マンドレイクとは?実在する?
根っこが人のような形をしていて、地面から引き抜くと恐ろしい悲鳴をあげるといわれるマンドレイク。
よく映画などで見かけるので、架空の世界の植物のように思ってしまいますが、本当に実在する植物です。フィクションの中の植物ではありません。
マンドレイクはナス目ナス科マンドラゴラ属で、欧州と中国で自生しています。
魔術や錬金術の材料としても使用されているため、フィクションのイメージがついてしまったのかもしれませんね。
マンドレイクの基本情報
学名 | Mandragora |
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英名 | European Mandrake |
その他別名 | マンドラゴラ・恋茄子 |
科名 | ナス科 |
属名 | マンドラゴラ属 |
原産地 | 地中海沿岸地方から中国西部 |
マンドレイクの特徴
フィクション作品と現実のマンドレイクの違い
映画などで描かれるマンドレイクは、葉をひっぱって抜くと地中の根が顔や手足のある人間のような姿をしています。
「ハリーポッター」の映画でも登場していて、マンドレイクの泣き声を聞くと命に関わることもあるといわれていました。学校の先生がマンドレイクの苗を引き抜くとマンドレイクが大声で泣き出し、泣き声で気絶してしまう生徒もいて、とても危険な植物のように描かれています。
しかし、実物のマンドレイクはそこまで人間のような見た目をしているわけではありません。
時おりニュースやSNSで見かける「おもしろ大根」のように、根が途中から分かれたりねじれたりしたユニークな形をしています。
それが「おもしろい」でなく不気味な怪物にたとえられてしまうのは、マンドレイクの特徴によるものでしょう。
マンドレイクは強い毒性を持ち、古くはまじないや錬金術に使われたとされます。
薬として使われていた時期もありましたが、毒性が強すぎ危険なので現在では薬用にはされていません。
人間のような形、錬金術、毒性とさまざまな要素が合わさってファンタジーに登場するマンドレイクのイメージができあがったとされます。
マンドレイクを引き抜くと悲鳴をあげるって本当?!
実在のマンドレイクは、引き抜いても悲鳴を上げることはないので嘘です。
マンドレイクは、細かい根がたくさんあるので引き抜きにくいそうです。
それを無理やり引っ張ると根がぶちぶちと切れる音がよく聞こえるそうで、その音が悲鳴のように感じられたのでしょう。
マンドレイクの花や実
おそろしいイメージとは裏腹に、紫色のキュートな花を咲かせます。
ナス科の植物だけあってナスの花に似ています。
実も黄色がかったミニトマトのようでかわいらしいですが、毒があり食べられません。
マンドレイクの花言葉
「恐怖」「幻惑」
マンドレイクの毒性
マンドレイクの毒性には幻覚作用があり、花言葉の「恐怖」「幻惑」はこの特性からきているものと思われます。
また別名の「恋茄子」はかつてマンドレイクが媚薬や精力剤として用いられていたことが由来です。
さまざまな用途で利用されていたマンドレイクですが、すべて中世以前の話です。
現在は危険な毒物として認識されているので、くれぐれも口にしてはいけません。
マンドレイクの種類
マンドレイクには春咲き種と秋咲き種があります。
マンドレイク・オフィシナルム
春咲きの品種です。
マンドレイク・オータムナリス
秋咲きの品種です。
オフィシナルムよりも花色が濃いため、ブラック・マンドレイクとも呼ばれています。
マンドラゴラ・トルコマニカ
トルコ周辺が原産の種です。
原種は絶滅したといわれます。
マンドラゴラ・カレッセンス
チベット~中国原産です。
日本ではほとんど流通することの無いめずらしい品種です。
マンドレイクの栽培・育て方
強い毒性があるため、取り扱いには注意が必要です。
ペットや子供が誤って口にすることの無いように管理しましょう。
水を好むので、水やりはたっぷりとおこないます。
暑さ、寒さともにそれほど強くないので季節ごとの対策が必要です。
マンドレイクの育て方情報
分類・形態 | 草花・薬草・多年草 |
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草丈・樹高 | 10cm~15cm |
開花の時期 | 春または秋 |
花色 | 紫・白 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 毒性がある・観賞用 |
栽培難易度 | 普通 |
栽培スケジュール
植え付け | 5月~6月 |
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肥料 | 10月~6月 |
開花 | 春または秋 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日当たりがよく、水はけのよい場所を好みます。
高温多湿には弱いので、夏は遮光するか鉢で育て移動できるようにするとよいでしょう。
水やり
水切れに注意し、土を乾かさないようにします。
表土が乾き始めたらたっぷり水やりしましょう。
夏場は休眠期なのでやや控えめにします。
肥料
植え付け時に緩効性の化成肥料を混ぜ込みます。
秋から春にかけて、固形肥料を置き肥します。
肥料やけをふせぐため株から少し離れた位置に置きましょう。
用土
土質は特に選びませんが水はけのよい土を好むので、腐葉土や赤玉土を混ぜるのがおすすめです。
温度
0℃以下になると枯れてしまうことがあるため、冬は可能であれば室内管理しましょう。
真夏も直射日光を避けられるよう管理しましょう。
マンドレイクを育てるときのポイント
流通量は少ないですが、まれに苗や種がインターネット通販などで販売されています。
強い毒性があるので、取り扱いには注意が必要です。
種まき
春か秋に蒔きます。
種は休眠していて、発芽させるには低温にさらす必要があります。
種を水につけたあと、2週間ほど冷蔵庫においてから蒔きましょう。
花壇や鉢に直蒔きで大丈夫です。
1cm程度覆土し、発芽まで乾かさないよう水やりします。
発芽まで2週間~2か月、開花までにはだいたい2年かかります。
植え付け
5月~6月が適期です。
水はけのよい土に植え付けましょう。
夏越し
直射日光を避けて管理します。
落葉することもありますが、根は生きているので水を切らさないようにしましょう。
冬越し
霜に当たったり凍結したりすると枯れてしまいます。
冬季は室内か霜の当たらない軒下で管理しましょう。
気を付けるべき病気・害虫
ヨトウムシ、コナジラミなどが発生することがあります。
ヨトウムシは食欲旺盛で放っておくと食べつくされてしまうので、早めの対処が必要です。
殺虫剤・殺菌剤
アセフェート等が有効です。