ほのかに香る「チョコレートコスモス」の種類と育て方【品種の特徴・特性に注目】

チョコレートコスモスはチョコレートのような香りと深いボルドーの花色が特徴的な植物です。

よく知られるピンク色や白のコスモスは種から育てる一年草ですが、チョコレートコスモスは球根を持つ多年草です。
原種は栽培がやや難しいですが、改良によって育てやすい品種も登場しています。

ここではチョコレートコスモスの育て方や栽培のコツについてご紹介します。

チョコレートコスモスの基本情報

学名Cosmos atrosanguineus
英名Chocolate Cosmos
その他別名ベニコスモス・ブラックコスモス
科名キク科
属名コスモス属
原産地メキシコ

チョコレートコスモスの特徴

チョコレートコスモスは大きく分けると原種と原種にキバナコスモスを交配した種の2種類があります。
原種は高温多湿に弱くやや育てにくいですが、交配種は丈夫で育てやすいため初心者にもおすすめです。

野生の原種は絶滅したといわれており、園芸用のものが残っているのみです。

チョコレートに似ているといわれる甘い香りの正体はバニリンという物質で、バニラの香りの主成分と同じものです。
花の香りにこの成分が含まれるのは非常に珍しいことです。

品種ごとに特性に差があり育て方が違ってくるので、栽培する品種の特性をきちんと確認しましょう。

チョコレートコスモスの種類

コスモス・アトロサンギネウス

チョコレートコスモスの原種です。
高温多湿に弱く、日本での夏越しは困難です。

花は黒色に近く、香りが強いのが特徴です。
うどん粉病にかかりやすい傾向にあります。

ノエルルージュ

キバナコスモスとの交配品種で花色は赤、花の形がキバナコスモスとそっくりです。
夏の暑さに強く、うどん粉病にも耐性があり簡単に育てられます。

秋咲き品種です。

チョコモカ

小ぶりで花数の多い園芸品種で、春から秋まで咲きます。
チョコレートコスモスにしては耐暑性が強いですが西日は避けられる場所に置いた方が無難です。

ルージュルージュ

濃いピンク~ワインレッドの花を咲かせる園芸品種です。
春と秋に開花します。

チョコレートコスモスの栽培・育て方

原種は日当たりを好みますが高温多湿に弱く、日本では夏越しが難しいです。

初心者の場合は丈夫で育てやすい園芸品種がおすすめです。

園芸品種は原種よりは暑さに強く病気になりにくいですが、やはり真夏の直射日光には耐えられないので暑さ対策が必要になります。

鉢植えにして季節ごとに移動できるようにすると管理が楽です。

チョコレートコスモスの育て方情報

分類・形態草花・多年草
草丈・樹高30cm~70cm
開花の時期5月~11月(品種により異なる)
花色黒・茶・赤
耐寒性やや弱い
耐暑性やや弱い
特性・用途香りがある・開花期が長い
栽培難易度普通~やや難しい(品種による)

栽培スケジュール

植え付け5月~8月
植え替え2月~4月
剪定5月~11月
肥料5月~11月
開花5月~11月(品種により異なる)

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

日当たりを好みます。

日照が足りないと枝が徒長し、花つきが悪くなります。
高温に弱いので真夏は半日陰に移動するか、地植えの場合はネットなどで遮光します。

うどんこ病にかかりやすいので、風通しのよい場所がおすすめです。
冬は0℃以下になると枯れてしまうため、明るい室内に移動するか霜除けをしましょう。

水やり

乾燥に弱いのでこまめに水やりをします。

真夏は蒸れないよう、早朝や夕方に水やりしましょう。

10月下旬~2月ごろは休眠期なのでやや控えめにします。

寒い時期は夕方に水やりをすると凍ってしまうことがあるので午前中におこないましょう。

肥料

5月~11月に液肥か、緩効性の化成肥料を置き肥します。

用土

水はけのよい、肥沃な酸性土壌を好みます。

市販の草花培養土で育てられますが、赤玉土5:腐葉土3:ピートモス2の割合で配合した用土がおすすめです。
鉢植えの場合は水はけをよくするために鉢底石を敷きましょう。

チョコレートコスモスを育てるときのポイント

選び方

株がしっかりしていて葉の色が濃いものを選びましょう。

植え付け

5月~8月におこないます。

大きく育つため、鉢に植える場合は6号以上の大きな鉢を選びましょう。
日当たりのよい場所に植えましょう。

切り戻し・花がら摘み

葉が茂りすぎてきたら、30cmほどの丈まで切り戻します。

花芽は切らないように注意しましょう。
花が終わった花茎は根元から切り落としましょう。

そのままにしておくと、うどんこ病の原因になります。

植え替え

暖かくなる前におこないましょう。
根鉢を崩さないようにし、ひと回り大きい鉢に植え替えます。

ふやし方

チョコレートコスモスには種ができないので挿し芽や分球で増やします。

分球は切った部分から腐りやすいので、挿し芽がおすすめです。

5月~6月ごろ、茎の先端を2節ほど切り、清潔な挿し木用土に挿します。
根が出るまで水切れさせないようこまめに水やりしましょう。

分球は球根の芽が出ている位置が中心になるように切り分けて植え付けます。
ナイフや包丁は清潔なものを使用しましょう。

冬越し

霜が降りる地域では、冬は室内に取り込むかマルチングをおこない霜除けしましょう。

光の当たる時間に注意

チョコレートコスモスは短日植物といい、1日のあいだで光に当たっている時間が長いと花が付きにくい性質です。
室内で管理する場合や、外灯の下で育てる場合は夕方から朝まで光に当たらないように覆いをかけるなどの工夫をしましょう。

気を付けるべき病気・害虫

病気

病気はうどんこ病に注意が必要です。

うどんこのような白いカビが葉に繁殖する病気で、湿度が高く風通しが悪いとかかりやすくなります。
花がらや混みあいすぎた葉は処理しましょう。見つけたら早めに薬剤で処置します。

害虫

害虫はハダニ、アブラムシがつきやすいです。
どちらも風通しが悪いと発生しやすくなります。

殺虫剤・殺菌剤

うどんこ病にはアセフェート、フェンヘキサミド等を使用します。

ハダニやアブラムシには、アセタミプリド・フェンプロパトリン等を使用してください。