ミヤコワスレは日本原産のミヤマヨメナ(深山嫁菜)という野菊の園芸品種です。
野菊には珍しく春咲きで、淡い青色の花を咲かせます。
「都忘れ」という名前は百人一首の歌人としても知られる順徳天皇にまつわる伝承が由来になっています。
花もちがよく花期が長いため寄せ植えにも最適です。
耐陰性があるのでシェードガーデンに向いています。
ミヤコワスレの基本情報
学名 | Miyamayomena |
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英名 | Gymnaster |
その他別名 | 野春菊・東菊 |
科名 | キク科 |
属名 | シオン属(ミヤマヨメナ属) |
原産地 | 本州・四国・九州(原種) |
ミヤコワスレの特徴
ミヤコワスレの名は、承久の乱に敗れ佐渡に流された順徳天皇が「白菊を都忘れと名づくるも憂し」と詠んだことが由来とされています。
白菊とはミヤコワスレの原種のミヤマヨメナのことで、かつて父帝が好んだ白菊を流刑地で愛でる自分の身を嘆いた歌です。
花言葉も伝承にちなんで「しばしの慰め」「別れ」といった切ないものになっています。
江戸時代ごろからさかんに品種改良がおこなわれており、現在では原種の淡い青色以外にも濃い青や白、ピンクの花色が存在します。
素朴な美しさがあるため古くから茶花としても好まれています。
別名で東菊(アズマギク)と呼ばれることもありますが、本来のアズマギクはヨモギ属で別種です。
ミヤコワスレの種類
ミヤマヨメナ
日本の本州・四国・九州に自生するミヤコワスレの原種です。
花は淡い青紫で、山地の木陰でよく見られます。
みのる紫
草丈がやや高く(30cm~40cm)、花も大きめで濃い紫色が特徴です。
切り花としても用いられます。
浜乙女
やや大きな花が付くピンク色の品種です。
みのる乙女
濃いピンク色で、花弁が短く丸に近い形をしています。
矮性で鉢植えや寄せ植え向きです。
瀬戸の白雪
大輪の白い花を咲かせます。
瀬戸の小波
薄い青紫色の花が付く大輪の品種です。
江戸紫
濃い紫の花を咲かせる矮性品種です。
鉢植え用に人気です。
ミヤコワスレの栽培・育て方
ミヤコワスレを育てるうえでもっとも気を遣うのはのは栽培環境です。
日当たりを好む一方で強すぎる日差しはだめだったり、水はけのよい土を好む一方で水切れに弱かったりと加減が難しいところがあります。
ただ、一度適応してしまえばとても丈夫で手間がかかりません。
どこに植えるか悩む場合は複数個所に植え、相性のよさそうなところで育てるのもひとつの方法です。
ミヤコワスレの育て方情報
分類・形態 | 多年草・草花 |
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草丈・樹高 | 20cm~30cm |
開花の時期 | 4月~6月 |
花色 | 白・青・青紫・ピンク |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや弱い |
特性・用途 | 落葉性・日陰に強い・地下茎で増える |
栽培難易度 | ふつう |
栽培スケジュール
植え付け | 4月~6月・9月~10月 |
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植え替え | 4月~6月・9月~10月 |
肥料 | 3月~6月 |
開花 | 4月~6月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
日当たりと水はけのよい場所を好みます。
ただし強い日差しには弱いので明るい日陰に植えるか、夏場はシェードなどで直射日光を遮ります。
暑さにやや弱いので風通しの良い場所を選びましょう。
庭木の根締めにも向いています。
水やり
鉢植えは土の表面が乾いたらたっぷり水やりをします。
地植えは乾燥が続く場合のみ水やりしましょう。
過湿に弱い反面水切れにも弱いので、コツをつかむまでは水やりに注意が必要です。
肥料
元肥として緩効性の肥料を土に混ぜておきましょう。
地植えの場合は水はけの改善も兼ねて腐葉土をすきこんでおくのも有効です。
開花期の前後にも緩効性の肥料を根元に撒くようにしましょう。
用土
水はけのよい土が向いています。
赤玉土や腐葉土主体の土に植えましょう。
地植えの場合は腐葉土をすきこんだり、盛り土をした上に植えたりなどしましょう。
温度
5℃~15℃が生育温度です。
低温は-10℃ほどまで耐えられますが、凍結で株が弱ると翌年の勢いが弱くなることがあります。
寒冷地では霜よけなどの対策をしましょう。
ミヤコワスレを育てるときのポイント
選び方
ミヤコワスレは種ができづらく流通数が少ないため、苗から育てるのが一般的です。
葉の色が濃く、しっかりしているものがおすすめです。花芽の多いものを選びましょう。
植え付け・植え替え
4月~6月と9月~10月が適期です。
暑さに弱く、根が張りきらないうちに暑い時期を迎えると弱りやすいため、管理に慣れないうちは秋の植え付けにした方が無難です。
根の成長が旺盛なので鉢植えは毎年植え替えると元気に育ちます。
地植えの場合は植えっぱなしでも問題ありませんが、だいたい5年に一度植え替えたほうがよく育ちます。
花がら摘み
花がらは病気の原因になることがあるのでこまめに摘み取りましょう。
ふやし方
挿し芽か株分けでふやせますが、株分けが簡単です。
植え替えのタイミングで株を分け、それぞれ植え付けましょう。
寄せ植えのアレンジ
寄せ植えには矮性種が向いています。
野趣のある花なのでグリーンを多めにしナチュラルな雰囲気に植え付けましょう。
相性の良い花はマーガレット、オダマキなどです。
気を付けるべき病気・害虫
若葉やつぼみにアブラムシがつきます。
薬剤で防除しましょう。
殺虫剤・殺菌剤
クロチアニジン、フェンプロパトリン等が有効です。