ころころした見た目が愛らしいスズランの育て方【特徴と栽培管理】

純白の花色と鈴のようにかわいらしい姿が印象的なスズラン

日本の高原などでも群生していて、日本の各地で名所となっている場所もあります。

スズランはすっきりしたさわやかな香りがあり、香水などにも使われてきました。

少し酸味を感じさせるようなスズランの香りは三大花香として愛されています。

しかし、思わず触れてみたくなるような可憐な見た目とは裏腹に、スズランには毒があります。

植え付けや植え替えをするときには直接手で触れないように注意しましょう。

また、切り花として飾る場合は食物を扱うテーブルやキッチンなどは避け、洗面所などに飾って楽しみましょう。

すずらん・スズランの基本情報

学名Convallaria
英名Lily of the valley
その他別名君影草(キミカゲソウ)
科名キジカクシ科
属名スズラン属
原産地日本、中国、ヨーロッパ

スズランの特徴

ヨーロッパで多くの人に愛されるスズランには素敵な花言葉がつけられています。

「幸福の再来」という花言葉には、スズランが春の訪れとともに咲く代表的な草花だという意味が込められています。

ヨーロッパの人々にとって、長い冬を越えた先に咲くスズランが幸福の象徴に見えたのでしょう。

「純潔」という花言葉は、スズランの穢れない純白からイメージされました。

また、葉の陰に隠れてうつむくように咲くスズランの特徴から「謙虚」という花言葉が選ばれました。

スズランという名前は鈴のような花の見た目と、蘭のようにしっかりとした葉からつけまれました。

英名であるLily of the valleyには谷間の百合という意味があり、スズランが高原などの草地に生育していたことが由来となっています。

また、フランスなどでは5月1日がスズランを贈る記念日になっています。

500年ほど前、シャルル9世がスズランを贈られ感動したことを記念して制定したスズランの日は、大切な人に幸せのおすそ分けをする日としてヨーロッパの人々に大切にされてきました。

それにちなんで、5月1日の誕生花はスズランがあてられています。

スズランの種類

スズランには日本原産のものと、園芸品種として渡来したドイツスズランがあります。その他にも花色がピンクの珍しいものなどいくつかの品種があるので、ご紹介します。

ドイツスズラン

ヨーロッパ原産のドイツスズランは、日本原産のスズランに比べると花や葉が大きく、香りも強いのが特徴です。

園芸品種として流通しているスズランは、ほとんどがドイツスズランで花と葉が同じ高さでつくことと、ドイツスズランの花をのぞき込んだ中には赤い模様があることが二ホンスズランとの違いです。

耐寒性があり、初心者にも育てやすい品種です。

ピンクスズラン

その名の通り、薄いピンク色の花を咲かせるのが特徴です。

花や葉は園芸品種のドイツスズランと比べると、小さく控えめです。

君影草、二ホンスズラン

スズランの別名である君影草と呼ばれる日本原産の品種で、花が葉の陰に隠れて咲く特徴が名前の由来です。

暑さに弱いので園芸品種としてはあまり流通していません。

すずらん・スズランの栽培・育て方

スズランの栽培のポイントは、乾燥と高温に弱いので半日かげや落葉樹の下などで管理することです。

また、群生すると密集して徒長してしまうので、数年に一度は株分けをして植え替えるのがよいでしょう。

すずらん・スズランの育て方情報

分類・形態多年草/山野草
草丈・樹高15cm~20cm
開花の時期4月~5月
花色白、ピンク
耐寒性強い
耐暑性弱い
特性・用途庭植え、山野草、花壇、香水
栽培難易度普通

栽培スケジュール

植え付け4月~5月、10月~11月
植え替え4月~5月、10月~11月
肥料4月~5月、10月~11月
開花4月~5月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

日当たりがよくないと花付きが悪くなってしまいますが、乾燥にも弱いので、春と秋に光が当たるような木陰や半日かげの場所が適しています。

夏場の高温にも強くないので、鉢植えの場合は直射日光が当たらない場所に移動しましょう。

水やり

土の表面が乾いたらたっぷり与えます。

乾燥に弱いので、特に夏場は土が乾き過ぎないように注意しましょう。

鉢植えの夏場の水やりは朝と夕方の二回、忘れずに行います。

冬場は休眠期なので、過湿になりすぎないように控えめに水やりをしましょう。

肥料

緩効性の化成肥料を春の時期に、元肥として与えます。

庭植えで土が肥えている場合は、特に毎年の肥料は必要としません。

鉢植えの場合は、開花中から開花後にかけて液体肥料を与えましょう。

用土

市販の園芸用土を用いましょう。

庭植えにする場合は、腐葉土を混ぜ込んで水はけをよくしておきましょう。

スズランを育てるときのポイント

選び方

スズランは苗で販売されていることが多いので、葉が徒長しすぎず黄色くなっていないものを選びましょう。

植え付け・植え替え

春か秋の時期に植え付けを行いましょう。

スズランの根は長く伸びやすいので、鉢植えは数年に一度、一回り大きめの鉢に植え替えをします。

長すぎる根はカットしてから植え付けましょう。

植え付けや植え替えをした後は、半日かげの場所で管理して水を忘れずに与えましょう。

ふやし方

スズランは株分けで増やすことができます。

数年、植えたままにしておくと株が密集してしまうので花を長く楽しむためにも株分けをすることが必要です。

春か夏に、スズランの芽が数本になるように調整しながらスコップなどで株分けしましょう。

スズランには全草に毒があるので、素手で触らないように注意しましょう。

気を付けるべき病気・害虫

スズランには毒性があるので、害虫に強く特に注意する害虫もいません。

殺虫剤・殺菌剤

特にありません。