
シンビジウム(シンビジューム)はインドやミャンマー、ネパールなどアジアが原産の植物です。
元々は着生植物ですが、暑さ、寒さどちらにも比較的強いため日本の気候にもぴったりです。
冬のランと呼ばれて親しまれています。
ランの中ではとても丈夫で、冬場に淡い色の花を咲かせてくれます。花が少ない時期にお家を明るくしてくれますよ。
今回はそんなシンビジウムの育て方のコツをご紹介します。
株分けについてもご紹介しますので、放置してあるシンビジウムがあれば試してみてください!
シンビジウム(シンビジューム)の基本情報
学名 | Cymbidium spp. |
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英名 | Cymbidium orchid |
その他別名 | シンビジューム・シンビデューム・シンビディウム |
科名 | ラン科 |
属名 | シュンラン属 |
原産地 | インド・ネパール・ミャンマー・タイ・中国 |
シンビジウム(シンビジューム)の特徴
シンビジウム(シンビジューム)はバルブと呼ばれる球根やサトイモのような見た目の器官を根本に付けます。
そこに養分や水分を貯めておくのが特徴です。
中心から外側に向かって新芽がでてきて、古いバルブをバックバルブ、新しいバルブをリードバルブと呼びます。
新しいバルブの左右に新しい芽が出てくるので、育てて花をつけます。
また、根を鉢の中にびっしりと張ります。根がしっかり張っていないと花を咲かせません。
シンビジウム(シンビジューム)の種類
シンビジウム(シンビジューム)は品種改良が進み、大型、中型、小型とたくさんの種類があります。
シンビジウム・トラシヤナム
香りがある大型のシンビジウムで原種のひとつです。寒さに強く育てやすい品種です。
シンビジウム・恋の予感
大型で丸くころんとした形の白い花は、上品でかわいらしい雰囲気があります。
シンビジウム・デボニアナム
鉢から垂れ下がるように、花をつけます。1本の茎に20輪前後の小さな花をつけます。
この香りで日本ミツバチを呼び寄せる為にも使われます。
シンビジウム・ミルキークイーンプロムナード
大型の薄ピンク色の花をつけます。ボリュームがあり長く楽しめます。
シンビジウム・ピンクペチュエル
ボリューム、バランスともにシンビジウムの中でも最高品種です。
シンビジウム(シンビジューム)の栽培・育て方
シンビジウム(シンビジューム)を育てるポイントは、水やりと芽かき、そして肥料です。
花が咲かない場合は、寒すぎる場合や水が足りないことが考えられます。
また新芽がたくさん出てきて嬉しくなって放置しておくと、全てに養分がまわらずに花を咲かせることができません。
ちょっとかわいそうな気もしますが、思い切って芽かきをことで、養分を集中させることができますよ。
シンビジウム(シンビジューム)の育て方情報
分類・形態 | ラン科・多年草 |
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草丈・樹高 | 30cm~80cm |
開花の時期 | 12月から4月(3月・4月がピーク) |
花色 | 黄色・ピンク・白・オレンジ・黄緑 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 観賞用・常緑性・初心者でも育てやすい・香りがある |
栽培難易度 | かんたん |
栽培スケジュール
植え付け | 4月から5月 |
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植え替え | 4月から5月 |
剪定 | 9月(芽かき) |
肥料 | 4月から9月 |
開花 | 12月から4月 |
シンビジウム(シンビジューム)栽培に必要な準備・環境
それでは、シンビジウムの生育に最適な環境を見てみましょう!
日当たり・置き場所
シンビジウムは明るい日陰や半日陰を好みます。しかし真夏の直射日光は葉やけの原因となるため、避けましょう。
夏場は午前中だけ日があたるところや明るい日陰が良いでしょう。
高い気温が続く場合は、家の中の涼しい場所に置いてあげるのがおすすめです。
気温が10度くらいになったら、室内の日当たりのよいところに取り込みましょう。
水やり
シンビジウムは水を好む植物です。春から夏は、2日に1回か毎日、水をたっぷりとあげます。
置き場所にもよりますが、夏に乾燥する場合は、朝と夕方の2回あげましょう。
また2週間に1回程度、バケツに水を張り、鉢をバケツの中に入れて30分程度放置しておきましょう。
そうすると、普段水がまわらない根にもしっかりと水が行き渡ります。
秋から冬は週に1、2回水やりをしてください。冬が終わり、新芽が出始めたら2~3日に1回水やりをしましょう。
肥料
元肥として春に植え替えをする際に緩効性肥料を与えます。
春から夏にかけては、2週間に一度、洋ラン用の液肥を与えましょう。
花をつけるために、リン酸が多めの肥料がおすすめです。冬は肥料を与える必要はありません。
用土
洋ラン用の培養土を使いましょう。軽石やバークなどがメインで、土っぽさがあまりないものが水はけがよくおススメです。
温度
15度~25度位がシンビジウムの生育に適した温度です。真夏に暑すぎる場合や、冬場10度以下になる場合は家の中に入れましょう。
10度以上あれば冬を越すこともできます。
シンビジウム(シンビジューム)を育てるときのポイント
次に、シンビジウムを育てる際のポイントをご紹介します。
選び方
葉がしっかりと立っていて、花が7割から8割程度咲いているものが良いでしょう。
たくさん蕾や芽があるものを買っても、咲かない事も考えられます。
しっかりと花がたくさん咲いているものの方が長く楽しめます。
植え替え
植え替えに適した時期は、3月から4月です。2年に1回植え替えをします。
古い鉢から出して、傷んでいる根があれば切り落としてください。ひとまわり大きい鉢に植え替えをしましょう。
これ以上大きくしたくない場合は、株分けをして小さめの鉢にすることもできます。
芽かき
シンビジウムは花が終わったら、根本から切ります。そうすると、春にたくさん芽が出てきます。
しかし芽がたくさんつくと、養分がうまくまわらず花がつきません。
ひとつのバルブに対してひとつだけ芽を残して、小さな芽は取ってしまいましょう。取りたい芽を左右に横に倒すと、芽が取れます。
この時に花をつける花芽を取らないようにしてください。花芽は若干ぷっくりとしていてやわらかいです。先がとがって硬いのが葉芽です。
増やし方(株分け)
シンビジウム(シンビジューム)は2年~3年すると、まわりの葉が全て枯れてしまいます。
鉢の中心はバルブだけになってしまい見た目もよくありません。
株分けをして、新しい鉢に植え替えをすると、見た目もよくなり養分もまわりやすくなります。
桜が満開の時期から5月いっぱいまでが植え替え、株分けに適した時期です。
株分けの手順
- 鉢に根が張っていて取り出しにくいので、古い鉢をハンマーや棒で叩くと鉢から抜けます。
- 鉢から出したら、下1/3くらいの根を清潔なナイフやハサミで切ってしまいます。
根をほぐしながら古い土を落とします。 - バックバルブが3つくらい付いた状態で株分けをします。
バルブ同士が離れてしまったものは寄せ植えできません。
大体、ひとつの鉢から出した株を真ん中から2つに切るようにするとよいでしょう。
古いバックバルブは取らないで下さい。
古いバルブからも養分を送っています。 - 根を洗って害虫や弱った根を落とします。
- 分けた株がすっぽり入るくらいの小さめの長鉢を用意します。
鉢の底に、2cm位洋ラン用の培養土を入れます。
シンビジウム、洋ラン用の土は軽石ベースで水はけが良いので底石をしかなくても大丈夫です。 - 元肥をぱらぱら入れて、株を立てます。
古いバルブと新しいバルブがあるので、古いバルブを鉢にくっつけるようにします。
新しい方にスペースをあけて鉢に入れてください。
周りに土を入れたら、割りばしなどでさして根の間に土を入れ込みましょう。
気を付けるべき病気・害虫
ハダニ、カイガラムシ、アブラムシ、ナメクジがつくことがあります。
日ごろから葉の裏に葉水をして、害虫がつかないようにしましょう。
殺虫剤・殺菌剤
ハダニ、カイガラムシ、アブラムシは早期であれば牛乳スプレーで対処します。数が多い場合は、歯ブラシを使って落としてください。
落とした虫は、他の植物に移らないようにティッシュで包んで捨てましょう。ナメクジは、市販の殺虫剤ナメトールなどを使って駆除しましょう。