
竹のような見た目の少し太い茎に、艶やかな花を咲かせるラン科の植物であるデンドロビウム。
世界四大洋ランに数えられているデンドロビウムは花の色が豊富で、見た目も豪華なので贈答用としても人気の植物です。
日本では主に、年明けから春先にかけて園芸店などで見かけることが多いデンドロビウムは、冬のお部屋を彩る美しい花といえるでしょう。
ラン科のデンドロビウムはひとつの花の開花時期も長いのも魅力です。
デンドロビウムの基本情報
学名 | Dendrobium |
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英名 | Dendrobium |
その他別名 | デンドロビューム |
科名 | ラン科 |
属名 | デンドロビウム属(セッコク属) |
原産地 | アジア・オーストラリア・ニュージーランド・インド |
デンドロビウムの特徴
デンドロビウムは原産地の亜熱帯地方では、大きな樹木に絡みつくようにして自生していることが多い植物です。
竹のように節のある茎を毎年伸ばして花をつけるデンドロビウム。年明けから春先にかけて、花の付いた状態で園芸店で販売されていることが多いデンドロビウムですが、実際の開花時期は少し遅い3月から5月です。
デンドロビウムの花言葉
デンドロビウムはとても華やかで見栄えもすることから、花言葉も美しい女性を模したものが多く選ばれています。
「わがままな美人」や「天性の華をもつ」など、傲慢なまでに美しい女性の象徴ともいえる言葉でしょう。
「華やかな魅力」や「思いやり」などポジティブな花言葉もついているので、贈り物にもピッタリなデンドロビウム。
同じデンドロビウム属に分類されるデンファレという品種には、「誘惑」や「お似合いのふたり」など恋人をイメージさせるような花言葉も選ばれています。
デンドロビウムの種類
亜熱帯のアジア地方に自生するデンドロビウムのは1500種類以上の品種があります。
その中でもノビル系とデンファレ系の系統が日本の園芸店では販売されていて、品種改良もさかんに行われています。
デンドロビウムの属であるセッコク属に分類されるランのうち、東洋のものをセッコク、洋ランをデンドロビウムと呼んでいます。
デンドロビウムにはたくさんの品種があり、主に系統名で区分されています。
ノビル系
日本の園芸店で多く販売されている品種で、デンドロビウム・ノビルというインドやヒマラヤに自生する原種やそこから品種改良された品種の総称です。
太いバルブと呼ばれる茎に艶やかな花をつけ、耐寒性も比較的あるので育てやすい品種です。
デンファレ系
デンファレ、という名前で販売されていることもあります。
デンドロビウム・ファレノシプスという種類の交配種で、頭文字をとってデンファレと呼ばれています。
節に花をつけるノビル系と異なり、伸びた茎の先にいくつかの花をつけるのが特徴です。
キンギアナム系
オーストラリア原産のデンドロビウム・キンギアナムを原種とした交配種です。
太い根元から先端に向かうにつれて細くなる茎に、たくさんの小輪の花を咲かせます。
日光を好み、香りが強いのが特徴です。
カリスタ系
花が無数についた房を垂れ下がるように咲かせる、とても見栄えのする品種です。
セッコク
日本に自生するデンドロビウムの品種です。
デンドロビウムとは大きく姿が異なり、細く小さな花を咲かせることが多いセッコクは日本の西南部で見ることが出来ます。
長生蘭とも呼ばれ、様々な品種が生み出されています。
デンドロビウムの栽培・育て方
亜熱帯地方が原産のデンドロビウムは、原産地の気候のように空気中の湿度が高い状態を好みます。
しかし植え込み材の過湿には弱いので注意しましょう。
ラン科の中では耐寒性があるほうですが、日本の屋外では越冬できないので部屋の環境を整えて管理するのがポイントです。
1年の中で、置き場所を変えることが丈夫に育てるコツといえるでしょう。
デンドロビウムの育て方情報
分類・形態 | 多年草・観葉植物・ラン |
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草丈・樹高 | 20cm~60cm |
開花の時期 | 3月~5月 |
花色 | ピンク・白・緑・オレンジ・赤・紫 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 落葉性・観賞用・贈答用・開花期が長い |
栽培難易度 | やさしい |
栽培スケジュール
植え付け | 4月~5月 |
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植え替え | 6月~7月 |
肥料 | 5月~7月 |
開花 | 3月~5月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日当たりと風通しの良い場所で管理しましょう。
春から秋にかけては屋外の軒下などの日当たりの良い場所で、冬場は室内の日光が当たる窓辺などに置いて育てます。
直射日光には弱いので、特に夏場は適度に遮光して葉焼けを防ぎましょう。
水やり
過湿を嫌うので、用土の表面やバーク材が乾燥したら水を与えるようにしましょう。
10月から春先までは特に乾燥気味に管理しますが、冬場も植え込み材をチェックして乾燥しすぎないように注意しましょう。
肥料
5月~7月にかけては、月1回の目安で油粕などのすぐに効果の出る有機肥料を与え、追加で週1回の目安で液体肥料も与えます。
それ以外の時期は肥料を与えないように注意しましょう。
用土
水はけのよい土を好むので、市販のラン専用の土かバーク材を使用しましょう。
陶器鉢に植え付ける場合はミズゴケなどを使います。
デンドロビウムを育てるときのポイント
選び方
茎の根元がしっかりしているもの、葉が黄色くなっていないものを選びましょう。
植え付け・植え替え
植え付ける場合は、根の形を崩さないように気を付けながら植え付けましょう。
陶器鉢にはミズゴケを、洋ラン用の背の高いプラスチック鉢にはバーク材などを使用します。
生育をよくするために数年に一度、夏場にひとまわり大きめの鉢に植え替えましょう。
花がら摘み・支柱立て
花が終わってしぼんできたら忘れずに摘み取りましょう。
草丈の高くなる品種のものは、倒れるのを防ぐために支柱を立てて管理します。
ふやし方
株が大きくなれば株分けでふやすことが可能です。
バルブと呼ばれる太い茎をざっくりと分けて、別々に植え付けます。
また、バルブの上部に芽が出てそこから小さなバルブに成長することもあります。
それを摘んで、ミズゴケに植え付けることで新しくふやすこともできます。
気を付けるべき病気・害虫
病気
灰色かび病は過湿で発生しやすいので、風通しをよくして予防しましょう。
害虫
ナメクジは見つけ次第、退治しましょう。
アブラムシ、ハダニ、カイガラムシは薬剤で対処します。
殺虫剤・殺菌剤
殺菌剤にはカリグリーンなどを使います。
害虫にはアーリーセーフかベニカ系のスプレー剤を使用します。