鑑賞用としてだけでなく、その香りでも人気のラベンダー。
老若男女問わず好まれる豊かな香りと北海道中富良野町のラベンダー畑のように観光地の草花としても有名で、もっとも身近な植物の一つともいえるでしょう。
今回は、そんなラベンダーの種類から栽培などの育て方、病気や害虫を防ぐコツなどを紹介します。
ラベンダーの基本情報
学名 | Lavandula |
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英名 | Lavender |
その他別名 | なし |
科名 | シソ科 |
属名 | ラバンデュラ属 |
原産地 | 地中海沿岸 |
ラベンダーの特徴
ラベンダーは地中海沿岸に自生する常緑低木で、そのかわいらしい見た目と鮮やかな紫を中心とした花色から、富良野のラベンダー畑のように花壇や庭の植え込みから鉢植え、切り花や押し花などとしても人気です。
観賞用としてだけでなく、その豊かな香りから「ハーブの女王」とも言われ、虫よけや芳香剤、石鹸、アロマテラピーなどに利用されています。
ラベンダーの語源が「洗う」という意味のラテン語lavare(ラワーレ)から来ているのもそういった理由なのでしょう。
ラベンダーの種類
ラベンダーは交雑種ができやすく、ヨーロッパ各地で品種改良がおこなわれたことで非常に多くの品種がありますが、大きく分けると5つの系統に分類できます。
最もポピュラーなアングスティフォリア系
富良野のラベンダー畑などもっとも有名なラベンダーの品種がこの系統で、香りが強く寒さに強く暑さに弱いという特徴があります。
ヒドコート、おかむらさき、ロイヤルパープルといった品種が有名です。
暑さに強く育てやすいラバンディン系
比較的初心者には育てるのが難しいと言われていますが、その中でも比較的暑さに強いのがラバンディンラベンダーです。
グロッソという品種が知られています。
フレンチラベンダーとして有名なストエカス系
ウサギのような花穂が特徴で暑さに強いことから、観賞用として人気があります。
キュー・レッド、アボンビューという品種が有名です。
1年中香りと花が楽しめるデンタータ系
葉にギザギザの鋸歯(きょし)があるのが特徴です。
フリンジラベンダー、キレハラベンダーといった名称でも知られています。
レースラベンダーと呼ばれるプテロストエカス系
葉に細かい切れ込みが入ってレース状に見えることからレースラベンダーとして有名なのがプテロストエカス系のラベンダーです。
ラベンダー特有の香りはありませんが、花と葉の美しさから鑑賞用として人気です。
ラベンダーの栽培・育て方
初心者がラベンダーを育てる場合は、種からではなく苗もしくは株から始めるのがおすすめです。
もともと乾燥した荒れ地に自生する植物のため、日本の高温多湿に弱い品種を避けるようにしましょう。
ラベンダーの育て方情報
分類・形態 | 多年草 / ハーブ / 常緑低木 |
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草丈・樹高 | 20cm~100cm |
開花の時期 | 5月~7月 |
花色 | ピンク、白、紫 |
耐寒性 | 寒さにやや強い(品種によって異なる) |
耐暑性 | やや弱い(品種によって異なる) |
特性・用途 | 常緑性、ハーブティ、アロマオイル、せっけん、ポプリ、切り花等 |
栽培難易度 | 普通 ※品種によってやや難しい |
栽培スケジュール
植え付け | 3月~4月、10月 |
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植え替え | 3月~4月、10月 |
剪定 | 6月~7月 |
肥料 | 3月~4月、10月 |
開花 | 5月~7月 |
収穫 | 5月~7月 |
栽培に必要な準備・環境
ラベンダーを育てるときの環境のポイントは、日当たり、水やりは乾かし気味、用土は水はけと酸性にならないようにする等です。
日当たり・置き場所
ラベンダーは高温多湿に弱いため日当たりと風通しのよい場所で育てるようにしましょう。ただし真夏は直射日光の当たらない場所に移動させるのがおすすめです。
水やり
乾燥気味に育てるためあまり水やりは必要ありませんが、雨が降らない日が続いて用土が乾いているようであれば根元にやさしくあげるようにしましょう。
開花中は乾燥しすぎても湿りすぎてもいけないので注意が必要です。
用土
鉢植えでも地植えでも水はけと酸性にならないよう点が重要です。苦土石灰で中和した土に有機物をすき込んで肥料のやりすぎに注意しましょう。
ラベンダーを育てるときのポイント
ラベンダーの選び方
鉢植えや苗は1年中で回っていますが春ごろがおすすめです。葉や茎がしっかりしていて土の表面に苔やカビがないものを選びましょう。
植え付け・植え替え
品種によって異なりますが、発育はそれほど早くないため初夏までにしっかりと根を張り夏越できるように注意しましょう。
イングリッシュラベンダーやラバンディンは秋から植え付けするのがおすすめです。
剪定・切り戻し・収穫
収穫の場合は葉を数枚つけて花穂を、剪定の場合は、葉のついている茎が残るように草丈の3分の1か半分ぐらいを刈り取ります。
収穫をせず花穂を残す場合も長持ちをさせるために冬が来る前に刈り取りをしましょう。
ふやし方
ラベンダーは挿し木で増やせます。高温多湿の真夏を避けて、5月中旬もしくは、9月中旬以降がおすすめです。
病気・害虫
香りが強いラベンダーは比較的病気や害虫に強い植物です。
春にアブラムシやハダニがつくことがありますので早めに殺虫剤で駆除しましょう。
冬にはカイガラムシがまれにつくことがありますのでブラシ等で取り除きましょう。
殺虫剤・殺菌剤
脂肪酸グリセリド・フェンプロパトリン・ミクロブタニル等