じゃがいもの植え方、栽培のコツ

カレーやシチューにポテトサラダ、と日々の料理に大活躍の野菜、じゃがいも。

じゃがいもは家庭菜園の初心者にぴったりの、育てやすい野菜です。
プランターで栽培することもできますので、ぜひ挑戦してみましょう。
きっと収穫の喜びが味わえますよ。

じゃがいもの基本情報

学名Solanum tuberosum
英名Potato
その他別名馬鈴薯(バレイショ)
科名ナス科
属名ナス属
原産地南アメリカ

じゃがいもの特徴

毎日の食卓でお馴染みの食材、じゃがいもは、カリウムやビタミンCなど栄養を豊富に含んでいます。
しかも、じゃがいものビタミンCはでんぷんに守られ、加熱してもあまり壊れない特徴があり、体に嬉しいビタミンCを効率よく摂取することができます。

じゃがいもの食べる部分は地面の下にできます。
実はこれ、サツマイモと違って根ではありません。

地下茎、といって茎の先端が肥大したものになります。
そのため、じゃがいもは日に当たると緑色に色が変わってしまいます。

緑色になったじゃがいもは、ソラニンという有害物質を含んでいますので、食べないようにしましょう。
じゃがいもの芽も同じソラニンを含むので、調理の際は大きくえぐり取ってしまいましょう。

じゃがいもは、植えてしまえばひとつの種イモから沢山のいもが収穫できます。
大きさにもよりますが、一株に5~20個の収穫があると言いますから、とても経済的な野菜です。
収穫した後に保存がきくのも嬉しいところ。
比較的簡単に栽培できますので、自分の手で育ててみましょう。

じゃがいもの種類

家庭菜園向きの品種がいくつかありますので、特徴をご紹介します。

品種による育てやすさはほとんど差がないので、お好みで選びましょう。

メークイン

細長い楕円形をしていて、すべすべした手触りです。
やや黄みがかった白色で、舌触りはなめらかです。

やや甘味があり、低温貯蔵すると甘味が増します。
煮くずれしにくいので、カレーやシチューなど煮込み料理に向いています。

男爵

形は丸みを帯び、表面はややごつごつとしています。
白く、ほくほくとした食感です。デンプンを多く含み、煮込むとくずれやすいのでポテトサラダやじゃがバターに向いています。

キタアカリ

北海道生まれの品種です。
丸みを帯び、少しごつごつした表面をしています。

黄色みが強く、ほくほくした食感です。
粉質で、煮くずれしやすいので、粉ふきいもやじゃがバター向きです。
煮くずれしやすいので、弱火で調理しましょう。

じゃがいもの栽培・育て方

じゃがいもには春と秋の2回、植え付け時期があります。
初心者に向いているのは、失敗しにくい春植えです。
ここでは、春植えの方法について紹介していきます。

収穫までの大まかな作業の流れは以下の通りです。

  • 1.種イモを用意する
  • 2.土を準備する
  • 3.植えつける
  • 4.芽かきと1回目の追肥・土寄せ
  • 5.2回目の追肥・土寄せ
  • 6.収穫

それぞれ以下に詳しく説明していきます。

じゃがいもの育て方情報

分類・形態野菜・多年草
草丈・樹高30~100㎝
開花の時期5月~6月・10月~11月
花色紫・白
耐寒性やや強い
耐暑性やや弱い
特性・用途家庭菜園
栽培難易度普通

栽培スケジュール

植え付け3月~4月・8月~9月
剪定芽かき3月~4月・8~9月
肥料3月・5月・8月・10月
開花5月~6月・10月~11月
収穫6月~7月・11月~12月

栽培に必要な準備・環境

日当たり・置き場所

じゃがいもは日当たりと風通しの良い所で育てましょう。

水やり

乾燥気味に育てます。
水を与えすぎるとイモが腐りやすくなってしまいます。

プランターで栽培する場合、生育初期の段階は土が乾いたら水をたっぷり与えますが、その後乾燥気味に育てます。

畑に植える場合は、植え付け直後以降、ほとんど水やりの必要はありません。
自然に降る雨だけで大丈夫です。

肥料

植えつける土に元肥を入れる他、二回の追肥を行います。
化成肥料を一握りほど、株元に土と混ぜて施します。

1回目の追肥

芽かきと土寄せのタイミングで行います。

2回目の追肥

じゃがいもの花が咲いたタイミングで行います。
(花は咲かない場合もありますので、草丈が30㎝ほどになったとき、土寄せと同じタイミングで行います。)

用土

プランター栽培の場合は、野菜用の培養土で育てましょう。
深さ30㎝以上の深型プランターを用意します。
横幅が30~40㎝で一株、80㎝程度で2株植えられます。

畑に植える場合は、堆肥や元肥を入れる二週間前に、石をきれいに取り除き、しっかり耕します。
じゃがいもの栽培に適した土壌は弱酸性です。
土がアルカリ性に傾くとそうか病になりやすいので、石灰をあまり多く入れないようにしましょう。

元肥として、植え付けの一週間以上前に、1㎡あたり2~3㎏の堆肥と、100gの化成肥料を施します。
幅約60㎝の畝(うね)をつくり、植え溝(幅15cm、深さ15cm)を掘ります。

じゃがいもを育てるときのポイント

1.種イモを用意する

選び方

種イモを用意します。
春植えの種イモは12月下旬ころから販売が始まりますが、冬の寒さで種イモが腐ってしまうこともあるので、3月以降に購入するのが安心です。

種イモは必ずホームセンターや園芸専門店で種イモとして売られているものを購入します。
スーパーで売られているじゃがいもは品質が保証されていないので、種イモにはしません。
初心者が失敗しないようにするには、切らずにそのまま植えられるくらいの小さい種イモ(1個30~50g程度)を選ぶといいでしょう。

芽出し

必ずしも必要ではありませんが、じゃがいもの生育を良くするために、軽く芽を出させます。
雨がかからず、程よい日差しが当たる場所にじゃがいもを置いておきます。

芽出しの後、種イモが大きい場合(1個50g~)は、切って使います。
切り方は、ひとつ40g程度になるように、芽が出ている場所を残して縦に切ります。
切り口が腐るので、草木灰などをつけ、直射日光で一日天日干しします。

草木灰がない場合は、日光によく当てて、乾燥させましょう。

土の準備

育てるときに必要な準備・環境の「用土」欄を参照して用意しましょう。

植え付け

種いもの芽を上にして、30㎝間隔で置き、土を5~6cmかぶせ、上から軽く押さえます。

芽かきと1回目の追肥・土寄せ

植え付け後、約3週間後に発芽します。

新芽が数本出て、10㎝程の大きさに育ったら、元気の良い芽だけ2~3本残し、他の芽を摘み取ってしまう、「芽かき」を行います。
種イモごと引き抜いてしまわないように、根元を押さえて芽を取り除きます。
芽かきが終わったら、軽く土寄せを行います。
このとき、肥料も混ぜましょう。

芽かきをすることで、地下にできるじゃがいもの数は減りますが、ひとつひとつを大きく育てることができます。
逆に芽を沢山残すと、小さなじゃがいもが沢山できることになりますので注意しましょう。

2回目の追肥・土寄せ

草丈が30㎝ほどに成長したら、2回目の土寄せと追肥を行います。
じゃがいもが大きくなって土から出ていたら、しっかり土寄せして埋めましょう。
太陽光に当たると緑色になり、有害物質であるソラニンが作られてしまいます。

花が咲いたら取りましょう。
あまり大きな影響はありませんが、花を咲かせる栄養をじゃがいもの方へ集中させるためです。

収穫

じゃがいもを植えて100日ほど経過した頃が収穫期です。
葉が7~8割黄色く枯れてきたのを目安にします。
雨天や雨上がりに収穫すると腐ることがあるので、2~3日晴天が続き、土が乾いているときに堀り上げましょう。

掘ったじゃがいもは、風通しの良い日陰で土が落ちるまで乾燥させ、早めに取り込みます。
長時間日に当てないようにしましょう。

気を付けるべき病気・害虫

病気

そうか病、モザイク病にご注意ください。

そうか病は、じゃがいもの表面にかさぶたのような病斑ができます。
健全な種イモを選び、連作を避けましょう。

土がアルカリ性に傾いているとかかりやすい病気です。
一度なったら防げませんが、革を厚くむけば食べることができます。

モザイク病は、葉にモザイクのような模様が入ったり、縮れたり、変色するウイルス性の病気です。

害虫

アブラムシ、テントウムシダマシに気を付けましょう。

暖かくなると、テントウムシダマシなど害虫がでます。
葉をよく観察し、卵や群生する幼虫を見つけたら、すぐに捕殺しましょう。

殺虫剤・殺菌剤

害虫に使う場合は、天然成分を使用した殺虫剤などを使いましょう。。