
冬から春にかけて色鮮やかで小さな花をたくさん咲かせるカランコエ。
手間がかからず、初心者にも育てやすいことで人気です。
冬の彩りの少ない時期にカラフルな花をつけるので、玄関先やお部屋が寂しいと感じたときにはぴったりの花です。
そんなカランコエについて、育て方のコツをご紹介します。
カランコエの基本情報
学名 | Kalanchoe |
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英名 | Kalanchoe |
その他別名 | リュウキュウベンケイ・ベニベンケイ |
科名 | ベンケイソウ科 |
属名 | リュウキュウベンケイ属(カランコエ属) |
原産地 | 南アフリカ・東アフリカ・アラビア半島・東アジア・東南アジア |
カランコエの特徴
カランコエは多肉質の多年草で、花茎の先に直径1cmほどの小さな花をたくさん付けます。
花の形状は一重咲き、八重咲き、釣鐘型などバリエーション豊富です。
一重咲きは均等に並ぶ4枚の花弁が星のようでかわいらしく、八重咲きはミニチュアのバラのようで優美な雰囲気です。
花言葉の「たくさんの小さな思い出」は小さな花が集まって咲くその姿からつけられました。
花色も豊富で明るい色が多く、色違いの寄せ植えにしても素敵です。
熱帯が原産のため乾燥に強く、こまめな水やりは必要ありません。
開花期が長く、約半年ものあいだ花が楽しめるのもうれしい特徴です。
カランコエの種類
カランコエは種類が多く、原種だけでも約100種、園芸品種では200種を超えるといわれます。
一般的に「カランコエ」と呼ばれ花を楽しむベニベンケイのほかにも、葉に美しい被毛をもつ品種や斑入りの品種などなどさまざまな種類があります。代表的な品種をご紹介します。
カランコエ・ブロスフェルディアナ
一般的に「カランコエ」「ベニベンケイ」と呼ばれるのはこの種です。
数本の花茎の先に花弁が4枚の小さな花をたくさん咲かせます。
カランコエ・パリ
別名「カランコエ・クイーンローズ」ともいいます。
八重咲きの品種で、バラのような高級感のある花を咲かせます。
カランコエ・テッサ
釣鐘のような形の花を咲かせる品種です。
一般的なカランコエよりも葉が小さく、茎がつるのように長く成長するためハンギングで栽培されることが多いです。
花色は赤、オレンジ、黄色などです。
カランコエ・プミラ
「白銀の舞」という名前でも流通しています。
葉が細かい被毛に覆われたシルバーリーフです。
薄いピンク色の花を咲かせる、幻想的な外見の品種です。
カランコエ・デザートローズ
「唐印(とういん)」とも呼ばれます。
バラのように重なる葉を楽しむ品種です。
秋以降は葉先から紅葉し赤く染まります。"
カランコエの栽培・育て方
カランコエは過湿に弱く、水をやりすぎると根腐れを起こします。
また、風通しが悪いと病気や害虫の原因となります。
風通しがよく、日当たりのよい場所で育てるようにしましょう。
寒さにも弱いので冬季は日当たりのよい室内で管理するようにします。
育てて2年目以降に花がなかなかつかない場合は、光にあたる時間が長すぎているのかもしれません。
カランコエは短日植物のため、日にあたる時間が短くなると花をつける性質があります。
カランコエの育て方情報
分類・形態 | 草花・多年草 |
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草丈・樹高 | 10~50cm |
開花の時期 | 1月~5月 |
花色 | 赤・白・ピンク・黄・オレンジ |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 鉢植え・常緑性・開花期が長い・初心者でも育てやすい |
栽培難易度 | やさしい |
栽培スケジュール
植え付け | 5月~6月・9月 |
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植え替え | 5月~6月・9月 |
剪定 | 5月~6月・9月 |
肥料 | 5月~9月・10月~12月 |
開花 | 1月~5月 |
栽培に必要な準備・環境
カランコエは乾燥した熱帯地方が原産なので多湿を避け、しっかり日にあたる環境が適しています。
日当たり・置き場所
日当たりのよい場所を好みます。
ただし真夏は葉焼けを起こすことがあるので直射日光を避けましょう。
多湿に弱いため、風通しの良い場所を選ぶことが大切です。
外置きの場合は雨の当たらない場所に置きましょう。
短日植物のため、日照時間が短くなると蕾を付け始めます。
室内置きの場合は照明などで長時間光が当たっていると花が咲きにくいので短日処理が必要になります。
短日処理の方法については育てるときのポイントで説明しています。
水やり
多湿に弱いため、こまめな水やりは必要ありません。
春と秋は土が乾いてきたらたっぷり水をあげましょう。
蒸れやすい夏と休眠期間の冬は土が乾いてから2~3日後に水やりをすれば十分です。
肥料
新芽が5月~9月ごろに出るので、その時期にあわせて緩効性の固形肥料を施肥します。
夏季は根腐れの原因になるので液体肥料は避けましょう。
10月~12月は液体肥料を与えます。
冬季は休眠期間のため施肥は必要ありません。
用土
水はけのよい用土を使用します。
赤玉土や川砂を配合して作ることもできますが、市販の多肉植物用の用土が手軽でおすすめです。
温度
暑さには強いですが寒さには弱く、気温が10℃を下回ると生育がにぶります。
気温が5℃を下回る場合にはかならず室内で管理するようにしましょう。
カランコエを育てるときのポイント
選び方
鉢植えの状態で販売されているのが一般的です。
株がしっかり締まっている、花芽の多いものを選びましょう。
剪定・切り戻し
葉が増えすぎると風通しが悪くなるので1年に1回程度切り戻しをしましょう。
花が終わった後の5~6月か、蕾がつき始める前の9月が適しています。
とくに9月の剪定で摘心をしておくと、脇芽が増え花がたくさんつきます。
花がらを残したままにしておくと灰色かび病の原因になるため、3割ほど枯れた花茎は根元から切り落としてしまいましょう。
すぐに次の花茎が伸びて花を付けます。
植え替え・鉢替え
1~2年に1回は植え替えをおこない、株の大きさにあった鉢に移してあげましょう。
植え替えは5月~6月の切り戻しと同時におこないます。
根鉢を崩し、古い根は太いものを残して半分ほど落としてしまいましょう。
植え替え後はたっぷり水をやり、その後1週間ほどは明るい日陰で乾燥気味に保ちます。
ふやし方
挿し芽で増やせます。
4月~6月、9月ごろが適しています。
短日処理
カランコエは日照時間が短くなると花を付ける性質があります。
室内で育てる場合、夜も照明が当たる環境だと花が付きにくくなります。
流通しているものはあらかじめ短日処理をして花をつけたものです。
2年目以降、花が付かない場合は家庭でこの短日処理を行う必要があります。
毎日12時間ほど決まった時間に暗い部屋に置くか、段ボールをかぶせるなどして光を遮るようにすると1ヵ月ほどで蕾が付き始めます。
気を付けるべき病気・害虫
枯れた葉や花がらをそのままにしておくと灰色かび病にかかることがあるので、早めに処理しましょう。
害虫はアブラムシやカイガラムシです。アブラムシは見つけしだい薬剤で駆除しましょう。
カイガラムシは風通しが悪いと発生しやすくなるので注意が必要です。
見つけたらブラシなどでこすって落としましょう。
殺虫剤・殺菌剤
アブラムシは吸汁するだけでなく排泄物がスス病の原因になります。
市販の農薬スプレーで早めに駆除しましょう。
エトフェンプロックスやアセタミプリドなどの成分が特に有効です。