
菊は中国より伝来し、日本でも古くから親しまれている植物です。皇室の紋章としても使われています。
また菊は品種改良も盛んに行われている植物でもあります。
一回り小さい小菊はフラワーアレンジメントや髪飾りとしても人気です。丈夫で育てやすく、鉢やプランターでも育てられます。
今回は菊の代表的な種類の紹介から、育て方や肥料の与え方について詳しくご紹介いたします。
菊の基本情報
学名 | Chrysanthemum |
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英名 | Chrysanthemum,Mum |
科名 | キク科 |
属名 | キク属 |
原産地 | 中国 |
菊の特徴
日本を代表する花でもある菊は奈良時代に中国より伝わり、日本では江戸時代に入ってから本格的に品種改良されるようになりました。
またイギリスでも品種改良が行われています。
洋菊と呼ばれるスプレーマムやピンポンマムと呼ばれる小さい菊など、品種により花弁の形状はさまざまあります。
菊の花は長寿を祝う宮中行事でも使われたり、結婚式でも和装の花嫁の花飾りに使われている縁起のいいお花の一つです。
菊の花言葉
菊の花言葉は高貴や高尚など気品に満ちた菊の花姿より由来すると言われています。
その他にも真実や恋愛に関する花言葉も少なくありません。
またその花言葉とは一見正反対ですが、菊の花が葬儀や仏様へのお供えものとしても多く使われる理由としては、格式高く気品のある花であることが理由です。
他にも、フランスで祭壇に菊を飾る文化があったため日本でも広まったという説や花の香りがお香に似ていることなどさまざまな説があると言われています。
菊の種類
菊は日本で品種改良された和菊とヨーロッパで品種改良された洋菊の種類があります。
大菊
花の直径20㎝前後の大きさとなり、一つの茎に対して一輪の花を残す「三本仕立て」などで観賞菊として楽しまれています。
また花弁の形によって種類が細かく分けられます。
- 厚物(あつもの):花弁の先端が中心に向い盛り上がったもの
- 厚走り(あつばしり):厚物と似ていますが、外側の花弁だけが細長く垂れ下がっているもの
- 大掴み(おおつかみ):花の上部分が両手つかんだような形で、その側の花弁は垂れ下がっているもの
- 管物(くだもの):管状の花びらが花火のように放射線状に広がっているもの
- 一文字菊:別名御紋章菊とも言われて平たい花弁が一重に並んでいるもの
中菊
花の直径9~18㎝の和菊であり仏花などに使用される実用花や洋菊であるポットマムなども一部含まれます。
また、江戸時代から続く古典菊も含まれます。
小菊
花の直径1~3㎝の小ぶりの花です。鉢や花壇で育てられ、ミニ盆栽などさまざまな仕立てで楽しめます。
懸崖作りや直幹仕立てなどの種類の楽しみ方があることも特徴の一つです。
スプレー菊(スプレーマム)
花の直径3~6㎝の欧米で品種改良された菊です。茎が枝分かれして花がたくさんつくことが特徴です。
花色が豊富にあり、鉢植え用の「ポットマム」や草丈の短い「クッションマム」、球形の花を咲かせる「ピンポンマム」など、花弁や形がさまざまなものがあります。
菊の栽培・育て方
菊は日光を好む植物のため、年間通して日当たりのいい場所で育てることがポイントです。
また菊は肥料食いの植物として知られており、花つきをよくするために多くの肥料が必要となります。
菊の育て方情報
分類・形態 | 草花・多年草 |
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草丈・樹高 | ~1m程度 |
開花の時期 | 9月~11月 |
花色 | 黄・白・ピンク・オレンジ |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | やや強い |
特性・用途 | 観賞用 |
栽培難易度 | 普通 |
栽培スケジュール
植え付け | 5月 |
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植え替え | 5月~6月 |
剪定 | 6月~7月 |
肥料 | 5月~8月 |
開花 | 9月~11月 |
収穫 | 9月~11月 |
菊の栽培に必要な準備・環境
日当たり
年間を通して日当たりのいい場所に置きましょう。
ただし暑さに弱いので、夏の暑い時期などは半日陰に移すか明るい日陰に移動させましょう。
置き場所
水はけがよく日当たりの良いベランダや庭などの屋外に置いて育てることがおすすめです。
ただし、雨にあたると花が傷むことがあるのでご注意ください。雨の際は軒下やベランダなど雨が直接当たらない場所がいいでしょう。
また夏は明るい日陰か半日日陰に移動することが必要です。寒さには強いので、冬は屋外でも越冬することができます。
水やり
夏の水やり
湿った環境では根腐れを起こしやすいので注意しましょう。
土がしっかり乾燥してから鉢底から水が出てくるまでたっぷり水をあげましょう。
またつぼみの付き始めや開花時期は、水切れが起こると花つきが悪くなってしまいます。
花や葉に水が掛からないように、注意しながら水を定期的にあげましょう。
冬の水やり
菊は宿根草の植物のため、冬の間は株が休眠する種類が多いです。
そのため、冬場は水やりを控えて乾燥気味に育てましょう。地植えの場合は特に水やりは必要ありません。
肥料
花つきをよくするために肥料を切らさず、多くの肥料を与えましょう。
ただし、肥糧が過剰になると肥料障害を起こしてしまいます。時期に応じて肥料の調整が必要です。
元肥には緩効性化成肥料を混ぜ込みます。
ただし市販の菊用の培養土を使用する場合は、すでに肥料が十分に含まれていることがあるので、確認が必要です。
肥料の成分としては、花つきをよくするためにはリン酸成分が欠かせません。
与えるタイミングとしては、秋菊の場合はつぼみが出てくる9月成就運までには15~20日に一回、乾燥肥料を定期的に施します。
9月中旬以降は窒素成分をほとんど含まないリン酸とカリウムの多い液体肥料に切り替えて、開花するまで週に1~2回与えましょう。
用土
水はけがよく通気性のいい、弱酸性の土壌を好みます。
鉢植えの場合は赤玉土5、腐葉土3、ピートモス2の比で混ぜ合わせておきましょう。また市販の菊用培養土でも栽培することができます。
地植えの場合は、土を掘ったあと、腐葉土を2割ほど混ぜ耕しておきましょう。
温度
菊の生育は15~25℃が快適温度とされており、4月~7月中旬までに成長が進みます。
暑さには弱いため、夏は明るい日陰に移す必要があります。冬は屋外でも問題ありません。
菊を育てるときのポイント
選び方
茎は種から生育することが難しいため、苗を購入して栽培することが一般的です。
苗を選ぶ際は徒長した茎がなく、虫食いや変色のない元気な苗を選びましょう。
植え付け・植え替え
種類にもよりますが、秋菊の場合は4月~6月頃までの夏前に植え付けを行いましょう。
鉢植えは苗よりも一回り大きい鉢に土を2分の3ほど入れて植えます。地植えの場合は、株同士の間隔を15~20㎝ほどとって植え付けましょう。
多年草である菊は成長と共に植え替えの必要があります。植え替えの時期は4月~6月がおすすめです。
鉢植えの場合は根詰まりしないように一回り大きい鉢に移すか、株分けをして植え替えをしましょう。
地植えの場合でも同じ場所と土で育てると病気や害虫の被害が出てくるため、1~2年に一回は植え替えが必要です。
増やし方
挿し芽で増やせます。新芽の先端から5~10㎝程度のところで切り落とし、挿し芽として使用します。
挿し芽を行う時期は5月~6月が適しています。挿し芽の土は雑菌の入っていない、新しい鹿沼土やバーミキュライトを使用しましょう。
菊の種類によっては根付きにくいものもあるため、発根材を使用することも有効です。
一般的に株分けよりも挿し芽の方が株の更新ができます。
そのため、花づきや株の劣化を防ぎ継続的に菊を増やすためには挿し芽が良いとされています。
気を付けるべき病気・害虫
風通りが悪いとうどんこ病や灰色カビ病などカビを原因とする病気が発生することがあります。
葉や茎に斑点などの症状がみられる際はその部分を切取り感染拡大を防止しましょう。
害虫では、ハダニやアブラムシが発生することがあります。
乾燥した時期や春先に発生しやすく、数が少ない場合はテープなどで除去しましょう。
殺虫剤・殺菌剤
オルトランやトリフミン水和材がおすすめです。