ニリンソウは日本や東アジアに自生する山野草です。
春の早い時期に白く可憐な花を咲かせるため、春を告げる花としても知られています。
地方によっては山菜として食用されていますが、有名な毒草のトリカブトに似ているため誤食による事故も発生しています。
ここではニリンソウについて、特徴や育て方をご紹介します。
ニリンソウの基本情報
学名 | Anemone flaccida |
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英名 | Soft windflower |
その他別名 | フクベラ・ガショウソウ |
科名 | キンポウゲ科 |
属名 | イチリンソウ属 |
原産地 | 東アジア・日本 |
ニリンソウの特徴
ニリンソウは1本の茎の先端が2本に枝分かれし、それぞれ花茎の先に直径2cmほどの花を1輪ずつ、合計2輪咲かせます。
ニリンソウの名前はその花姿が由来です。花は同時に咲くのではなく、少し時間を置いて1輪ずつ咲きます。
まれに1輪や3輪咲きなることもあります。
強い日差しを嫌うため林や森の木の下でよく見られます。
地下茎で増えるため群落を作ることが多く、緑の少ない春先にグリーンののカーペットのように一面に広がる姿は圧巻です。
春先には元気な姿を見せるニリンソウですが、他の植物が勢いづく夏には枯れ、休眠して次の春を待ちます。
ニリンソウのように春だけ地上に現れる花は「スプリング・フェメラル(春のはかないもの)」と呼ばれます。
東北や北海道では古くから若芽を山菜として食用にしていましたが、この若芽が毒草のトリカブトとよく似ています。
生育環境も同じで混生することも多く、誤食による事故が多く発生しています。
知識のない人が安易にニリンソウを食べようとするのは避けたほうがよいでしょう。
ニリンソウの種類
ミドリニリンソウ
ニリンソウの変異種で、花弁(実際は萼)が葉と同じ鮮やかな緑色をしています。
二羽鶴
八重咲きの園芸品種です。
バラのような花がエレガントです。
金盃
園芸品種です。
花弁の数が多いのが特徴です。
イチリンソウ
ニリンソウの近縁種です。
1本の茎に1輪の花を付けます。ニリンソウ、サンリンソウに比べ花の直径が大きく4cmほどにまでなり、存在感を放ちます。
サンリンソウ
ニリンソウの近縁種です。
本州中部以北と、ニリンソウよりもやや涼しい地域に自生します。
1本の茎に3~4輪の花を付けます。
ニリンソウの葉には葉柄がなく茎から直接伸びているのに対し、イチリンソウとサンリンソウには葉柄があります。
ニリンソウの栽培・育て方
林や森の木の下で育つ植物であることをイメージすると管理しやすいです。
春は木の葉が少ないので日当たりよく、夏は葉が茂っているので木漏れ日があたる程度です。
秋には翌年の芽が生えてきますが落ち葉に包まれて冬を越します。
落ち葉の代わりに腐葉土などで代用してあげるとよいでしょう。
ニリンソウの育て方情報
分類・形態 | 山野草・多年草 |
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草丈・樹高 | 15cm~30cm |
開花の時期 | 4月~5月 |
花色 | 白 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや弱い |
特性・用途 | 落葉性・日陰でも育つ・食用 |
栽培難易度 | やさしい |
栽培スケジュール
植え付け | 3月~5月 |
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植え替え | 3月~5月・9月~10月 |
肥料 | 3月~5月 |
開花 | 4月~5月 |
栽培に必要な準備・環境
日当たり・置き場所
強い日差しを好まないので注意しましょう。
鉢植えの場合は、春先は日当たりのよい場所、花が終わってからは半日蔭や明るい日陰に移します。
地植えの場合は落葉樹の下がおすすめです。
水やり
湿った土を好むので、乾かさないようにこまめに水やりしましょう。
夏以降の休眠期はやや控えめにし、表土が乾いたら水やりします。
肥料
肥沃な土を好みます。
用土に腐葉土をふんだんに混ぜ込みましょう。
花後から休眠までに液肥や固形肥料で追肥すると翌年よく育ちます。
用土
肥沃で水はけのよい土を好みます。
赤玉土7:腐葉土3の割合の土で育てましょう。
寒い地域では保温性を高めるため腐葉土の割合を増やします。
市販の山野草培養土でも育てられますが、腐葉土を混ぜてあげるとよりよいでしょう。
温度
15℃~25℃が生育温度です。
温暖な地域では真夏の高温に注意しましょう。
休眠期で地上部がない時期は根が凍らない程度の低温であれば問題ありません。
ニリンソウを育てるときのポイント
選び方
葉がしっかり繁り、花芽の多いものを選びましょう。
種まき
まだ熟す前の青い実を採り蒔きします。
翌春発芽しますが、開花までは4~5年かかります。
植え付け
ポット苗はか秋、株分けした株は秋に植え付けます。
土には緩効性の肥料を混ぜ込んでおきましょう。
植え付けたあとはたっぷり水やりします。
植え替え・鉢替え
根詰まりを防ぐために秋の休眠期に植え替えをします。
古い根は半分ほど取り、新しい根を傷めないよう注意しながらひと回り大きい鉢に植え替えましょう。
秋には翌年の芽ができているので、植え替えたあと腐葉土をかぶせてあげると寒さから守れます。
ふやし方
種まきか株分けで増やせます。
種まきは開花まで4年~5年を要するので、種から育ててみたい場合でなければ株分けがおすすめです。
植え替えの時に同時におこないましょう。
気を付けるべき病気・害虫
病気は特にありませんが、アオムシやナメクジの食害にあうことがあります。
ナメクジとアオムシは特性が違うので、別の薬剤で処理する必要があります。
殺虫剤・殺菌剤
アオムシには、アセフェート、バチルス等が有効です。
ナメクジにはメタルアルデヒド、燐酸第二鉄等が効果的です。