夏の夜にひっそりと花を咲かせる月見草【特徴や育て方】

月見草は夏の夜に淡い桃色の花を咲かせる植物です。
同じように、夜に黄色い花を開花する待宵草と混同されがちな月見草。

黄色い花の待宵草を月見草だと記載している図鑑もあります。
月見草と待宵草は同じマツヨイグサ属で、日本に渡来した時期も近い親戚のような植物です。

待宵草のほうが繁殖力が強く、道端や田んぼなどでよく見かけることができます。
そのため多くの人に周知されるようになり、花の色も待宵草の黄色が月を連想されがちだったため間違われるようになったと思われます

同じ属ですが、花の色が異なるので簡単に見分けることができます。

月見草の基本情報

学名Oenothhera tetraptera
英名Evening primrose
その他別名白花夜咲月見草(シロバナヨルザキツキミソウ)
科名アカバナ科
属名マツヨイグサ属
原産地 メキシコ、アメリカ

月見草の特徴

夏の夜に一晩だけ花を咲かせる特徴をもつ月見草。
このおもしろい特徴のほかに、花びらの色が変化するという特性ももっています。

最初は白く、明け方になるにつれて桃色に変化していく月見草の花びらは夏の夜の風物詩でもあります。
花の色が変化するのは、夜が深まるにつれてアントシアニンという物質が増えていくからです。

花びらは薄く4枚で、葉脈が透け出て見えるほど繊細です。
夜に花を咲かせるのは、競合力が強い昼間に比べて虫の助けを得やすかったからだと思われています。

月見草は待宵草に比べて繁殖力が弱かったため、野生ではあまり見かけないようになっていきてしまいました。
月見草の名前の由来は、夜になって月を待つかのように花を咲かせる特徴からつけられました。
同じように、待宵草も宵を待ってから花を咲かせる特徴があったのが名前の由来です。

花言葉である「移り気」は、月見草の花の色が白から桃色に変化する特徴から連想されました。
「ほのかな恋」も薄い桃色の花びらからつけられた花言葉です。「無言の愛情」は夜にひっそり花を咲かせる健気さからつけられました。

月見草の種類

月見草が分類されているマツヨイグサ属には、混同されがちな待宵草のほかにいくつかの品種があります。

コマツヨイグサ(小待宵草)

マツヨイグサよりひとまわり小さい花を咲かせる品種で、黄色い花が枯れると赤くなる特徴があります。

オオマツヨイグサ(大待宵草)

マツヨイグサよりもひとまわり大きい花を咲かせる品種で、花が枯れても赤くなりません。

ユウゲショウ(夕化粧)

マツヨイグサ属の品種のひとつで、赤い花を咲かせる特徴があります。

ヒルザキツキミソウ(昼咲き月見草)

夕方花を開き、明け方にしぼませる月見草と異なり昼間も花を咲かせ続ける品種です。花の見た目は月見草とそっくりです。

月見草の栽培・育て方

月見草は初心者でも育てやすく、多年草に分類されるので自然に種から増えていく植物です。

月見草の栽培のポイントは、水はけをよくすることと水やりや肥料を控えめにすることです。
待宵草と違い、害虫がつきやすいので春から秋にかけてはじっくり観察してあげましょう。

月見草の育て方情報

分類・形態草花・多年草
草丈・樹高15cm~60cm
開花の時期6月~9月
花色白、ピンク
耐寒性普通
耐暑性普通
特性・用途庭植え、鉢植え、夜咲き
栽培難易度普通

栽培スケジュール

植え付け4月~5月
植え替え3月、9月
肥料4月~5月
開花6月~9月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・水はけ

日当たりと水はけの良い場所を好みます。庭植えにする場合は、腐葉土を混ぜ込んだり盛り土をしたりして水はけをよくしておきましょう。

水やり

鉢植えの場合は土の表面が乾いたら水やりをしましょう。庭植えの場合は、特に水やりをする必要はありませんが夏の乾燥する時期に雨が長く降らなかった場合のみ与えましょう。

肥料

春から夏の生育期に緩効性の化成肥料を与えましょう。肥料は控えめに与えたほうが花の付きが良くなります。

用土

市販の草花用培養土が適しています。用土を配合する場合は赤玉土と腐葉土を6:4の割合で混ぜて作ります。

月見草を育てるときのポイント

種まき

秋に収穫した種を2月から3月にまきます。
月見草は種をまいてから2年で花を咲かせることを覚えておきましょう。

種を水につけて、吸水させてからまくと発芽率が良くなります。

植え付け・植え替え

水はけの良い場所に植え付けましょう。
月見草は頻繁な植え替えを嫌うので、庭植えの場合は移植しないことをおすすめします。

植木鉢の場合は、数年に一度春か秋に苗が大きくなりすぎたらひとまわり大きい鉢に植え替えます。
根鉢を崩さないように注意して植え替えしましょう。

切り戻し

月見草の花は一晩で咲いてしぼんでしまうので、茎に付いているつぼみがすべて咲いてしまったら、花数を増やすために短く切り戻ししておきましょう。

ふやし方

種で増やすことができます。秋に種を収穫して、冷暗所や冷蔵庫で保存しておき翌春に種まきをしましょう。

種をまいてから2年後に花が咲きます。
月見草は株分けでも増やすことが出来ますが、根が繊細で移植を嫌うのである程度群生するようになってから株分けしましょう。

春か秋に株分けをして、苗が不安定なうちは直射日光に当てないように注意します。

気を付けるべき病気・害虫

アブラムシ、アカバナトビハムシ

アカバナトビハムシは葉に吸着して、弱らせてしまうので見つけ次第、薬剤を散布しましょう。

殺虫剤・殺菌剤

害虫にはスミチオン乳剤かベニカ系のスプレー剤、オルトラン粒剤などを散布します。