細くつやのある茎にイチョウ型の細かい葉を茂らせるシダ類のアジアンタム。
繊細で涼しげな葉姿が観葉植物として人気を集めています。
育てている人からは「アジアンタムはすぐ枯れてしまい生育が難しい」という声も聞かれますが、コツさえつかめば元気に育ってくれます。
今回はアジアンタムの育て方のコツや、枯れてしまった時に復活させる対処法をご紹介します。
アジアンタムの基本情報
学名 | Adiantum |
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英名 | Maidenhair fern |
その他別名 | ホウライシダ(蓬莱羊歯) |
科名 | イノモトソウ科 |
属名 | アジアンタム属(ホウライシダ属) |
原産地 | 世界の熱帯~温帯 |
アジアンタムの特徴
アジアンタムは世界中の温帯から熱帯に生息するシダ類で、世界に200種ほどが存在しています。
おもに流通している品種は熱帯アメリカ原産のアジアンタム・ラディアナムで、園芸品種も多く存在します。
アジアンタムの語源は「濡れない」という意味のギリシア語「adiantos」で、地域のアジアとは関係ありません。
これはアジアンタムの葉が水を弾き、濡れないようすに由来しています。
英名の「Maidenhair fern」は直訳すると「乙女の髪のシダ」となり、ふわふわした葉姿を乙女の豊かな髪にたとえて呼ばれています。
花言葉の「天真爛漫」「無垢」も乙女から想起させられる言葉です。
ふんわりとした姿は部屋の雰囲気をやさしく演出してくれます。
アジアンタムの種類
ラディアナム・フラグランス
アジアンタムの中でもっとも一般的な品種です。
大きく育ち枝がしだれるので、背の高い鉢に植え付けるのがおすすめです。
ラディアナム・モノカラー
あまり大きくならず、もこもこと広がる葉がかわいらしい品種です。
ラディアナム・ミクロフィラム
葉が細かく、繊細な姿の品種です。
テネルム・ピーコック
新葉が赤みがかっているのが特徴です。
スノーフレーク
鮮やかな緑の葉に、葉脈に沿って細かく白い斑が入る園芸種です。
ペダトゥム
日本でも自生しており、「クジャクシダ」という和名です。
山野草の販売店で入手できる落葉性のシダです。
アジアンタムの栽培・育て方
アジアンタムは乾燥した空気に弱い植物です。
水切れすると葉がカサカサに枯れ、一度枯れた葉は水やりをしても戻りません。
その半面根が蒸れに弱く、水はけのよさも必要です。
アジアンタムの栽培は難しいと言われますが、湿度管理に慣れてしまえばあとは難しいことはありません。
もし乾燥による葉枯れが起きても、株が枯れていなければ再生させられます。
アジアンタムの育て方情報
分類・形態 | 観葉植物・多年草・シダ植物 |
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草丈・樹高 | 15cm~100cm |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 常緑性・日陰でも育つ |
栽培難易度 | 普通 |
栽培スケジュール
植え付け | 5月~9月 |
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植え替え | 5月~9月 |
肥料 | 4月~11月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
アジアンタムを戸外で管理するのは難しいため、室内に置くがおすすめです。
強い日差しと乾燥に弱いため直射日光の当たらない場所に置きましょう。
しかし日が当たらなすぎると葉の色が薄くなるので、明るい日陰が向いています。
エアコンの風が直接当たる場所は乾燥して葉枯れしてしまうので避けましょう。
アジアンタムは、空気中の湿度が高い浴室や洗面所などの水回りに置くのがおすすめです。
水やり
アジアンタムは乾燥に弱いため、水やりの調節が難しいです。土を乾かさないように注意して水やりをしましょう。
乾燥する季節は葉水も有効です。
しかし根は蒸れに弱いため夏場は日中の水やりを避け、株元ではなく土を湿らすようにしましょう。
肥料
アジアンタムに肥料を与える時は、春から秋の生育期が適しています。
1~2週間に一度液肥を施すか、緩効性の化成肥料を株元から離して置き肥しましょう。
肥料の与えすぎは根腐れの原因になります。
用土
蒸れに弱く、水はけのよい土を好みます。
市販の観葉植物用の培養土で問題ありません。
草花用の培養土を使用するときは、赤玉土を半分ほど混ぜ水はけをよくしましょう。
温度
生育温度は15℃~30℃です。
5℃を下回ると枯れてしまうので、戸外に置いている場合は室内で冬越ししましょう。
アジアンタムを育てるときのポイント
選び方
アジアンタムは水切れを起こすとすぐ枯れてしまいます。
葉に勢いがないものは水切れの可能性があるので避けましょう。
枝が伸びすぎておらずコンパクトにまとまっているものがよいです。
植え付け・植え替え
アジアンタムの植え付けや植え替えは、5月~9月が適期です。
環境が合えば地植えもできますが、乾燥に弱く管理が難しいため鉢植えがおすすめです。
古い土を落とし、苗よりも一回り大きな鉢に植え付けます。
成長が旺盛で根詰まりを起こしやすいため、1~2年に1回植え替えをしましょう。
ひと回り大きい鉢に替えるか、株分けをし小さくしてから植え付けます。
剪定
一番下の古い葉は寿命になると黒くなり始めるので、こまめに取り除きましょう。
シダ類の茎は強度が高いため、手で引っ張って取り除こうとすると株を傷めることがあります。
はさみを使って取り除きましょう。
ふやし方
株分けでふやすのが一般的です。
植え替え時に大きくなった株を分割ましょう。
土を落とし、古い葉は切り戻してから新しい鉢に植え替えます。
葉が枯れてしまったときの復活させる対処法
水切れで葉が枯れてもたいていは復活させられます。
枯れた枝を根元の2~3cmだけ残し刈り取り、きちんと水やりをして管理しましょう。
根元から新しい枝が生えてきます。
気を付けるべき病気・害虫
病気
立枯病にかかることがあります。
多湿が原因なので、風通しの良い場所で管理することで防げます。
害虫
ハダニがつきやすいです。
葉水をすることで予防できます。
また、外に置いているとナメクジの食害にあうことがあります。
殺虫剤・殺菌剤
病気
立枯病にはキャプタンが有効です。
害虫
ハダニは、セタミプリド・フェンプロパトリン等がおすすめです。
ナメクジにはメタアルデヒドをご使用ください。