胡蝶蘭の育て方|胡蝶蘭を育てるときのポイント。水やりやラッピングの外し方について

お祝いのお花の代表格といえば胡蝶蘭。
その品格ある見た目と長く楽しめるお花は、開店祝いや還暦のお祝い等によく贈られます。
そこに一鉢あるだけで、空間全体がゴージャスな雰囲気になり素敵ですよね。

しかしながら、胡蝶蘭を育てるのは初心者には難しいと思っている方も多いのではないでしょうか。

今回はそんな皆さんの疑問にお答えするため、胡蝶蘭の育て方と長く楽しむコツについて初心者にも分かりやすくお話します。

胡蝶蘭の基本情報

学名Phalaenopsis aphrodite
英名Moth Orchids, Phalaenopsis
その他別名ファレノプシス
科名ラン科
属名コチョウラン属
原産地東南アジア(フィリピン・インドネシア・シンガポール等)・台湾南部

胡蝶蘭の特徴

日本では鉢植えが一般的な胡蝶蘭ですが、元々はフィリピンやインドネシアなどの熱帯地域が原産の植物です。
熱帯雨林の樹木の幹などに着生しています。

原産地である東南アジアでは、ヤシの木に水苔を巻き、胡蝶蘭を着生させて育てている光景もよくあります。
着生蘭は葉に多くの水分を貯めておく事で生きています。

また、水分を減らさないようにする為に、昼だけでなく夜も光合成を行い生活をしているのが、胡蝶蘭の珍しいところです。

そんな胡蝶蘭がなぜお祝いギフトの定番として贈られているのでしょうか。

胡蝶蘭はその姿が蝶が飛んでいるように見えるため、「幸福を運んでくる」や「純粋な愛」という花言葉がつけられています。

その縁起の良い花言葉や高級感ある姿が贈り物として相応しいため、お祝いのギフトや結婚式に喜ばれるお花と考えられています。
また、花粉や強い香りがないため、お仕事やお食事の妨げにならない事も開業祝にもふさわしいお花と言えます。

また、胡蝶蘭には色によって異なる花言葉がついています。
贈り物をする際の参考にしてみてもいいですね。

色別の花言葉

  • 白:純潔(innocence)・純粋( purity)
  • 紫: 気品(royalty)・称賛(admiration)
  • ピンク:女性らしさ(femininity)・優雅・上品( grace)・喜び( joy)・あなたを愛します
  • 黄色:友情(friendship)・新たな始まり( new beginnings)
  • オレンジ :プライド(pride)・大胆( boldness)・熱中( enthusiasm)

胡蝶蘭の種類

胡蝶蘭といえば、高級感のある白い大輪の花を想像される方も多いと思いますが、実は品種や色は50種類以上もあります。

どれも開花してから短くても1ヶ月、環境とお手入れがよければ2~3か月もお花を楽しむ事が出来ます。

胡蝶蘭はお花のサイズから主に大輪・中輪・ミディの3つに分けられます。

大輪

大輪はお花のサイズがが一番大きく、約13~15cm以上もあります。
高級な胡蝶蘭の代表格。

大きく真っ白な花は存在感抜群です。
開業祝いや結婚式等の大切なお祝いを豪華に飾ります。

中輪

中輪はお花のサイズが、約6cm~12cmあります。
大輪よりやや小ぶりではありますが、十分な存在感があります。

大きすぎず、置き場所もとりません。
開店祝いや会社へのお祝い、プレゼントに喜ばれるサイズです。

ミディ

ミディはお花のサイズが3~6cmの小ぶりな胡蝶蘭です。
可愛らしいサイズのお花は、お値段もお手軽でカジュアルなプレゼントや自宅に飾るのにもぴったりです。

お花は小さめでも花持ちはばっちり。
色や種類も豊富で、選ぶのが楽しいのがミディの特徴です。

胡蝶蘭の栽培・育て方

胡蝶蘭は種から育てる事は専門家でもない限りほとんどありません。
なぜなら胡蝶蘭の種は、特殊な環境や条件でないと発芽できないからです。

よって胡蝶蘭を育てたい場合は、既に鉢植えになっている物から育てます。

元気な胡蝶蘭を選ぶポイントは、葉です。胡蝶蘭の葉をよく見て、肉厚でハリと光沢があるものを選んでください。
また、花も肉厚できれいに開いているものが元気な株です。

花が反っているものや黒い斑点があるものは避けたほうがよいでしょう。

胡蝶蘭の育て方情報

分類・形態ラン・多年草
草丈・樹高10~100cm
開花の時期春から夏にかけて
花色白・ピンク・紫・黄色・オレンジ
耐寒性弱い(最低気温10度)
耐暑性強い
特性・用途花持ち良い・日陰OK・観賞用・贈答品
栽培難易度普通~やや難しい

栽培スケジュール

植え付け5月~6月
植え替え4月~6月(2~3年に1回、気温が20度以上)
剪定花が終わってから、なるべく暖かい間に
肥料5月~9月
開花不定期(一般的には3月~5月)

栽培に必要な準備・環境

さて、良い株の選び方が分かったところで次は育て方です。

初心者にもわかりやすく解説していきますので、順番に見ていきましょう。

日当たり・置き場所

胡蝶蘭は、日当たりが良く風通しの良い場所を好みます。

直射日光は葉焼けの原因になり葉が枯れてしまうので、窓際に置く場合はレースカーテン越しに日光を当てましょう。

屋外に置く場合は、日陰になる場所を選びます。日差しが当たる場合は、遮光ネットなどを設置するのがおすすめです。

胡蝶蘭は寒さに弱いので、冬の寒い時期は室内に移動しましょう。

また、エアコンや扇風機などの風が当たるところや、果物の近くには置かないように気をつけてください。

水やり

水やり

水やりをする目安は、水苔やバークチップなどの植え込み資材が完全に乾いてからです。

株の根本に、株ごとに水やりをします。コップ1杯分のお水を、1週間から10日に1回程度与えましょう。

お水の量は、株の大きさや気温などによって調節してください。冬場は気温が下がり生育が止まるため、控えめにします。

受け皿の水がたまった場合は、すぐに水を捨ててしっかり水切りをしてください。

水をあげすぎたり受け皿の水をそのままにしておくと、根腐れの原因になってしまいます。

初心者が胡蝶蘭を枯らしてしまうよくある原因の一つなので、気をつけておきましょう。

また、水やりは午後にすると日が当たる時間が短くなり水が乾きにくいため、朝にするのがおすすめです。

肥料

洋ラン用の液体肥料を1週間に1度与えてください。
冬場は肥料を与えません。

用土

胡蝶蘭は水苔かバークチップを使います。

水苔は、乾燥した状態で販売されています。
これを水に戻して使います。
みずはけ、保水性、通気性がよく胡蝶蘭の生育にぴったりの資材です。

バークチップは、赤松や黒松の樹皮を細かくしたものです。
観葉植物の土をカバーするマルチングや雑草防止にも使われる素材です。

水はけがよく、適度な保水性があるのがバークチップの特徴です。
樹木に自生する性質がある胡蝶蘭に適した資材として使われています。

温度

15度~25度が胡蝶蘭の一番好む温度です。
暑さには強いですが、8月頃の気温が30度を超えるような場合は、胡蝶蘭にとっては暑すぎます。

エアコンが効いている室内のカーテン越しに置くなど、置き場所に注意してください。

また、寒さには弱いので10度以下にならないように気を付けてください。
冬場は生育が止まります。

気温が下がってきたら、鉢にタオルや新聞紙を巻き、温度が下がりすぎないようにしましょう。
また、玄関の窓際などは冬場に寒くなりやすいため、室内に移すとよいでしょう。

初心者が胡蝶蘭を育てるときのポイント

もう一度お花を咲かせるには

お花が終わった胡蝶蘭は、上手に管理すれば翌年もまたお花を咲かせる事が出来ます。
葉だけになった胡蝶蘭からお花をつけるのは、初心者でも難しkはありません。

作業には切り口から病気にかからないように、清潔なハサミを使ってください。

まず支柱をはずします。

そしてその花茎を根本から切ります。
これで、葉と葉の間から新しい花芽が出てきます。

数ヶ月かかるので、水分と温度管理に注意して、根気よく待ちましょう。

植え替え

胡蝶蘭の植え替えは、2~3年に1度行います。
今回は、初心者におすすめの水苔を使った植え替え方法をご紹介します。

植え替えをなるべく成功させるために2本立て、3本立てになっているものは、1株ずつに分けます。

植え替えに必要な物

  • 水苔
  • 清潔なハサミ
  • 素焼きの鉢(元の胡蝶蘭が3本立てなら、鉢は3つ用意)
  1. 古い鉢からゆっくりと胡蝶蘭を取り出します。
  2. 古い水苔や資材を取り除きまます。根を傷つけないようにやさしく作業しましょう。
  3. 黄色く変色した古い葉や、腐っている根も根本から切ってください。
  4. 複数株ある場合は、1株ずつにやさしく分けます。
  5. 水で湿らせた水苔で根をくるみます。
  6. 水苔と根を鉢に入れます。根をいためないように、ゆっくりとねじるように鉢に入れてください。
  7. 植え替え後は水やりはひかえ、10日間くらいたってから水やりをして下さい。

ラッピングの外し方

胡蝶蘭は、お祝い事などできれいにラッピングされていただくことが多いですが、ラッピング材は早めに外しましょう。

ラッピングしたままにしておくと、水分が蒸発しにくいため根腐れの原因になってしまいます。

胡蝶蘭を長持ちさせるために、ラッピングは外して育てましょう。

もしラッピングを外せないという場合は、鉢底のラッピング部分を十字に切って、水が出るようにしてください。

ラッピングの外し方

気を付けるべき病気・害虫

カイガラムシ、ハダニ、炭素病、軟腐病に気を付ける必要があります。
かかるとやっかいなのが、軟腐病です。
異臭がして葉がぶよぶよになります。

殺虫剤・殺菌剤

カイガラムシ、ハダニには牛乳をスプレーをします。炭そ病は周辺5mm~1cmを切り、殺菌剤を塗布してください。
軟腐病は、周辺5mm~1cmを切り、ビスダイセンやMダイファーを濃いペーストにして切り口に塗布します。
もしくはハイターの原液塗布がおすすめです。
状態が改善しない場合は、感染拡大防止の為に株を廃棄する必要があります。