害虫を寄せ付けない効果があります。
ハーブティーにするとジャーマンカモミールより苦みがあります。
ジャーマンカモミール
一年草のハーブ。コシカギク属(シカギク属)。
花には芳香があり、林檎のような香りがします。
ジャーマンカモミールの花は、苦みがなく、ハーブティーに向いています。
ノンフラワーカモミール
ローマンカモミールの園芸品種。花が咲かないカモミールです。
芳香があり、グラウンドカバーに最適です。
ダイヤーズカモミール
ローマンカモミールの園芸品種。
通常のカモミールは白い花弁ですが、こちらは黄色の花を咲かせます。
ハーブとしての利用よりも、観賞用に用いられます。
カモミールの栽培・育て方
カモミールは、地植えにするとこぼれ種でどんどん増えていく、初心者でも育てやすいハーブです。
お庭のグラウンドカバーやコンパニオンプランツとしても優秀です。
鉢植えでも地植えでも栽培が可能です。
カモミールの育て方情報
分類・形態 | 多年草/ハーブ/一年草 |
---|---|
草丈・樹高 | 20cm~60cm |
開花の時期 | 5月~6月 |
花色 | 白、黄色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
特性・用途 | 香りがある、グラウンドカバーにできる、常緑性 |
栽培難易度 | 普通 |
栽培スケジュール
植え付け | 3月~4月、9月~10月 |
---|---|
植え替え | 3月~4月、9月~10月 |
肥料 | 3月、11月 |
開花 | 5月~6月 |
収穫 | 5月~6月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日当たりがよく、水はけのよい場所に植えましょう。耐暑性はありますが、日本の夏の暑さには対応できないので、鉢植えであれば、明るい日陰に移動することをおすすめします。
水やり
年間を通して、乾燥気味に育てます。
ただ、乾燥しすぎると、とう立ちしたり花が育たなかったりするので、特に暑い夏は、水やりを行ってください。
鉢植えの場合は、葉が乾燥するとハダニが発生しやすいため、夏場は葉水を行ってください。
用土
水はけが良く、肥沃な土が適しています。
市販の野菜用培養土や、赤玉土や腐葉土などを混ぜた土を使用します。
肥料
植え付け時に、緩効性肥料を混ぜ込んでおきましょう。
そのあとは、花の収穫時などにお礼肥えとして、液体肥料などを追肥します。”
カモミールを育てるときのポイント
選び方
カモミールの苗を選ぶときは、葉の数が多く、葉がすべてきれいな緑色をしていること、茎がしっかりしているものを選びましょう。
植え付け・植え替え
植え付け、植え替えはともに3月~4月、9月~10月の暖かい時期に行います。
育った時に込み合わないように、株間を20~30cmほど取ることをおすすめします。
鉢植えの場合は、根詰まりを防ぐため、1年後には植え替えをしましょう。
剪定・切り戻し・収穫
花が咲いて、1週間もたたないうちに、収穫をします。
時間が経った花は、乾燥してあまり香りもしなくなってしまうので、早めに摘みましょう。
花だけを収穫しても、茎から切り取っても大丈夫です。
香りが良いのは主に花なので、花を乾燥させてお茶にすることができます。
その際、花弁も取り除き、黄色い芯の部分のみを乾燥させます。
カモミールティーを楽しむには、ドライにしたカモミールの花芯を、少しポットに入れ、お湯を注ぐだけ。
少し蒸してから、ティーカップに入れておいしくいただくことができます。ミルクを入れてミルクティーにしても素敵です。
ふやし方
種か、株分け(多年草のローマンカモミールのみ)でふやすことができます。
気を付けるべき病気・害虫
アブラムシ、ハダニがつくことがあります。
殺虫剤・殺菌剤
アブラムシを発見したら、ガムテープなどで貼りつけて取り除くことができます。
大量にいる場合は、春先にオルトランなどの薬剤をスプレーして駆除しましょう。
ハダニは水に弱いので、葉に水をかけると退治・予防できます。